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第1話 サイレント、兵士たちに追われたので口車に乗せようとする!?

これまでのあらすじ

※未読の方はネタバレ注意です


 ボクの名前はサイレント。

 自分で言うのもなんだけど、ボクはバカなんだ。


 ひょんなことから、住んでいたカバッカ町を追い出されて、アリアと旅をすることになったんだ。


 追放先に選んだのは、カバッカ町と対立しているホバッカ村なんだけど、ボクが格好をつけたかったばかりに、ホバッカ村も追放されるんだ。


 ホバッカ町を追放された後は、フェス様を信仰しているニック村に立ち寄ったんだけれど、そのフェス様を倒してしまい、追放。


 その後、ミスリド海集落で、ボクが育った孤児院の院長先生と再会したんだけど、院長先生から、アリアは魔族だと聞かされるんだ。


 そして、いつの間にかボクがアリアに求婚をしていて、アリアと婚約まで済ませているとも聞かされるんだ。

 

 魔族と人間が結婚すると全世界を敵に回すと知ったボクは、婚約を解消するために、天界に行って、願いを叶える杖を手にしたのに、別の願い事をしてしまい、婚約解消はできずじまい。


 それどころか、天使に命を狙われることになってしまったんだ。


 人の少ないところだと、すぐに天使に見つかってしまうと院長先生に忠告されたボクは、人の多いアーノム・ギトーゲに行ったのだけれど、なぜか全国指名手配されてしまっていたんだ。


 途中で出会ったホバッカ村出身の冒険者ギルド受付のフラットさんの機転で、女装してアーノム・ギトーゲに入ったまでは良かったんだけれど、そこで人助けをしている最中、背後から来ている人々に気づかずに、女装を解いてしまい、今、アーノム・ギトーゲの兵士に追われているんだ。


「「「「待て、指名手配犯、サイレント!!」」」」


 ブロロロロ……とうるさい音を出す空飛ぶ金属機械に追われていた。

 正確には、金属機械に乗ったアーノム・ギトーゲの兵士たちだけど。


「イヤだよ」


 空飛ぶ金属機械は、ボクの空動と同じくらいの速さなのか、なかなか距離を引き離せない。

 引き離せないだけならまだいい。

 少しずつ追いつかれてきている。


「おとなしくお縄につけ、サイレント!! ファイヤーボルト!!」

 空飛ぶ金属機械には魔法使いも乗っているのか、後ろから魔法が飛んでくるのも面倒だ。


「お縄につかせたいなら、焼身死体ができてしまうファイヤーボルトなんか唱えないでよね!!」

 ボクは金属機械の音にかき消されないように後ろを振り返りながら大声で叫んだ。


「お前の懸賞金はデッド・オア・アライブだから丸焦げでも問題ないのだ!! だから、おとなしく丸焦げになれ!!」


「丸焦げになったら身元確認できないんじゃないのよ?? 身元確認できなければ、懸賞金がもらえないんじゃないのよ??」

 疑問をつぶやいたのはボクの隣でフラットさんを抱えながら羽ばたく院長先生だ。


 そうだよ、院長先生の言う通りだよ。

 ボクが丸焦げになったら、懸賞金はもらえないだろう。


 丸焦げになったら、困るのはアーノム・ギトーゲの兵士たちなんだから、おとなしくファイヤー・ボルトを放つのをやめるだろう。

 そう高をくくったボクは前を向いて、逃げ始めた。


「サイレントがlこっちを見ていないぞ!! もっとファイヤーボルトを撃ちまくって、サイレントを燃やせ!!」


「ちょっと、ちょっと、なんでさっきよりも多くのファイヤーボルトに狙われるんだよ!!」

 ボクを丸焦げ死体にして困るのは君たちアーノム・ギトーゲの兵士たちなのに。


「私のつぶやきが聞こえてなかったみたいなのよ」

 あ、そっか。

 院長先生はつぶやいただけだから、空飛ぶ機械が出す騒音にかき消されてしまったってわけか。


「丸焦げになったら、身元確認できないじゃないか!! 身元確認できなければ懸賞金がもらえないんじゃないか!! おとなしく、ファイヤー・ボルトを放つのをやめなさい!!」

 ボクは後ろを振り返り、院長先生がつぶやいた内容を大声で叫ぶ。


「どうやら、サイレントはファイヤーボルトを嫌っているようだぞ! もっと放て!!」

 さらに多くのファイヤー・ボルトがボクに向かって飛んできた。


「ボクの話聞いていた?? ファイヤーボルトで僕を焼き尽くしたら、身元確認ができないんだって!!」


「うるさいな! なんとなくサイレントっぽければいいんだよ!! 焼死体になれ、サイレント!!」

「そんな無茶苦茶な!!」


「サイレントっぽくていいなら、別にサイレントじゃなくてもいいのよ??」

 確かに、院長先生のつぶやく通りだ。

 ボク死体じゃなくて、サイレントっぽい死体があればいいわけだから。


「ボクっぽい焼死体で良いなら、ボクじゃなくてもいいんじゃない??」

 ボクは院長先生の言葉を大声で叫んだ。


「おお、そうだ!! 俺の隣にいるこいつでもファイヤーボルトで丸焦げにすれば、サイレントっぽい死体が出来上がる!!」

「おいおい、仲間を丸焦げにする気か??」


「あ、いや、そのだな……」

「先に言っておくが、サイレントの体型に似ているのは、お前だからな!!」


 あれ??

 アーノム・ギトーゲの兵士たち、仲間割れをし始めたぞ??


「そうそう、ボクっぽい丸焦げ死体を作るために、仲間割れをするのが一番だよ!!」


「敵に懐柔されているんじゃない!! 仲間割れさせるのが明白じゃないか!!」

「あれれ、おかしいぞ? どうして仲間割れさせる作戦がバレたんだろう??」

 頭をひねるボク。


「あなたが自分で仲間割れするのが一番と口に出したからなのよ!!」

「はっ、しまった!!」


「まったく、言わないことまで言うのものじゃないのよ」

「本当にすみません」

 今度はボクが院長先生と仲間割れする番だった。


「『しまった』とか、本当に白々しい」「最初から同士討ちさせることが狙いじゃないか」「指名手配されるほど悪名高いサイレントの口車には絶対に乗るな!! とにかく炎魔法以外で遠隔攻撃だ」


「ちょっと待って!! ボクっぽい焼死体を作ればいいと最初に提案したのは院長先生で、ボクの案じゃないから!!」


「さすがは極悪非道で全国指名手配されているサイレントだ。焼死体の件は自分で言い出したことなのに味方のせいにするなんて」

「最低なのよ、サイレント」


 あれれ?

 おかしいぞ??

 院長先生がいつの間にかボクを裏切っている。


「いや、でも、実際には院長先生が……」

「私はつぶやいただけでアーノム・ギトーゲの兵士たちに声は届いていないのよ。大声で叫んだのは紛れもないあなたなのよ、サイレント」


「確かにその通りですね……」

 この件についてはうなずくしかなかった。


「こんな高額懸賞き……じゃなかった、極悪非道な外道を野放しにするな!!」

 今、明らかに高額懸賞金って言おうとしたよね。

 お金で動いているよね、明らかに。


「「「「「うぉーーーーーー!!」」」」」

 炎魔法は飛んでこなくなったものの、兵士たちの大歓声とともに、先ほどよりも多くの弓矢に水魔法に風魔法、それに土魔法まで飛んできた。

忙しい人のためのまとめ話


 サイレント、炎魔法で狙われる。

 サイレント、口車に乗せようとするが失敗する。


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