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第57話 サイレント、形勢逆転する!?

これまでのあらすじ

 アリア、ヴァンパイアになりかける。

 サイレント、逃げたさすぎて、空気を蹴って移動するスキルを会得する。




「形勢を逆転されたからって、にらんできても怖くなんかないんだからね」

「……ってゆーか、形勢逆転なんかされてないし」


「強がっても、無駄だよ。赤い霧がなくなっているじゃないか。魔力が尽きてきたんでしょ?」


 ボクが気づかないとでも思ったのか、ヴァンパイア・あげは。

 いつの間にか、タワー内の赤い霧がなくなっているんだよ。


「……ってゆーか、強がってないし。霧をなくしたのは、魔力を分散させないためだし」

「はいはい、打つ手がないから、とりあえず魔力を自分に戻したってだけでしょ?」


「違うし、こうするためだし」

「こうするって?」


「アリア、いつまで寝ているんだし。今すぐ起きるんだし!!」

 アリアに命令するヴァンパイア・あげは。


「あのね、アリアは君の奴隷にならないために、必死に抵抗しているんだよ。君の言うことを聞くはずがないでしょ……って、アリアが立った」


 アリアは、虚ろな瞳でこちらを見てくる。

 まさか、本当にヴァンパイア・あげはの奴隷になってしまったなんてことないよね?


「……ってゆーか、アリア、貴女が師匠に攻撃するし」


 ヴァンパイア・あげはは、またも命令を出す。


「いやいや、さすがにアリアがボクに攻撃なんてするわけないよ」

「分かったデス。ウィンド・ブレード!!」

 当たり前のようにボクに攻撃するアリア。


「アリア、正気に戻るんだ」

 ボクは魔法の風の刃を瞬動でよけながら、アリアに近づいて呼びかけた。


「……ってゆーか、うちの奴隷であることがアリアにとっての正気なんだし」

「違う! あげはの奴隷になることが正気なわけないだろ!! 奴隷になる前に戻るんだ、アリア!!」


 ボクはアリアの肩をゆする。


「肩をゆすって呼びかけても無駄だし」

「ゆるさないぞ、ヴァンパイア・あげは!!」


 こいつが悪いんだ。

 ボクは叫びながら空動でヴァンパイア・あげはと距離を一気につめた。


「相手はうちじゃないし」

 ヴァンパイア・あげはもウィンド・ブレードを唱えて距離をとる。


「いいや、ボクの相手はお前なんだよ、ヴァンパイア・あげは!!」

 ボクは叫ぶ。


「アリア、何をぼーっとしているし」

「そうだったデス。アリアの出番だったデス」


 ヴァンパイア・あげはにうながされ、ボクとヴァンパイア・あげはの真ん中に立つアリア。

「アリアどいて、そいつ倒せない」


「まずはアリアが相手デス」

「そのいきだし。ヴァンパイアに覚醒したてなんだから、今は喉から手がでるほど人間の血が欲しくて欲しくてたまらないはずだし」


「そうデス、アリア、血が欲しいデス。師匠、アリアに血を分けるデス!!」


 よだれをたらーっと垂らして、大鎌を持ちながら、襲い掛かってくるアリア。

 まずい、逃げないと。


 でも、アリアをこのままにしていていいのか?

 一瞬、そんな迷いが頭をよぎる。


「逃げちゃダメだし」

 ボクの一瞬のスキを突いて、高速移動したヴァンパイア・あげはがボクの手をがしっと掴んできた。


「やめるんだ、アリア!!」

「師匠、大丈夫デス。痛くしませんし、すぐ終わるデスから」


 アリアは大きな目をパチパチと瞬きさせながら、涎をだらだらと垂らし、ボクの首元に口を近づけた。


「気を確かに持つんだ、アリア。ヴァンパイア・あげはの奴隷なんかになっちゃいけない!!」


「きゃははは、無駄だし。今から血に飢えた弟子が師匠の血を吸い続け、師匠は出血多量で死ぬんだし。超たぎるシチュエーションだし。最期まできちんと見届けてあげるし」


 手を口に当てて大げさに嗤う女ヴァンパイア。


「師匠、失礼するデス」

 アリアは大きく口を開けて、ボクに歯を見せながらボクの眼をじっと見てきた。


「思いっきり、よろしく」

 ボクは顔を背けながらお願いする。


「分かったデス」

 次の瞬間、ざくり。

 耳元で大鎌が刺さる音がした。


「え? ぎゃーーーーーー」

 神タワー内に甲高い女ヴァンパイア・あげはの悲鳴が響き渡る。


 アリアの顔を見ると、してやったりな笑顔を浮かべていた。

 ボクは拘束をとかれたので、ヴァンパイアと距離をとって振り返る。


 ヴァンパイア・あげはは、手で右目を押さえていた。

 きっと、アリアの大鎌の攻撃が右目に直撃したのだろう。


「それじゃあ、ボクも!!」


 ボクはヴァンパイア・あげはの太ももめがけてダガーを振りおろす。


「させないし」

 ヴァンパイア・あげはは、ウィンド・ブレードを唱えて、ボク達と距離をとった。


「良かったデス。アリアが奴隷になっていないことに気づいてくれて」

「ボクは最初からアリアを信じていたからね」


 パチパチと瞬きしていたり、じっとこちらを見てきたから気づけたんだけど、本当はギリギリまで疑い続けていたけどね。


「念のために、院長先生の真似をして、風魔法を使った後、『アリアの出番デス』……って言っておいて良かったデス」


 うん、逆にその言葉があったからこそ、こっちの味方じゃないんじゃないか……って疑っていたんだけどね。

 それは言わない方がいいだろう。


「おしゃべりはここまでだ。ヴァンパイア・あげはの回復力は半端ないから、すぐに畳みかけるよ」


「分かったデス」

 さあ、ここから反撃開始だ!!


忙しい人のためのまとめ

 ヴァンパイア・あげは、アリアに命令してサイレントを追い詰める。

 アリア、ヴァンパイア・あげはの奴隷になっていなかったので、あげはに攻撃する。


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