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第51話 アリア vs フランケン・シュタイン

これまでのあらすじ

 サイレント、フランケン・シュタインを成敗するようにアリアに言う。

 フランケン・シュタイン、アリアに興味を示す。




「勝手に城の中庭を戦場にするんじゃないのじゃっ!!」

 確かに、姫様の言うことももっともだ。

 さて、なんて言い訳をしようか……


「あげは様、あげは様、この愚民の代表である愚かなワタクシめにご命令を! あげは様!!」


「ちょっと、このエロじじいっ!! 抱き着くんじゃないっ!! このままだと、中庭が戦場になるのじゃっ!!」


 どうやら、アリアが気絶した時に幻覚魔法も切れてしまったから、いつもの王様に戻ってしまったようだ。


 アリア、王様を元に戻すんだ……と言いかけて、ボクはその言葉をひっこめた。


 今からアリアはフランケン・シュタインと戦うのだ。

 少しでも魔力は温存したいはずだ。

 幻覚魔法をかけてくれ……とは言えない。


「あげは様、あげは様、この愚民の代表である愚かなワタクシめにご命令を! あげは様!!」


 ボクはもう一度、姫様に抱き着く王様を見た。

 このまま、何もしなければ、王様は姫様に抱き着いたままだろう。


「はやく、なんとかするのじゃっ!!」


「分かったのよ。もしかしたら、ヒールで治るかもしれないのよ」

「ヒールは効かないことは分かっているのじゃっ!!」

「それはやってみないと分からないのよ」


 院長先生はこのまま外に行け……とボクにアイコンコンタクトを送ってくる。


 よし、姫様の『城を戦場にするな』という苦情は聞かなかったことにして、さっさと中庭に行ってしまおう。


 …………

 ……


 円形の中庭に出ると、曇り空で今にも雨が降り出しそうな天気だった。

 中庭の地形は平らで、瞬動を使うには問題なさそうだ。


 フランケン・シュタインとアリアは対峙する。

 見物者はボクとフラットさんのみだ。


「さて、僕にアリアっちの今の実力を見せてくれるかい??」

「いくデスよ!!」

 アリアは大鎌をかまえると、瞬動で一気にフランケン・シュタインと距離を詰めた。


「瞬動で一度距離を詰めるのはー、サイレントさんと同じスタイルですねー、でも……」

「もしかして、その程度のスキルで強くなったつもりなのかい??」


「やはりー、瞬動だけではー、フランケン・シュタインは驚かないですねー」

 フラットさんの言う通り、距離を詰められているというのに、フランケン・シュタインは余裕綽々だ。


「余裕でいられるのも今だけデス」

 フランケン・シュタインの目の前でアリアは大鎌を振り下ろす。


「当てられると本気で思っているのかい??」

「なるほどー、風魔法を自分の脚にかけてー、一時的に自分の速度を高めているんですねー。その速度は、アリアさんの移動速度を上回っていますねー」


 あれは、ヴァンパイア・あげはの移動術だ。


「まだデス!! 瞬動2連!!」

「だから瞬動だけじゃ、僕に追いつけないんだってば!! 僕のことを舐めているのかい??」


 またもヴァンパイア・あげはと同じ移動術で逃げるフランケン・シュタイン。


「くっ」

 アリアは唇を噛んだ。


「大丈夫、アリア。ヴァンパイア・あげはの移動術は脚への負担が大きいから、ダメージがたまっているはずだ!!」

「そうは見えないですけどー」


「あの『おバカなあげは』と僕を一緒にしないでくれるかい?? 魔法制御が大雑把なおバカと違って、僕の風魔法は完璧なんだよ。だから、脚への負担はないんだ」

「何だって!?」


 そんなの、最強の移動術じゃないか。

 最近のSランクの魔物って、こんなにも強いの??


「それなら、これはどうデスか??」


 アリアはフランケン・シュタインと同じくらいの速さでフランケン・シュタインの元へと移動をした。


 その速さにフランケン・シュタインは口笛をピューと吹く。


「すごい、アリア!! フランケン・シュタインの魔法をコピーしたんだね!?」

「正確にはー、脚に風魔法を付与するとともに、瞬動も使っていますねー」


「おお、それならフランケン・シュタインよりも速く動けるじゃないか!! すごいよ、アリア!!」


 さすが、アリアだ。

 ボクの瞬動とフランケン・シュタインの風魔法を組み合わせるなんて。


「僕が見たかったのはそういうのだよ!!」

 興奮するフランケン・シュタイン。


「でも、良かったのかい?? 僕を大鎌で斬る最後のチャンスだったかもしれないのに」

「何を言っているデスか?? 貴女よりもはやく動けるんデスよ?? いつだってチャンスはあるデス!!」


「その通りだよ、アリア! この勝負、アリアの勝ちだ!!」

「そうデス、アリアの勝ちデス!!」


 アリアが勝利戦をした瞬間、フランケン・シュタインの姿が目の前から消えた。


「勝ってもいないのに、勝利宣言するのかい??」

「え? フランケン・シュタインの姿が消えた??」


 油断をしていたわけではない。

 瞬きをしていたわけでもない。

 ボクはずっとフランケン・シュタインを見ていた。

 それなのに、フランケン・シュタインの姿を見失った……そんなことありえるのか??


「ねえ、アリアっち、僕が瞬動を使えないと本気で思っていたのかい??」

 フランケン・シュタインは移動しながら話しているようで、姿は見えずに声だけ聞こえる。


「なるほどー、フランケン・シュタインも瞬動が使えて、瞬動と共に風魔法もかけているってことですねー。これじゃ、勝負は五分五分ですねー」


 ゴブゴブ?? 何、お水の話?? それとも、新種のゴブリンの話??

 良く分からない。

 良く分からないけど、ボクが言えることはただ一つだ。


「アリア、そのまま立ち止まっていたら、間違いなく攻撃の的になる。アリアも瞬動と風魔法で動き続けるんだ!! そうすれば、フランケン・シュタインもおいそれとは攻撃できない!!」


「分かったデス」


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、戦場を城の中庭に変える。

 アリア、フランケン・シュタインと戦うがフランケン・シュタインが強すぎる。


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