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第13話 サイレント、アーノム・ギトーゲに入る方法を思いつく!?

これまでのあらすじ

 サイレント、アリアと再会する。

 サイレント、指名手配されていることを忘れていたので、院長先生にほっぺをつねられる。




「すみません。もう名前を呼ばれても反応しませんから、離してください」

「本当に反省しているのよ?」


「しています」

「こちらに視線を合わせないところをみるとまだ反省していないようなのよ。いったい何を見ているのよ……って、大量のウサギなのよ!!」


 ボクの視線の先にあった大量のウサギを見た院長先生は声を上げた。


「アリアが捕まえたんですよ」

「まあ、アリアちゃん、私のためにありがとうなのよ」

 院長先生はボクのほっぺをつねっていた手を離し、アリアに抱き着こうとする。


「あなたのためじゃないデス。師匠のためデス」

 アリアは抱き着かれないように院長先生をうまくかわしながら、答えた。


「もう、アリアちゃんたら、素直じゃないんだから」

 院長先生、その言い方だと、アリアは本当は院長先生のことが好きだということになるんだけど……


「勘違いしないでほしいデス。貴女のことなんか好きじゃないデス」

 心底イヤそうな顔をするアリア。


「分かっているのよ、アリアちゃん」

 院長先生は温かい目でアリアを見てくる。


「その顔は絶対に分かっていない顔デス。これから、私があなたをどれだけ嫌いかあげていくデス」

 アリアが言った途端に『ぐー』というおなかの音が鳴った。


「話の前に、まずは朝ご飯を作るのよ」

「賛成です」「分かったデス」

 こうして、ボクたちは野外で朝ごはんをしゃれこむことになった。


「私は食べやすいように、包丁で山菜を切った後、ウサギの皮を剥ぐのよ」

 院長先生は携帯していたナイフで調理を始めてくれた。


「それならアリアは薪を集めて火を起こすデス」

 アリアはそう言うと、落ちている木々を拾いはじめた。


「よし、ボクは院長先生とアリアがさぼっていないか監視するね」

「監視という名のさぼりなのよ」

 さっそく、さぼろうとしたのがバレてしまったか。


「アリアちゃんの師匠は、近くの川から水筒に水を汲んでくるのよ」

「分かりました」


「絶対にさぼろうとしちゃダメなのよ」

「分かっていますよ」


 朝ごはんができるまで、まだ時間がかかるだろう……

 川はすぐに近いところにある。

 もしも、すぐに水を見つけて、元の場所に戻れば、手伝わされることになりそうだ。


 ここはあえて、なるべく上流に行き、きれいな水を水筒にいれよう。


 ボクはきれいな水を入れた後、気配察知で、院長先生とアリアがウサギを焼き始めたのを確認してから、ゆっくりと歩いて戻る。

 アリアが火を起こしていた近くまで来ると、良い香りが漂っていた。


「良い香りで食べごろですね。まずは、ウサギを試食しましょう」


 ボクがウサギ肉をわしづかみにしようとした瞬間、院長先生はパチンとボクの手を叩いた。

 懐かしいな、この感じ。

 孤児院にいた時を思い出す。


「神への祈りが先なのよ」

 そうですよね……

 院長先生がいるんですもんね。

 すぐには食べられないですよね。


 院長先生は焦げにならないように、ウサギ肉を火から遠ざけると、両手を組み、祝詞を唱え始めた。

 院長先生に倣って、アリアも祈り始める。


 あーあ、この祝詞は長いから、何か面白いものでもないかな……

 気配察知を使っていて、近くに虫もいないことは分かっていたので、ボクは、何気なくあたりを見回す。


 すると、大自然の中の雲一つない青空の下に日差しが差し込んできて、院長先生とアリアを明るく照らし始めた。


 その光景にボクは息をのんでしまった。

 なんて神々しい光景なんだ……


 そして、その光景にボクも交じりたい。

 そう思ったボクは、院長先生とアリア同様、一緒になって両手を組み目をつむる。


 眼を閉じて、先ほどの光景に交じり、自分が神々しい光景の一部になっていると想像すると、それだけで心があらわれた。


 そのあと、院長先生の祝詞を聞いていると、意識がだんだんと遠くなっていった。


 …………

 ……


「おーい、アリアちゃんの師匠!! 寝ているのよ?」

 ボクは院長先生に何度も呼ばれて目を開ける。


「あれ? 祝詞は終わったんですか?」

「とっくの昔に終わったのよ」


「今回は簡易な祝詞だったんですか?」

「いつも通りなのよ」


「いつもと同じ? そんなはずないですよ。いつもよりとてもはやく感じましたから」

「はやく感じたということは、昔よりも祝詞が好きになってきたんじゃない?」


「どうして好きになるとはやく感じるんですか?」

「相対性理論ってやつデス」


「相対性理論?」

 何それ? おいしいの?


「アリアちゃん、相対性理論に詳しいのよ?」

「有名な理論デスから」


「確かに、科学を習った人なら、誰でも知っている理論なのよ」

「そんなに有名なんですか?」


「超有名なのよ。光よりも速い速度で動くと、過去に戻ることができるって話きいたことないのよ?」

「そんなことが可能なんですか?」


 光より速く動けば過去に戻れるだって?

 院長先生が無知なボクをだまそうとしているんじゃないか?

 ボクはアリアに目を移した。


「光よりも速く動くことができれば、可能デス!!」

 アリアが言い切るんだから間違いはなさそうだ。


 あれ? それなら……

「ボク、アーノムギトーゲに入る、良い考えが浮かびました!!」

 ボクは大声をあげてしまった。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、相対性理論を知る。

 サイレント、アーノム・ギトーゲに入る方法を思いつく!?


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