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第60話 サイレント、ヴァンパイア・あげはを憐れむ

これまでのあらすじ

 サイレント、ヴァンパイア・あげはは日の光を克服していることを知る。

 サイレント、追い詰められるが、第3勢力の天使たちを味方につけようとする。


「ちょっと待つっす!!」


 声を上げたのは、天使長官・カナエルだった。

 ちょっと待ってよ。


 ここで目を覚ますなんて、ボク聞いてないよ!!


「ここにいる者は全員捕まえるっす!! 神様の作った杖を盗みに来たっす」

 なんてことを言うんだ、天使長官は。


 ボクも含め、全員が大ピンチじゃないか!!

 神様の杖を盗みに来たのは確かだから、何も言い返せないけど。


「ちょっと待つのよ!!」


 今度は院長先生が声をあげる。

 良かった、すぐに意識を取り戻したみたいだ。


「騙されちゃダメなのよ。私たちを捕まえろと命令した天使長官は、パルーンの変装なのよ!!」


「見苦しいっす!! ユニコーンがいないことをいいことに、でたらめを言うのはやめるっす!! 賢き天使たちよ、私を信じてこの者らを一網打尽にするっす!!」


「ほら、ムキになっているところが怪しいのよ!! パルーンの甘言に乗っちゃダメなのよ!!」


「ムキになんかなってないっす!!」

「ほら、ムキになっているのよ!!」

 子どものような言い争いをする天使長官と院長先生。


「……ってゆーか、貴女達、ぴーちくぱーちく、うるさいし。せっかく、若い人間の男の血を吸う場面が台無しだし」


「それなら、一時停戦して解放してくれないかな? ほら、天使たちが院長先生を信じようとも、天使長官カナエルを信じようとも、君がピンチなのは変わりないんだから。もしも、天使たちが天使長官のカナエルの方を信じた時は、協力するからさ」


『天使たちがカナエルの方を信じた時は協力する』……なんて言ったけど、ユニコーンがこの場に来たら、院長先生のウソなんか、一瞬でバレてしまう。


 つまりは、ほぼ間違いなく、天使たちはカナエルの言う通りにするだろう。

 それなら、今のうちにヴァンパイア・あげはと協力関係を築いたほうがいいに決まっている。


 さあ、イエスと言うんだ、ヴァンパイア・あげは。


「……ってゆーか、そもそもピンチなんかにならないし」


 ピンチにならないだって?

 何を言っているんだ、この魔族は?


 ああ、そっか、この魔族はSランク。

 頭がボクよりも悪いから、ピンチになるということが分からないんだろう。


 かわいそうな、ヴァンパイア・あげは。


「誰を捕まえればいい……………でありますか? ………………あげは様」

 昼間の門番天使が尋ねる。


 うん、そうだよね。


 天使たちは誰を捕まえればいいか、混乱するよね。

 院長先生と天使長官・カナエルが言い争っているんだもんね………って、ちょっと待って。


 ボクの聞き間違いかな?

 今、あげは様って言わなかった?


「うち以外の全員を捕まえるといいし!!」

 ボクにまたがりながら、にっこりと笑顔で指示を……もとい、命令をするヴァンパイア・あげは。


「分かった………………であります! 総員、あげは様以外、ここにいる者全員を捕まえるの………………であります!!」


 昼にあった門番天使は後ろに控えるおびただしい数の天使たちに命令を出す。


「「「「「承知!!」」」」」

 そこにいた全天使が敬礼をした。


「何で、君の命令を天使たちがきいているのさ?」


「奴隷になる記念に教えてあげるし。この神タワーの最上階にいた天使以外は全員、うちの奴隷になっているし」

「何だって!?」


「ムキになっているのよ……って、なんで私を捕まえるのよ?」「ムキになっていないっす……って、なんで私を捕まえるっすか?」


 ボクが驚いている間にも、ヴァンパイア・あげはの話も門番天使の話も聞いていなかったであろう院長先生と天使長官・カナエルが羽交い絞めにされて捕まってしまっていた。


「アリア、逃げるんだ!! 捕まったら、一生牢屋行きだぞ!!」


 ボクはアリアのいた方に顔を向けながら叫ぶ。

 アリアは立つことができたのか、そこに姿はなかった。


「少女が逃げた………………であります!! 捕まえる………………であります!!」

 良かった、アリアは逃げ回れるくらいまで、回復したみたいだ。


「……ってゆーか、自分は今からうちの奴隷になるっていうのに、この期に及んで他の人の心配とか、まじウケるし。それじゃあ、みんなが見ている前で、血をいただくし」


 ボクの首に、舌を這わせるヴァンパイア・あげは。

 反射的に持っていたダガーを放してしまった。


「それじゃあ、いただくし」


 ヴァンパイア・あげはは、ボクの首に八重歯を突き立ててくる。


 グッバイ、ボクの人生。

 ハロー、新しい奴隷人生。


「師匠を奴隷になんか絶対にさせないデス!!」

 アリアは多くの天使から逃げながらも、大鎌でヴァンパイア・あげはの腹部に横切りした。


「あたらないし」

 切りつけられたヴァンパイア・あげはは、ジャンプしてアリアの斬撃をよける。


「ちっ」

 舌打ちをするアリア。


「奴隷化で天使たちの思考速度や運動能力が落ちてるとはいえ、この数から逃げるとか、賞賛にあたいするし」

「お前なんかに褒められても、全然うれしくないデス」


「逃げろって言ったのに、どうして来たんだ!!」

 ボクは体を起こしてアリアに尋ねる。


「師匠のピンチを助けるのは弟子の務めデスから」

 ニコリと微笑むアリア。


 アリア、君はなんていい人……じゃなかった、いい魔族なんだ……


 まだ、さきほど強打した背中も痛いだろうに。

 ボク、感動しちゃったよ。


「はやく、そいつらを捕まえるし!!」

「「「「「承知!!」」」」」


 天使たちがボク達のことを捕まえに来る。

 何だよ、ここからいいシーンだってのに。


「師匠、完全に囲まれたデス」

「それなら、弟子がピンチの時助けるのは師匠の務めだね」


「瞬動からの空動!!」


「捕まらない………………であります」


 ボクはアリアをお姫様抱っこしながら、追ってくる天使たちをかわし続ける。


「さあ、ここにいる全員の天使と体力勝負だ!!」


忙しい人のためのまとめ

 サイレント、ヴァンパイア・あげはに停戦を持ちかけるるが拒まれる。

 ヴァンパイア・あげは、天使を奴隷化していたので、全員を捕まえるように命令する。

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