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第7話 サイレント、院長先生を疑う

これまでのあらすじ

 サイレント、魔物が一か所に集まっていることに気づく。

 院長先生、魔物についていこうと提案する。

「私は正気なのよ、サイレント」


 ボクはじーっと院長先生の顔を見る。


「なんなのよ、その疑った顔は??」

「もしかして、アリアを渡さなかったから、適当なことを言って、ボクの命を危険にさらそうという魂胆なんじゃないかと思いまして」


「そうなんデスか??」

 アリアも院長先生に疑いの目を向けた。


「ちょっと待つデスー、お二人ともー。確かにインフィニティはー、とても執念深くてー、すぐに逆恨みしますー」


 院長先生をかばうフラットさん。


 ん?

 微妙にかばっていないようなてん……


「ですがー、サイレントさんの命を危険にさらすようなことはしないですよー」


 そうだよ、院長先生がボクの命を危険にさらすようなことなんて……ついさっきあったばかりじゃないか!!


 アーノム・ギトーゲの兵士たちから全速力で逃げようと提案したのに、アリアを渡せと駄々をこねて、ボクの命を危険にさらしたよね??


 ボクはさらに眉間に力を入れてしまった。


「いい、良く聞くのよ、サイレントにアリアちゃん。魔物たちが私たちを避けて、一点に集まっているということは、その集合場所は、広範囲魔法の範囲外で安全なはずなのよ」

「確かにそうですね」


「デスが、アリアたちをおびき出す罠かもしれないデスよ??」

「罠の可能性は低いのよ、アリアちゃん」


「どうしてデスか??」

「もし罠で私たちを誘導したいなら、魔物たちは1点に集まるのではなく、連携して追い込むはずなのよ」


「確かにそうですね」


 魔物たちはボクたちなど歯牙にもかけずに1点に集まっている。

 院長先生が提案しなければ、ボクたちはその逆方向に逃げていただろう。


 ボク達を今、魔物達が集まっている場所に誘導したいのであれば、かなりずさんな計画だ。


「つまりー、どれくらい広いか分からない広範囲魔法から逃げるのではなくー、あえてー、魔物たちについて行ってー、安全地帯でやり過ごそうということですねー」

「そういうことなのよ」


「なるほど、今、魔物たちが向かっている場所が安全なのは分かりました。ですが、魔物について行くなんて正気ですか?? 魔物に近づきすぎればすぐに気づかれちゃいますよ」


 フラットさんも院長先生の意見に賛成したから、ボクも賛成しそうになったけど、気づかれずに魔物について行くなんてことできるわけがない。


「サイレント、魔物に気づかれないために、あなたのスキル・気配察知があるのよ。あなたの気配察知は広範囲に及ぶから、そのスキルをうまく使って、魔物に気づかれない距離を保ちながらついていくのよ」


「なるほど、分かりました!! それじゃあ近くで空を飛んでいる鳥型魔物の気配を察知したので、急いで追いましょう」

 ちょうど頭上を飛んでいた鳥型魔物を指さす。


「あれはー、水魔法が使えるAランクのウォーター・ホークですねー」

「そうです、あの魔物です」

 ボクは脚に力をこめた。


「最高速度時速200キロの速度で飛ぶ上にー、視野も広い魔物ですー」


「ちょっと待つのよ」

 フラットさんの言葉を聞き、すぐに待ったをかけてくる院長先生。


「どうしたんですか、院長先生、はやく走らないと、おいて行かれちゃいますよ??」


「なんで、わざわざ速い動きでしかも、視野の広い魔物を追いかけなくちゃいけないのよ。もっと遅い魔物でいいのよ」

「……確かにそうですね」


「もう一度、気配察知をするのよ!!」

「分かりました……あ、近くに、動きの遅い木型の魔物がいるみたいです」


「この香りは、Bランクのムービング・ウッドですねー。根っこを動かして、動く魔物でー、動きが遅いんですよー。それにー、視野も狭くー、ほとんど目も見えていないはずですー」


「そういうのについて行くのよ!!」

「分かりました……ムービング・ウッドに気づかれないほどの距離を保てば、エンカウントすることはないと思いますが、もしも、他の魔物がもっと速く動ける魔物が集合地点に集まろうとして、ボクたちを見つけてしまったらどうするんですか??」


「そうならないように、気配察知ができるあなたがうまく動くのよ」

「そうしますけど、もしも、強い魔物と遭遇したらどうするんですか??」


「どんな魔物や魔族が出ても、私が聖魔法ホーリィで倒してあげるのよ」

 院長先生は、ぽんと胸を叩いた。


「さすが、院長先生!! 頼りになる!!」

「大船に乗った気でいるといいのよ!!」


「それじゃあ、魔物について行きましょう!!」


 黙々と歩いていると、ババババババ……

 上空からけたたましい金属の機械音。


「「「「「「出てこい!! デッド・オア・アライブの懸賞金首!!」」」」」」


 そして、大声で叫ぶ兵士たち。

 懸賞金首ってボクのことだよね??


 しつこいな、Aランクの魔物が空を飛びかっているというのに、まだ、ボクのことを探しているなんて。


 ボクたちが下りたところが、魔物たちがうようよしている樹海だと気づいて、ボクを追いかけなかった。

 けれども、魔物たちは、集合場所に集まることを優先して、自分たちの乗っている金属機械を襲ってこないとに気づいて、ボクを追わなかったことを後悔しているに違いない。


「どうしましょう??」

 ボクは院長先生にお伺いをたてた。


「私達は気配を消していたから、アーノム・ギトーゲの兵士たちには気づかれないはずなのよ。ここで少しだけやり過ごすのが良いのよ」


「わかりました」

 ボクがうなずくと、アリアとフラットさんもこくりとうなずいてくれた。

 木の陰にしゃがんで金属機械をやり過ごす。


 しばらくすると、金属機械の音とアーノム・ギトーゲの兵士たちの叫び声はだんだんと小さくなっていった。

 どうやら、兵士たちは遠くへ行ったようだ。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、院長先生が正気で魔物たちについて行くと提案していると納得する。

 サイレント、魔物について行く途中、アーノム・ギトーゲの兵士たちを見かける。

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