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第12話 サイレント、院長先生に泣きすがる

これまでのあらすじ

 サイレント、ダークドラゴンに啖呵を切ったと伝えて、院長先生に引かれる

 サイレント、院長先生にダークドラゴンを追い返したことを伝える。




「サイレントがダークドラゴンよりも強いなら、もしかしたら、婚約はノーリスクで破棄できるかもしれないのよ」


「本当ですか?」


「本当なのよ。多分、大丈夫なのよ」


 にっこりと笑う院長先生。

 何か裏があるような笑みだ。


「多分って、もしも契約破棄に失敗したら、死ぬより恐ろしいことが待っている……なんてことないですよね?」


「契約破棄を失敗しても、ノーリスクなのよ。だから、試してみる価値はあるのよ」

「それなら、よろしくお願いします!!」


 ボクは深く深くお辞儀をする。


「聖魔法・契約破棄」


 ボクは院長先生の魔法によって光に包まれた。

 おおっ、何か、契約解除って感じの光だぞ。


 少し経つと光が霧散していった。

 どうやら、魔法は終わったみたいだ。


「院長先生、ありがとうございます」

 ボクは院長先生に深々と頭を下げる。


「喜んでいるところ言い出しにくいんだけど……」

「どうしたんですか?」


「ごめんなのよ、サイレント。契約破棄できなかったのよ」

「そうですか……」


 こればっかりは仕方ないな。


「術をかけたものよりも強ければ、契約破棄をできるはずなのよ。サイレントとアリアちゃんが秘密の共有でもしない限り」


「ボクたちが秘密の共有なんてするはず……あ、しました、秘密の共有!」

 マジック・バックについて、秘密の共有をしてしまっていた。


「あっちゃー。秘密の共有は、エンゲージメントの契約をより強い契約にするのよ」

「そうなんですね……あ、それなら、今、アリアとの秘密をばらせば、秘密の共有じゃなくなりますよね?」


 マジック・バックの秘密なんて、たいした秘密じゃないんだ。

 ばらしちゃえ!!


「サイレントが秘密を自らばらしたら、言葉では言い表せないようなたくさんの罰が待っているのよ」

「絶対に人には知られたくない大切な秘密なので、ボクは墓場までアリアとの秘密を持っていきます」


「それがいいのよ」

「ほかには何か契約を破棄する方法はないんですか?」


「秘密の共有までされると、今の私の魔力に加えて伝説級の杖が必要なのよ」

 そっか、伝説級の杖が必要なのか……って、そんな杖、ほいほいと手に入れられるわけない。


「つまりそれって……」

「アリアちゃんとの結婚成立! おめでとう、サイレント!!」


 ぽんとボクの肩に手をおく院長先生。


 ああ、これでボクは魔族と結婚することになるのか……

 はぁ、黒髪美人で、正直で、料理も上手な奥さんか…………って、最高じゃないか!!


 あれ?

 よくよく考えてみたら、別にアリアと婚約破棄しなくても良いんじゃないか?


 何でボクはアリアと婚約破棄することにあんなにもこだわっていたんだろう……


「院長先生、ボク、アリアと結婚するしかないです。いやー困ったな」

「困っていると言いながら、鼻の下を伸ばして、とてもうれしそうなのよ、サイレント」

 あはは、やっぱりばれちゃったか。


「そんなことないですよ。いやー大変だなー」

 ボクはテンションそのままに答える。


「本当にこのままだと、大変なことになるのよ」

 まじめな顔でこたえる院長先生。


「大変なこと? そんなこと起こるわけないじゃないですか。あ、分かった。もしかして、ひがんでいるんですか?」


 何でボクとアリアが結婚すると大変なことになるんだよ?

 ボクとアリアが結婚したところで、世界は変わらないはずでしょ!?


「私、まじめに言っているのよ、サイレント。聞かないならいいのよ」

 ぷいと顔をそむける院長先生。


「すみませんでした。大変なことって何が起こるんですか?」

 ボクは頭を下げる。


「人間が魔族と結婚するのは前代未聞なのよ。人間界でも魔界でも異端の存在となり、どこにも受け入れてもらえず、追放されるのがオチなのよ」

「人間界もダメ、魔界もダメ……それなら天界……」


「天界なんて行ったら、人間族と魔族が共闘して天界を占拠しにきたと勘違いされ、あなたもアリアちゃんも一生、命を狙われるはずなのよ」


「え? それって、つまり……」


「つまり、サイレントとアリアちゃんが結婚すれば、どう転んでも、この世界のすべての種族を敵に回す可能性が高いのよ。世界を敵に回す覚悟があるなら、結婚するといいのよ」


 アリアと結婚すれば、世界中を敵に回すってことは、世界から追放されるってこと?

 聞いてないんですけど。


「何とかなりまぜんか、院長ぜんぜーぃ」

 ボクは院長先生に泣きすがる。


「うーん、なんとかしてあげたいけど……難しいのよ」

「そこを何とか!!」


「ここなら、天界に近いから、あの方法なら、契約破棄も可能だけど、リスクが大きすぎるのよ」

「それって、リスクは大きいけど、婚約破棄する策があるってことですか?」


「あるにはあるのよ。だけど、さすがに、あの方法はやりたくないのよ」

「その方法を教えてください。ボク、婚約破棄をしたいんです」


 ボクは土下座をして院長先生の情に訴える。


「もしも、婚約破棄ができれば、サイレントがフリーになるのよね? ……ということは、自動的に別嬪のアリアちゃんもフリーなるのよね? そうすれば、私とサイレントが結婚する可能性もあるし、私とアリアちゃんが結婚する可能性も……ぐふふ」


「何か言いましたか? 院長先生」

 ぼそぼそと独り言を言うから、聞こえなかったんだけど……


「いえいえ、何でもないのよ。こっちの話なのよ……それよりもサイレント、あなたにどんなことをしてでも契約を破棄したいと思う覚悟があるのよ?」


「あります」


「それなら、たった一つだけ方法があるのよ」

「本当ですか?」


忙しい人のためのまとめ

 サイレント、アリアと結婚するのもありだと思う。

 サイレント、アリアと結婚すれば世界を敵に回すことを院長先生に聞かされる。



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