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第46話 サイレント、フランシュの技を見極める!?

これまでのあらすじ

 アリア、フランシュの攻撃で倒れる。

 サイレントと院長先生、フランシュをだましうちするが、効果なし。



「さて、今度はこっちから仕掛けさせてもらうで!!」

 そう叫びながら、フランシュは拳で床を思い切り叩き続けた。


「何をしているの? 床なんか叩いて」

「教えるわけないやろ」

 そう言いながら、にやりと嗤うフランシュ。


「まさか、地面を揺らせて、移動しづらくする作戦だな!?」

「もっと、合理的な作戦や!!」

 フランシュが叫ぶと、床に隆起ができた。


 まずい。

 こんなにガタガタだと瞬動は使えない。


 ピンチだ……なんてことにはならないもんね。

 ボクにはスキル・空動があるんだから!!


 ボクは空気を蹴った。


「痛い!!」

 ボクが空気を蹴った瞬間、思い切り頭を強打した。


「何やっとるんや!! 自分から天井に頭をぶつけとるやんけ」


 そっか、空動は空を飛ぶのには向いているけど、天井のある室内では使い辛いのか……

 ボクは頭を押さえながら、院長先生にアイコンタクトをとって、コクリとうなずいた。


「アース・ムーブ」

 ボクが院長先生とアイコンタクトをとった瞬間、フランシュが魔法を唱える。


 アースってことは、土魔法だろうけど、何の魔法だ?


 いや、どんな魔法でも関係ない。

 院長先生とアイコンタクトをとった行動……つまり、逃げなくては!!


 ボクは窓の外を見た。

 あれ?


 窓の外が土で覆われている……だと?

 ボクはフランシュに目を向けた。


「最初から逃げるつもりやったんやろ? わかっとんねん!!」

「ふふふ……ボクが逃げる?? 本当にそう思うのかい?」


 ボクは不敵に笑ってからフランシュに尋ねる。


「違うんか?」

「その通りだよ!!」


 これじゃあ、外に出られないじゃないか……


「ここから逃げたければ、わいを倒すことやな!!」

 フランシュは叫びながら、その場でパンチを何発か繰り出す。


 瞬動……って、全然動けない。

 先ほどいた場所から半歩くらいしか動いていないじゃないか……


 このままだと、アリアと同じく大ダメージだ。


 ボクは大ダメージを覚悟して、ダガーを構えた。


 だがしかし、一向に風圧が来ない。

 それどころか、ボクの背後にあった壁だけがパンチされたかのようにえぐれていた。


 あれ?

 もしかして……


「もしかして、君の風圧を繰り出すパンチって、直線上にしか繰り出せないんじゃないの?」


「ほう、わいの風圧拳を見極めるとは、あんさん、ただ者やないな」


「うん、ボクはただ者じゃないんだ。もう、君の風圧拳は見極めたんだから、ここは諦めて帰ってくれないかな」


「せやな……って帰るわけないやろ!! これならどうや??」


 フランシュは、自分の位置をかえながら、何度もパンチを繰り出す。


「まさかの連続技!?」

「あんさんによけ切れるか??」


「余裕!!」


 直線的だから、フランシュと一直線上にならないように、ボクは迫りくる見えない風圧拳をかわし続ける。


 よし、足場は悪いけど、少しずつだが距離は詰められる。

 このまま距離を詰めれば、フランシュに攻撃できるはずだ。


「さよか」

 フランシュはニッとシニカルに嗤った。


 何を嗤っているんだ?

 フランシュは。


「サイレント!!」


 背後から院長先生の大声が聞こえたので、ボクは背筋がゾッとした。

 しまった、フランシュに誘導されていた。


 ボクとアリアとアリアを介抱している院長先生とが一直線上に並ぶように。

 このままボクが風圧を避ければ、アリアと院長先生に当たってしまう。


 下手したら、その後ろにいるお姫様やフラットさんも巻き添えを食らってしまうだろう。

 安易に避けることは絶対にできない。


 どうする、どうする……


 風圧拳をダガーで斬りつけるか?


 おそらくボクのダガーでタイミングよく風圧拳を斬りつけることができれば可能だ。

 そう目に見えない風圧拳を目視さえできれば……

 だがしかし、今のボクに風圧拳がいつくるかは分からない。


 でも、ここはまぐれあたりを期待してダガーを振り下ろすしかない。


「当たれ!!」


 思い切りダガーを振り下ろすが、風圧を斬った感触は手に伝わらない。


 くそっ、タイミングまでは読めないか……


「避けてええんやで?? 逃げるのは得意やろ??」

 ボクは覚悟を決めて両手を広げた。


「ぐふっ!!」


 お腹に大砲の球をくらったかのような衝撃が伝わる。

 意識がどこかに飛んでいきそうだ。


「大丈夫なのよ!? サイレント!?」


 ボクは院長先生の問いかけには答えず、おなかを押さえながら、ゆっくりと鼻から息を吸い込もうとした。


 だが、息を吸い込もうとするだけで、おなかに鈍痛が走り、まともに空気を吸えない。


「どうや、わいの風圧拳はいい味やろ??」

 ボクはその言葉にはこたえなかった。


「言葉も出ないほどおいしかったんやな」

「サイレント、もっとこっちに来るのよ。そうすればヒールで治してあげられるのよ!!」


 そう言いながら、こちらへとこようとする院長先生。

 そうか、院長先生のもとにさえいけばいいのか。

 ボクは気配察知とバッステップを駆使して、院長先生に近づこうとした。


「させへんで! アース・クエイク」


 フランシュが魔法を唱えると、地面が揺れ始めた。

 その揺れでうまくバックステップが使えず、脚を止めてしまった。


「足止めもできたことやし、わいの風圧拳をもう何発か食らってくれや」


 フランシュはまたもその場で何度もパンチを繰り出す。

 まずい、こんなのを何発も食らえば、死んでしまう。


 風圧拳がボクに当たる瞬間さえ分かれば、ダガーで斬れるのに……

 息がうまくできていないせいか、体が思うように動かない。


 どうする?

 どうする??


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、フランシュの風圧拳は一直線上にしか繰り出せないという弱点に気づく。

 サイレント、フランシュに誘導されて、ピンチに陥る。


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