第50話 サイレント、フランケン・シュタインを成敗するようにアリアに言う
これまでのあらすじ
アリアが目を覚まし、サイレントパーティー、平常運転になる。
サイレント、性格が悪そうな女の子がフランケン・シュタインだと知る。
「ちょっと、何で敵をベタ褒めしているのよ!!」
「だって、すごいものはすごいじゃないですか!!」
「確かに、妹さんの言う通り、フランケン・シュタインはすごいデス。光魔法が使えないアリアとは大違いデス」
「いやいや、アリアもすごいから!!」
「本当デスか??」
「そうだよ、アリアには見ただけで相手の魔法をコピーできる魔眼があるじゃないか!!」
「ちょっと待って。今、魔眼って言ったのかい?」
片眼鏡の中の眼を光らせるフランケン・シュタイン。
「そうデス……」
アリアは首をすくめながら、力なくうなずいた。
あれれ、これはまずい雰囲気だぞ……
「あれあれ、君、どこかで見たことがあるような……あ、もしかして君は、アリアっちかい??」
「そうデス……」
「やっぱり! 久しぶりだね。元気にしていたかい??」
「相変わらず、自分の興味がそそらないと人の顔を思い出さないんデスね……」
「それはそうだよ。興味がそそらないものに僕の時間を浪費するのはもったいないからね。ところで、僕がボルケーノの魔法を教えた時も魔眼が使えたのかい??」
「あの時は使えてなかったデス。開眼したのはあなたと出会った後デス」
「へえ、そうなんだ……魔眼の開眼条件は何だい? どうやって遺伝するんだい? どんな構造なんだい? どんな香りがするんだい? 潰したらどんな音を出すんだい? どんな味がするんだい? 僕、俄然、興味がでてきたから、その魔眼ちょうだい!」
真っ赤なベロをぺろりと出しながら質問を矢継ぎ早にしてくるフランケン・シュタイン。
ちょうだいって……アリアの眼だよ??
やばい魔族じゃないか。
Sランクで弱いのに。
ん? Sランク??
アリアはDランクのスケアード・スライムを倒したこともあるんだ。
フランケン・シュタインがSランクなら、余裕で倒せるじゃないか。
「アリア、フランケン・シュタインを懲らしめてあげなさい!!」
「アリアがデスか??」
「そうだよ。フランケン・シュタインは、アリアの魔眼を奪おうとしているんだよ? 黙って奪わせるわけにはいかないでしょ」
「無理デス!!」
肩を震わせて大声を出すアリア。
「無理かどうかはやってみないと分からないじゃないか!!」
「無理なんデス!」
「そうだよね、アリアっち。僕の恐ろしさはその身に分からせてあげたもんね」
にやっと嗤うフランケン・シュタイン。
「アリアちゃんが戦えないというなら、私と戦うといいのよ!! ホーリィー!!」
「また、その技かい?? ウィンド・ブレード!!」
フランケン・シュタインは、院長先生の作った光の槍の軌道を風魔法で変えると、院長先生の脚にささった。
「ぐはっ、やられたのよ」
院長先生がSランクの魔物にこんなにもあっさりとやられただって!?
一体なんで??
「少ない魔力残量で僕に魔法なんか使うから自滅をするんだよ」
あ、そっか。
院長先生、アリアに回復魔法をかけたし、何回もホーリィーを唱えていたから、魔力残量が少なかったから、あっさりと負けてしまったのか……
「くっ……言い返せないのよ」
「何か他に策がないなら、そこでおとなしくしていてくれないかい??」
まるでゴミを見るかのような目で院長先生を見てくるフランケン・シュタイン。
「大丈夫ですか、院長先生」
「ヒールをかけたから大丈夫なのよ。ただ、ちょっと、魔力を使い果たしたから、少し休ませてほしいのよ」
「分かりました、フランケン・シュタインはこちらで止めます!!」
「よろしくなのよ」
「さて、アリア、君ならフランケン・シュタインにも勝てると思うけど、どうする??」
「無理デス。院長先生でも敵わなかったのに、アリアにフランケン・シュタインの相手は無理デス」
「そんなことないよ、アリア。アリアは魔王を倒すのが目標なんでしょ??」
「そうデス」
「相手は魔王じゃないんだ。今の相手は、Sランクのフランケン・シュタインなんだ!! フランケン・シュタインも倒せないようじゃ魔王になんて到底敵わないよ!!」
「そうデスよね、アリア、戦うデス!!」
アリアはやる気になったようだ。
「アリアっち、僕とやる気ならここじゃなくて、中庭に場所を変えないかい??」
「何を企んでいるんデスか??」
「何にも企んでないよ。こんな狭くてボコボコなところじゃ、君の実力は発揮できないんじゃないかい??」
「もしかして、フランケン・シュタインは戦闘狂なの?」
「僕が戦闘狂?? そんなことないさ」
「それなら何でアリアが有利な場所を選ぶのさ??」
「それは、知識欲がとても強いからデス」
「その通りだよ、アリアっち。僕は君の魔眼をよい環境でじっくりと観察したいからね」
「じっくりと観察するためなら、アリアに有利な場所でも問題ないってこと??」
「場所を変えた程度で、この僕がアリアっちに負けるわけないしね」
「舐められてるよ、アリア!! ここは強くなったアリアを見せつけるんだ!!」
Sランクでスライムより弱いのに、アリアをバカにするなんて許せない!!
「分かったデス。場所を変えて正々堂々勝負デス!!」
「それならー、行きましょうー!!」
フラットさん、わくわくしすぎだよ……
ずっと冒険者ギルドで、実際の戦いを間近で見たことないからかもしれないけどさ。
忙しい人のためのまとめ話
サイレント、フランケン・シュタインを成敗するようにアリアに言う。
フランケン・シュタイン、アリアに興味を示す。