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第2話 サイレント、アリアに魔法・ボルケーノを唱えないようにお願いする

これまでのあらすじ

 サイレント、アーノム・ギトーゲの兵士たちから逃げる。

 アーノム・ギトーゲの兵士たち、逃げるサイレントたちに猛攻撃を仕掛ける。

 

「うわっ、こんな数の攻撃、よけ切れるわけないじゃないか!!」

 ボクは上空であたふたする。


「よけずにスピードを上げるのよ、サイレント!! 飛んでくる魔法よりも速く逃げることができれば、当たることはないのよ!!」

 隣で飛んでいた院長先生が叫ぶ。


「なるほど」

 ボクはうなずいて、全速力でスピードを上げた。

 だが全力で速度を上げているにも関わらず、ボクの脇を数多くの魔法や弓矢が追い抜いていく。


「院長先生、地上ならまだしも、空を飛びながら、弓矢や魔法よりも速く動くなんてできないですよ!!」

「それでも、あの空飛ぶ金属機械と差をつけないと、捕まってしまうのよ。私が前に出て風よけになって先導するから、サイレントはついてくると良いのよ」


「分かりました……って、先導するフリをして、ボクを盾にする気ですね」


 魔法は後ろから飛んでくるんだ。

 ボクの前に出れば、院長先生に当たらないだろう。


「あら、結果的にはそうなるのよ。全然、まったく、何にも気づかなかったのよ」

 白々しい言い方をする院長先生。

 うん、間違いなく知っていて言っていたね。


「院長先生が先導して風よけになってくれたとしても、もしも攻撃が直撃してケガでもしたら、空動ができなくなりますよ。空動ができなくなれば飛べなくなっちゃうかもしれないんですよ」


「追いつかれて捕まったらそれこそ意味がないのよ」

「それはそうですが……って、言いあっているそばから、ボクの脚にファイヤーボルトが!!」


 どうする??

 このままだと、よけきれずに脚が燃えちゃう!!


 燃える脚って、なんかカッコいいな……って思っている場合じゃない。

 はやく何とかしないと……って、対処法なんか全然思いつかない。


「アリアに任せるデス!! ファイヤーボルト!!」


 ボンっという音がした。

 どうやら、アリアが魔法を唱えて、魔法を相殺してくれたようだ。


「ありがとう、アリア」

「どういたしましてデス」


「ところで、アリア、アリアって、ファイヤーボルトの魔法が使えたっけ??」

「先ほど魔眼でコピーしたデス」


「そっか、アリアは魔眼で一度見た技はコピーできるんだっけ」

「アリアの今の能力でコピーできるものしかコピーできないデスが」


「アリアさんはすごいですねー。相手の魔法をコピーできるなんて天才ですー」

 院長先生に抱えられたフラットさんが甘ったるい声でアリアを拍手しながら賞賛する。


「いえいえ、滅相ないデス」

 謙虚だな、アリアは。


 ホーリィの魔法が使えて戦闘経験のある院長先生に褒められて謙遜するなら分かるけど、戦闘経験なんてないに等しい冒険者ギルドの受付を担当しているフラットさんに褒められても、謙遜なんかする必要なんかないのに。


 ボクなら、きっと『もっと褒めてくれてもいいんですよ??』なんていうところだ。


「もしでしたら、魔法・ボルケーノを使って、兵士もろとも火の海にすることもできるデス」

 謙遜はしているけど、うれしかったんだね、アリア。


「それはいい案なのよ!!」

 院長先生が何か悪いことを思いついた笑みをうかべる。


「アリア、それはやめようか。マグマを呼びよせて人間界を火の海にしてしまったら、ボク達……というより、ボクの立場が非常に悪くなっちゃうからね」


 ついさっきも、院長先生がつぶやいた言葉を大声で叫んだだけなのに、ボクのせいにされてしまった。


 こんなところでアリアがボルケーノなんか唱えて、あたり一面をマグマだらけにしたら、絶対に指名手配されているボクのせいになっちゃうじゃないか。


「デスが……」

「アリアは、アーノム・ギトーゲの兵士たちの魔法をコピーして、同じ魔法でボクを守ればいいのよ」

「分かったデス」


「さて、話はまとまったのよ。兵士たちの魔法攻撃はアリアちゃんに任せて、あなたはスピードを上げることだけ考えるのよ!!」

「分かりました!!」


 まじめなアリアなら安心して後ろを任せられる。

 ボクは院長先生を風よけにしながら、いつもより脚に強く力を入れて空を蹴った。


「さすが師匠、すごいスピードデス!!」

「このスピードなら、少しずつ逃げられるはずだけど、このペースで体力は大丈夫なのよ??」


「このくらい楽勝ですよ!」

 本当はちょっと辛いけど。

 ここは無理をしてでも、兵士と距離を引き離さなくちゃね。


「それなら、このスピードで逃げるのよ」


 …………

 ……


「はぁ、はぁ、はぁ」


 ボクは肩で息をしながら、アリアを背負いながら何度も空動を使う。

 さすがに空動の使いすぎかもしれない。


「苦しそうデスが、大丈夫デスか、師匠??」

 背中におぶさっているアリアが心配そうな声で尋ねてきた。


「うん、なんとかね」

 ボクはやせ我慢をして答えた。


 何度も何度も空動を使っているので疲れているのは確かだが、追ってくる兵士たちとあまり距離ができていないんだよな……


「なんとかってことは、少しは辛いってことなのよ? 私はまだ体力が残っているから、私がアリアちゃんを運んであげるのよ」


 ボクとアリアの会話を聞いていたのか、院長先生がボクのスピードに合わせて、隣まで来てボクを気遣ってくれた。


「ありがとうございます」

 ボクがお礼を言うと、院長先生は何かを企んでいる笑みをボクに向けてきた。

 なんだ、いったい何を企んでいるんだ、院長先生は。

忙しい人のためのまとめ話

 兵士たちから逃げるサイレント、アリアにボルケーノを唱えないようにお願いする。

 サイレント、院長先生が何かを企んでいることに気づく。

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