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第17話 サイレント、とんとん拍子に話をすすめる!?

2024/1/28 話数が間違っていたので、訂正しました。(本文は訂正していません)


これまでのあらすじ

 サイレント、院長先生はまだ結婚適齢期じゃないことを知る。

 サイレント、アリアの口車に乗ってしまい、院長先生のパーティ加入の申し出を断ることになる。






 



「さすが、師匠!! すぐに堕天使と会って、断るデス!!」

「あ、ちょっと待って、アリア」


「どうしたデスか?」

「院長先生が堕天使だということは院長先生が自分から話すまでは、言わない方がいいと思うんだ」


「どうしてデスか?」


 どうしてかって?

 時間稼ぎだよ!!


 アリアの手前、お茶の子さいさいなんて言ったけど、どう断ればいいかわからないんだよ。

 だから、時間がほしいんだよ。


 アリアには言えないけど。


「それは……院長先生が自分から話していないってことは、きっと自分の正体を秘密にしていたいんじゃないかと思うからだよ。秘密にしておきたいことを、ボクたちがばらすのも野暮だしね」

 ボクはそれっぽいことを言ってごまかす。


「確かに、そうデスね。アリア、院長先生が堕天使だとは言わないので、断ってくださいデス」


 アリアは激しく同意した後、ボクの手を取って、院長先生のところまで引き合わせようとする。


「待って、アリア」

「どうしたデスか?」


「えっと、えっとね……」

 ダメだ、時間稼ぎが必要だというのに、何も思いつかない。


「はやく行くデス!!」

 ボクはアリアに引っ張られた。


 だから、何も考えがまとまってないんだってば!!


「あら? 二人だけのお話は終わったのよ?」


 院長先生はボクとアリアの姿を見るなり、顔に青筋を立てながら尋ねてきた。

 怒っているように見えるのは、ボクとアリアが手をつないでいたからですかね?


「終わったデス。そして、師匠から大切なお話があるデス!!」

「お話ってなんなのよ、サイレント??」


 院長先生は顔に青筋を立てたまま、首をギギギと回しボクの方に向けてきた。


「えっと、その、あのですね……なんて言えばいいのかな?」

「師匠は院長先生がパーティーに入るのに反対なんデス!!」


 アリアー!!

 何でアリアが言っちゃうの!!


「へー、サイレントは反対なのよ?」


 口元は笑ってはいるが、目は怒ったままボクを見続ける院長先生。


 怖い、怖いよ。

 まるでホラーだよ。


「そうデス。大反対デス。デスので、今回の話はなかったことにしてほしいデス!!」


 だから、何でアリアが言うの!

 ボク、何も話していないじゃないか!!


「サイレントが言うなら、私はいっこうに構わないのよ」


 だから、ボクは何も言ってないんだって。


「さすが、師匠デス! とんとん拍子で話が進んでいくデス!!」

「え? あ、それはもちろんだよ」

 ボクは何も言ってないんだけどね。


「それではお幸せに、サイレント」

 ポンと肩を叩く院長先生。


 アリアに気づかれず、院長先生だけにわかるように、ボクは小さく首を振り続けた。


 ボクの裏のメッセージに気づいた院長先生は、はぁとため息を一つつく。


「ところで、何で攻撃魔法も回復魔法も使える私をどうしてパーティーに入れてくれないのよ?」

「あなたは堕天……じゃなくて、あなたを信じれないからデス。ね、師匠」


「私を信じられないってどういうことなのよ? サイレントとは私は長い付き合いだから信頼しあっているはずなのよ……ああ、もしかして、反対したのはアリアちゃんなのよ?」


 院長先生はまるで挑発するかのように、アリアに尋ねた。


「そうデス」

 こくりとうなずくアリア。


「もしかして、アリアちゃんはサイレントが指名手配されていることを知っているのよ?」


「知っているデス」

「ああ、なるほどなのよ」


 したり顔でうなずく院長先生。


「何を一人で納得しているデスか?」

 アリアが尋ねた瞬間、にやりと笑う院長先生。


「もしかして、アリアちゃん、私をパーティーに入れないで、指名手配されているサイレントを警備兵に差し出して賞金を得ようとしているんじゃないかと思ったのよ」


「アリアはそんなことしないデス!!」

 大声を上げるアリア。


「まだ、出会ったばかりだから私は信じられないのよ」


「あなたが信じてくれなくても、師匠は信じているデス、ね、師匠」

「うん、そうだね」

 ボクはこくりとうなずいた。


 こくりとうなずいた瞬間、院長先生はぎろっとにらんできた。

『お前はどっちの味方なんだ?』……と目で尋ねてきている。


 はい、ボクはこれ以上余計なことは言いません。


「サイレントとは長い付き合いだけど、人を見る目がないのよ。それで何度も裏切られているのよ。きっと、今回もアリアちゃんに裏切られちゃうのよ」

「アリアは裏切らないデス」


 アリアは言い切った。


「それは分からないのよ。パーティーに入れてと言っても、入れてくれないし……まるで、私を排除して、サイレントに相談する相手をなくしていって、サイレントを洗脳しようとしているように見えるのよ」

「そんなことしてないデス」


「本当なのよ? パーティーに入れてくれないから、どうしても疑ってしまうのよ」

「そんなに疑うなら、パーティーに入って確認するといいデス」


 ムキになったアリアはパーティーに入ることを勧めてくる。


「いいの? アリア?」

「少しの間だけデス。アリアを信じたら、即刻、追放するデス」


 やったー。

 これで院長先生がパーティーに入るぞ。


「いやいや、アリアちゃん、そんなにムキになって、私を一時的にパーティーに迎え入れなくてもいいのよ」


 アリアの許しを得たにも関わらず、院長先生は断ってきた。


「なんで、断ってるんですか?」

 聞いたのはボクだった。


「少しの間だけじゃ、結婚できないかもしれないのよ」

「なんて言ったんですか?」

 ごにょごにょ言うから、聞き取れなっかったんだけど。


「そちらが先に私をパーティーに入れないと断ったから悪いって言ったのよ!! 少しの間だけパーティーに居て、すぐに追放じゃ、納得いかないのよ!!」


「それはそうですが……」

 確かに、先に断ったのはボク達だ。

 それですねているってことか。


「サイレントにパーティーを入れてもらえず、傷心したので、今から私はカバッカ町に帰るのよ」


「え?」

 院長先生が今からカバッカ町に帰る?


「サイレントはミスリド海集落で無事に生活しているから安心してほしいと町の警備兵に教えてあげるのよ」


 ここでまさかの脅し。

 ここは脅しに屈服せずに、院長先生と戦って足止めを……って、ダメだ、院長先生に勝てる未来が予想できない。


 それくらいに院長先生は強いんだ。

 だからといって、もしも、院長先生をこのまま見送ったら、間違いなく命を狙われ続ける……


「お願いします、パーティーに入ってください。院長先生の好きなだけパーティーにいていいですから」

 ボクは頭を下げた。


「サイレントはそう言っているけど、アリアちゃんはすぐに私をパーティーから追い出すつもりじゃない?」


「アリアも好きなだけいてもいいよね?」

 ボクはウィンクをして、アリアに伝える。


「師匠がそう言うなら、好きなだけいるといいデス」

 アリアはうつむき、片方の頬を膨らませながら、しぶしぶうなずいた。


忙しい人のためのまとめ

 サイレント、何も言わずして、院長先生のパーティ加入の申し出を断る。

 サイレントとアリア、結局、院長先生をパーティーに迎え入れる。

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