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第4話 サイレント一行、言い合いをしてアーノム・ギトーゲの兵士たちに追いつかれる

これまでのあらすじ

 院長先生がアリアとフラットさんの交換を要求する。

 サイレント、セクハラで訴えられそうになるが、ピンチを切り抜ける。

「納得していただけたならー、交換する時間も惜しいのでー、逃げた方がいいと思いますー。さっきからずっと魔法攻撃がこちらに向かってきていますからー」

「そうですよね!!」


 そうだよ、アリアが魔法を相殺してくれているおかげでボクに魔法は当たってはいなから忘れていたけど、今ボク達、アーノム・ギトーゲの兵士たちに追われていたんだよ。

 現在進行形で。


「私はフラットなんかじゃなくて、アリアちゃんを運びたいのよ!! アリアちゃんを私に寄越すのよ!!」


 あ、ついに本音が出た。

 院長先生の幼い見た目からして、駄々っ子にしかみえない。


「師匠、絶対にアリアをあの堕天使に渡さないでくださいデス。あの堕天使、目が怖いデス」

「確かに怖いね。院長先生の目」


 院長先生の目を見たボクはうなずかざるを得なかった。

 院長先生のあの眼付はアリアを狙うハンターの目だ。


「違うのよ!! これは効率的に逃げるためなのよ! 決して、アリアちゃんを合法的に抱きしめるためじゃないのよ!!」

「やっぱりアリアを狙っているじゃないですか!!」


「そんなことないのよ!!」

「あのー、お取込み中のところ悪いんですけどー、インフィニティもーサイレントさんもー、後ろ見ていただけないですかー??」


「後ろですか??」

 ボクが後ろを振り返ると、空飛ぶ金属機械が近くまで迫っていた。


「「「「「待て!! サイレント、いや、懸賞金!!」」」」」


 金属機械の騒音をかき消すほどの大声がこちらまで聞こえてきた。

 まだ距離はあるが、無駄話をしたせいで、アーノム・ギトーゲの兵士たちとの距離が縮まってしまったようだ。


 はやく逃げないと、捕まってしまう。


「今は全力で逃げた方がいいみたいなので、一時休戦しませんか?」

「休戦したいなら、アリアちゃんをこっちにはやく寄越すのよ!!」


「アリア、アリアって、しつこいですよ、院長先生!!」

「しつこくもなるのよ。抱えたくもないフラットを抱えながら空を飛んでいるのよ。あなたが貴族や兵士や町民がいるみんなの前でカツラをとって女装をばらしたせいなのよ」


「確かにボクはみんなの見ている中でカツラをとりました。でもそれは、院長先生たちが悪いんですよ。ボクのことを見たなんていってだまそうとするからですよ!!」


「あれは本当に師匠だったデス」「でも、あれはサイレントだったのよ」「そうですねー、サイレントさんでしたねー」


「全員が見間違えたんだよ!! マジック・バックから出てくるまで、ボクはずっとマジック・バックの中にいたんだから!!」

「私達が白昼夢を見たっていうのよ? それはありえないのよ」


「白昼夢じゃないなら、ヒトジゴクに幻覚をみせられた可能性だってありますよ」

「そんな魔力は感じられなかったデス」


「それなら、魔力以上のもっと不可思議な力が働いて、アリアも院長先生もフラットさんも幻覚を見せられたに違いないです」

「たとえ、私達が幻覚にかかっていたとしても、自分が本物だと証明したいからって、アーノム・ギトーゲの人々がいる前でカツラをとることはないのよ。私は最初から女装していることには気づいていたのよ」


「そうですねー。サイレントさんを女装させた私もいましたしー」


 確かに、院長先生にボクが女装していることに気づいたことには分かっていたし、フラットさんはボクを女装させた張本人だ。

 ボクがカツラをとる必要など、まったくなかった。


「それはですね……アーノム・ギトーゲの人々が集まっているなんて夢にも思わなかったんです。だから、カツラを脱ぎ捨てたんです」

「夢にも思わなくても、気配察知で人がいっぱいいたことくらい気づくはずなのよ」


「あの時は、魔力の使いすぎで、気配察知を使っていなかったんです」

「気配察知を使わなかったとしても、あんなに人が押しかけてきているんだから、視界にも入っていただろうし、音でも分かるはずなのよ!!」

 確かにその通りだ。


「みんなの誤解を解くのに必死で周りは気にしていませんでした」

「あなた、本当にアサシンなのよ??」


「そうです、ボクがアサシンです!!」

「アサシンがあれだけの音に気づかないなんて致命的なのよ!!」

「それは……その通りです……」


『本当のボクの適性職業はバカシン……もといアサシンですからね』……と言い返そうとも思ったが、アリアには正式な適性職業がバレたくないので、ボクは肩を落とした。


「そんなことないデス!! 師匠はすごいアサシンデス!!」

「あら? どこがすごいのよ??」


「師匠は脚力だけで空を飛べるデス!! アリアはもちろん、他のアサシンにはできない芸当デス」

 アリア、うれしいことを言ってくれるじゃないか。


「そうですよ、ボクは空気を蹴って空を飛べるアサシンなんですから」

「空なら私だって飛べるのよ。威張ることでもないのよ」


「あなたが空を飛べるのは、羽のある堕天使だからデス!! 羽のない師匠が空を飛べることはすごいことなんデス!!」

 言い返すアリア。


「あのー、ケンカでお取込み中のところ申し訳ないんですけどー、サイレントさんー、インフィニティー、言い合いをしている間に、アーノム・ギトーゲの兵士との差がさらに縮まったみたいですけどー」

「「「「「おとなしくお縄につけ、懸賞金!!」」」」」


 もはや目と鼻の先まで空飛ぶ機械に乗ったアーノム・ギトーゲの兵士たちが迫ってきた。


忙しい人のためのまとめ話

 院長先生、絶対にアリアを諦めない。

 サイレント一行、言い合いをしてアーノム・ギトーゲの兵士たちに追いつかれる。


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