第42話 サイレント、フランシュがいたことを伝える
これまでのあらすじ
ナ・リキン、備蓄麦が城にあったら、法案にサインをする約束をするが、実質守らない。
アリアが正直に麦がないことを伝えたので、ナ・リキンたちは安心して帰っていく。
忙しい人のためのまとめ話
サイレント、ナ・リキンが連れてきた私兵の中にフランシュがいたと伝える。
アリア、姫様に怒りの矛先を向けられる。これまでのあらすじ
ナ・リキン、備蓄麦が城にあったら、法案にサインをする約束をするが、実質守らない。
アリアが正直に麦がないことを伝えたので、ナ・リキンたちは安心して帰っていく。
「あんな不敬な人たちを帰しちゃってよかったデスか??」
「不敬ではあったが、大臣は王族を監視する役目もあるっ!! この程度で目くじらを立てていたら、毎日大臣が交代することになり、国政が安定せぬわっ!!」
なるほど、だから、罪には問えないわけか……
「それはそうかもしれないデスが、あんなやつらをのさばらせるなんてこと、アリアにはできないデス」
「うん、気持ちは分かるよ、アリア。でも、とりあえず、大鎌を取り出して殺気を出すのはやめようか」
お姫様の命をとりに来たと誤解されちゃうよ……
「デスが、あんなむかつくやつら、全員に一発ずつこの大鎌をお見舞いしないと気が収まらないデス!!」
アリアは大鎌をぎゅっとつかんだ。
「ふう、アリアが貴族たちの前で大鎌を取り出さなくて本当に良かったよ」
「どういう意味デスか??」
「もしもそんなことをしていたら、アリアがケガをしていたかもしれないからね」
「アリアがあの貴族たちに遅れをとるということデスか??」
アリアは怒りのボルテージを上げながらボクに問いただす。
「アリアは気づかなかったかもしれないけど、ナ・リキンの私兵の中に、革命軍のリーダー、フランシュが紛れ込んでいたんだよ」
うまく気配を隠していたみたいだけど、ボクは気づいていた。
……というより、うまく気配なんか隠さなくたって、見た目ですぐわかるもの。
アリアが大鎌を取り出したのがきっかけで、戦意ありとみなされて、フランシュと準備もなしに戦ったら、こっちが危なかったよ。
「革命軍のリーダー、フランシュ……デスか?」
まあ、アリアは知らなくて当然だよね。
ここは先輩としてフランシュンについて教えてあげないといけないな。
「フランシュっていうのはね……」
「フランシュ……どこかで似たような魔物の名前を聞いたことがあるデス……」
……って、聞いたことあるんかい!!
「もしかしてー、フランケン・シュタインじゃなですかー??」
話に割って入ったのは、フラットさんだった。
「そうデス!! フランケン・シュタインデス!! さすがお姉様デス」
「フランケン・シュタイン? どんな魔物なの?」
ボクはアリアにフランシュのことを教えるどころか、訊いてしまっていた。
「あなた、知らないのよ? フランケン・シュタインって言えば、秘密主義の魔物で、ほぼ何も分かっていないのよ。分かっているのは四天王の一人でSランクの魔族ってことだけなのよ!!」
「Sランクだって!? それなら、フランシュはフランケン・シュタインじゃないですね」
「何でそう言い切れるのよ??」
「めちゃくちゃ筋肉ムキムキでしたから」
Sランクって言えば、スライムよりも弱い魔物なんだよ?
ニージュー・チョーボーを一発で伸した魔物が、フランケン・シュタインなはずがない。
「全然説明になっていないのよ!!」
「え? 完璧な説明でしたよ!! 何で伝わらないんですか??」
「そうデスね。筋肉ムキムキならば、きっとフランケン・シュタインじゃないデス」
「ほら、アリアもそう言っているじゃないですか!!」
「アリアちゃんは見たことあるのよ、フランケン・シュタイン」
「はい、見たことがあるデス」
「どんな見た目なのよ??」
「アリアが昔あったときは、フランケン・シュタインの見た目はひょろひょろがりがりな子どもで、お世辞にも筋肉ムキムキとは言えないデス。もちろん、肉体改造をしていれば別デスが」
……ん?
ちょっと待って。
ひょろひょろがりがり?
肉体改造??
それって、ニージュー・チョーボーと一緒だよね?
「もしかしたら、フランシュはフランケン・シュタインかもしれないです」
「どういうことなのよ??」
「筋肉ムキムキだから、フランケン・シュタインかもしれないってことです」
「あなた、いい加減にするのよ。アリアちゃんがフランケン・シュタインは、子どものような見た目だと言っているのよ」
「ドーピングですよ!!」
ボクは叫んでしまっていた。
「ドーピング……デスか?」
「そう、ドーピング。ひょろひょろがりがりなニージュー・チョーボーはフランシュから筋肉ムキムキになる薬をもらって、強くなっていたんだ。フランケン・シュタインもドーピングで同じ薬を服用して筋肉ムキムキになっているに違いない」
「なるほど、ありえる話デス。フランケン・シュタインは、実験大好きなマッドサイエンティストデスから、新種の薬を開発した可能性は高いデス」
「つまり、フランシュはフランケン・シュタインだ!!」
「もしも、それが本当だとしたら、ゆゆしき事態じゃっ!!」
ボクたちの会話を聞いていた姫様は大声をあげた。
「そうですねー。魔族と人間が手を組んで国家転覆を企んでいるんですからー」
間延びした声で言われると、全然ゆゆしき事態に聞こえないんだけど、フラットさん。
「お主、どうしてくれるんじゃっ!? もうこちらに値段を下げるための麦を所有していないことがバレてしまったではないかっ!!」
姫様の怒りの矛先はアリアに向かってしまった。
忙しい人のためのまとめ話
サイレント、ナ・リキンが連れてきた私兵の中にフランシュがいたと伝える。
アリア、姫様に怒りの矛先を向けられる。