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第8話 サイレント、カバッカ町の追いかけ祭りの真相を知る

これまでのあらすじ

 サイレント、アリアは院長先生が紹介したかった人ではないと知る。

 サイレント、アリアは魔族じゃないと言い張る。



「アリアの親って魔王軍の幹部で、捨てられたんですか?」

 まさか、そんな悲しい過去があったなんて……

 だから、あんなにも魔王を恨んでいたんだね……


「ただの予想なのよ。本気にしないでほしいのよ」

 院長先生は立ち上がって、ボクに指を突き付けてきた。


 なんだ、予想か。

 あまりにも迫真の演技だから本気にしちゃったじゃないか。


「なんだ、予想ですか。それなら魔王を恨む本当の理由は何なんですか?」


「そんなの知らないのよ。けど、理由は分からないけれど、アリアちゃんは魔王を良く思っていないのは確かなのよ。だから、サイレントに協力しているはずなのよ」


「なるほど……っていやいや待ってください。まだ、ボクはアリアが魔族だとは信じられません」


「信じたくない気持ちは分かるけど、私の見立てでは、間違いなくアリアちゃんは魔族なのよ」


「院長先生もボクをだまそうとしていませんか?」

「そんなことしないのよ。どうしてそんな風に思うのよ?」


「アリアは自分で『アリア、ウソがつけないんデス』って言っていたからです。ウソをつけない魔族っているんですか? 目的のためならさらっとウソをつくのが魔族ですよね?」


「『私、ウソがつけないんデス』というのが、ウソの可能性もあるのよ」


「いやいや、それはないですよ。アリアがウソをつけないせいで、何度ピンチになったことか……」

 思い出されれるピンチの数々。


「サイレントをだますためにあえてウソをつかなかっただけかもしれないのよ」


「それなら、院長先生、嘘発見調査官の前ではどうですか?」

「もしも嘘発見調査官の前でウソをつけば、ばれるのよ」


「それなら、アリアが魔族じゃない証明ができます。なぜなら、ホバッカの村で、嘘発見調査官に、『あなた達は魔物ですか?』……って、きかれたので、違いますって答えましたよ」


 そうだ、嘘発見調査官の前ではウソはつけないはずだ。


「本当にアリアちゃんが、嘘発見調査官の前で『私は魔物じゃないデス』って、こたえたの?」

「そりゃあ、そうですよ、あの時は………………ボクしか答えてない!!」

 ぞくっと全身に鳥肌がたった。


「それじゃあ、嘘発見調査官も気づかないのよ、なぜなら、アリアちゃんはこたえてないのだから」

「つまり、アリアは魔族」


 ボクは何とかアリアが魔族じゃないと否定したかった……したかったが、自論がことごとく院長先生に論破されると、もはや否定できない。


「知らないで、魔族とパーティーを組んでいたのよ?」

「知らなかったですよ。どうして教えてくれなかったんですか?」


「教えるも何も、今日会うのが初めてだから今言っているのよ」


 あ、そっか。

 院長先生が紹介したかったのは、ジューンなのだから、アリアとあっているわけないんだ。


「そういうことか」


「サイレントが魔族と一緒にいると司祭様から聞いた時は、ただの女の子と一緒にいるだけなのに、モテない司祭様がひがんでウソをついているものだと思ったけど、まさか本当だったとは思わなかったのよ」


「え? アリアの正体に気づいていたんですか!? あのモテない司祭様が?」


「サイレント、司祭様っていうのは祭りを司る方なのよ」

「そうですね」

 司祭様自身もそんなことを言っていた。


「最低限、目の前にいる魔族かどうかを見分けるスキルを習得もできないようであれば務まらないのよ。だからこそ、司祭様は祭りの内容をサイレント追い祭りに変更したのよ」


「なるほど! アリアが魔族だと気づいたから、ボクが追いかけられたんですね……って、 何でボクを追ってるんですか? 追うなら魔族のアリアですよね?」


 院長先生がさもボクを追うのが当たり前のように言うから納得しかけたけど、追いかけるのはボクじゃないよね?


「要人もいるお祭り会場で魔族がいるなんて言ったら、パニックになるじゃないの。アリアちゃんが魔族だと気づかせることなくアリアちゃんを捕まえるために司祭様はあえてあなたを追わせたのよ」


「いやいや、そんなはずないです。あの目は本気でボクを捕まえて、ボクだけをおしおきしようとしていたんですから!!」


「本当にそうだったのよ?」


「え?」


「司祭様はアリアちゃんを差し出すなら、サイレントを追わないと宣言したはずなのよ」


 あ、そういえば、確かに、アリアを差し出すなら追わないと司祭様は言っていた。


「あの言葉の本当の目的はアリアを捕まえることだったということですか?」

「それ以外何があるのよ」


「エロ司祭がアリアを嫁さんにするためにさしだせと迫ったと思ってましたよ」

「実は私もついさっき実物のアリアちゃんを見るまではそう思っていたのよ」


「そうですよね」「そうなのよ」

 目を見ながら、がっしりと握手を交わすボクと院長先生。


 お互いがお互いを認め合う。


 そして、しばしの沈黙。


「…………それで、結局アリアって誰なんですか?」

 握手をしたままのボクは、にっこりと笑って院長先生に問いかける。


「それはこっちが聞きたいのよ」

 院長先生はこれでもかというくらいの満面の笑みで返答してくれた。


「ですよね」


忙しい人のためのまとめ

 サイレント、アリアが魔族じゃないと抵抗するが諦める。

 サイレント、アリアは何者かと院長先生に問うが、院長先生は知るはずもない。



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