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第21話 賞金首、サイレントの首を狙う!?

これまでのあらすじ

 サイレントと院長先生ユニコーンに追いかけられ続ける。

 サイレント、手配書で目の前が真っ暗になる。






「いぇーいー!! ついに高額賞金首をみつけたぜ!! ほかの手配書なんかもう必要ないぜ!!」


 院長先生が指さした先の木の上では、歓声をあげている男が何枚もの紙をばらまいていた。

 おそらく、全部が手配書だろう。


 ん?

 高額賞金首って、もしかして……


「まさか、カバッカ町のお尋ね者のサイレントが自分からやってくるとはな」


 やっぱりボクのことだー!!


「待て待て、賞金首。今、このAランク賞金稼ぎ『押しつぶしのロック』が岩で押しつぶしてやるからな」


『押しつぶしのロック』と名乗る、ローブを身にまとったやせ細った男がボクを追いかけながら杖を構える。

 Aランクの賞金稼ぎといえば、かなり強い人じゃないか!!


 今、賞金稼ぎを相手にしている時間なんかないんだよ。

 後ろから追いかけてきているユニコーンが見えないのか!!


「待つアル。お尋ね者はAランク賞金稼ぎ『拳のホウホウ』と呼ばれる私の獲物アル」


 今度は武闘家の格好をした女の人も追いかけてくる。


「一撃必殺・木端微塵掌こっぱみじんしょう!!」

 女賞金稼ぎが呪文を唱えている男に掌底を繰り出す。


『押しつぶしのロック』がひょいとその掌底を避けると、女の人の掌底が木に当たり、大木は一瞬で木端微塵になった。


 やべー、あんな攻撃に当たったら、紙装甲のボクなんて、一発KOだよ。

 さすがAランク賞金稼ぎ。


「どうやら賞金首の前にライバルを蹴散らさなければならないようだ。ロック・シュート」


 賞金稼ぎの男は魔法を唱えると、ボクの身長と同じくらいの大きさの岩ができて、その岩が女賞金稼ぎめがけてものすごい速さで飛ぶ。


 飛んでくる岩を避ける女賞金稼ぎ。


「おや? 木端微塵掌とやらで砕いたらどうだ?」

「さすがに岩は砕けないアル」


「ふはは、それじゃあ、俺の勝ちってことで、賞金首をいただくってことでいいな?」

 いや、賞金稼ぎ同士でボクの取り合いなんかしている場合じゃないって。


「賞金稼ぎ同士喧嘩している場合じゃないのよ。後方からユニコーンが賞金首の首を狙っているのよ」

「「なんだって!!」」


 声をそろえて驚く賞金首たち。


「追ってくるユニコーンを先に倒した方に賞金首の首をあげるのよ」

「そうそう、ユニコーンを倒した方が、ボクの首をゲットできる……って、何を言っているんですか、院長先生!!」


 それだとボク、ユニコーンから逃げられても、賞金首に殺されちゃうんですけど。


「大丈夫なのよ」

「何の根拠があって大丈夫だって言い切れるんですか?」


「サイレントの脚なら、あの賞金首から逃げきれるのよ」

 院長先生はサムズアップする。


「もしも、逃げ切れなかったら、ボク死んじゃいますよね? 賞金稼ぎが繰り出した、ものすごい威力の掌底と岩魔法で」


「それも大丈夫」

「何でですか?」


「サイレントの賞金首はアライブだけで、死んでいるサイレントを捕まえても1銭にもならないのよ」

 サムズアップをしながら笑顔の院長先生。


「なんだ、ボクの賞金首はアライブ・オンリーだったのか」


 殺される心配はなくて少しだけ安心した。


「おそらく賞金首はサイレントを半殺しにしてから引き渡すだろうし、引き渡された後には死ぬよりも恐ろしいムゴイ拷問が待っていると思うけど」


「え? なんか言いました?」


 ぼそっと言ったから聞こえなかったんだけど。


「作戦通りユニコーンと賞金稼ぎを戦わせることができそうなのよ……って言ったのよ」

「これは院長先生の作戦だったんですね?」


「その通りなのよ。まさか、森に逃げて終わりだけなんて作戦立てるわけないのよ。二重三重に策を張り巡らせるのは当然なのよ」

 なんて賢さなんだ、院長先生。


「ユニコーンを倒せばいいなら、私の方がはやいアル。一撃必殺・木端微塵掌!!」

 武闘家の女の人は向かってくるユニコーンめがけて必殺技を繰り出す。


 ドン。

 爆発のような音がしたかと思ったら、


「ひひーん」

 ユニコーンのいななく声。


 さすがのユニコーンも、大木を壊すほどの衝撃の掌底を食らえば、角は木端微塵になってどこかに飛んでいくだろう。


「ははは、バカなユニコーンめ。賞金稼ぎにやられたな」


 ボクと院長先生は走ったまま振り返る。

 振り返った瞬間、女の人がどこか遠くへと飛んで行ってしまった。


 えーっ!?

 あの攻撃をも跳ね返すの!?


「ひひーん」

 ユニコーンはさらにボルテージをあげて、ボクたちを追い続けてくる。


「ふん、木を砕ける掌底とはいえ生身で獣に突っ込むからだ。見てろ、ロック・シュート」


 もう一人の賞金稼ぎが、一軒家くらい大きい岩を魔法で作り上げ、すごい速さでユニコーンにぶつける。


 さすがのユニコーンも、巨岩を壊せないだろう。

 ボク達は脚を止めて振り返る。


「ひひーん」

「うわーっ!!」

 ユニコーンのいななく声のあと、男の人の悲鳴。


 もしかして……

 ユニコーンは巨岩をも突き破ったうえに、魔法使いの賞金稼ぎの男をも吹き飛ばし、こちらに突進してきた。


 君たちAランクじゃなかったの?

 もう少しふんばってよ!!


「院長先生、どうするんですか? 大木はなぎ倒され、ユニコーンと賞金稼ぎをマッチングさせても、賞金稼ぎが負けちゃいましたし、さっき立ち止まったせいで、だいぶ追いつかれているんですけど」


「逃げながら考えるしかないのよ」

「そんなー」


 とほほ……

 まだ追いかけっこは続くのか……


忙しい人のためのまとめ

 院長先生、ユニコーンと賞金稼ぎを戦わせる。

 賞金稼ぎ、ユニコーンに負ける。

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