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第1話 アリア、サバイバルマスターを目指す!?

※第4章から、重要な伏線・ミスリードが回収され始めます。

 物語をお楽しみいただきたい方は、第1章から読むことを強くお勧めいたします。


「師匠、カバッカ町にホバッカ村、そしてニック村から追放されてしまったデスけど、これからどこへ行くデスか?」

 ボクにお姫様抱っこされたアリアが上目遣いで尋ねてきた。


「さて、どこへ行こうかな……」

 正直、どこにも行く当てなどない。


「あてもなく走っていたデスか?」

「うん、そうだね。目的地を決める時間もなく、追放されてしまったからね」


 せっかくニック村では神様と崇められるまで成り上がったのに、いつの間にか追放だよ。

 とほほ。


「それなら、目的地を決めるのでアリアを降ろしてくださいデス」

「ここ、平原で見晴らしが良いけど、大丈夫?」


 周りはボクのひざよりも低い草ばかりの草原で、もしも誰かが追ってきていたら、すぐにでも見つかりそうだ。


「大丈夫デス。たとえ見晴らしがよくても、師匠のスキル、気配察知を使えば見られる前に逃げることが可能デス」

「それもそうか」

 説得されたボクはすんなりとアリアを降ろした。


「マジック・バック」

 アリアは地面に降りた瞬間、何もない空間から物を出す魔法を唱え、地図を取り出す。


「師匠はどこへ行きたいデスか?」

 地面に地図を広げて、しゃがみこみ、両ひざと両手を使って地図の角を押さえながら、向かいたい場所を訊いてくるアリア。


『いや、地図を見せつけられても、地図記号は愚か、字も読めないほどのバカだからね?』……と言いたい。

 だけど、言えない。

 なぜならアリアにはバカだと思われるなとホバッカ町の院長先生に言われているから。


「師匠、どうしたデスか? 黙りこくって」

「ごめん、ごめん、ちょっと今考え事をしていたんだ。行きたいところだったよね? そうだな……カバッカ町やホバッカ村やニック村から離れたところがいいのかなって思っているよ」


「どうしてデスか?」

「だって、カバッカ町やホバッカ村やニック村の近くだと、ボクの素性がすぐにばれてしまうじゃないか。ニック村でボクのことがバレた時みたいにさ」


 もう追放されるのはこりごりだ。


「確かにそうデスね」

「これ以上町や村から追い出されたくないんだ。だから、誰もいないところに行こうと思っているんだけど、アリアもついてきてくれるかい?」


 一人で自給自足のスローライフをしようとも思ったんだけど、院長先生からアリアを頼まれた手前、アリアを見捨てるわけにもいかないしな。


「あの……それってその、つまり、アリアと二人だけで一生暮らすっていう告白デスか?」


 びゅー!!

 アリアが話している途中、平原に突風が吹き荒れた。


「え? なんて言ったの、アリア? アリアの声、突風のせいで聞こえなかったんだけど」

「あの、いえ、何でもないデス」


 顔を赤らませながら目を伏せるアリア。


 突風のせいでアリアがなんて言ったかはわからないけど、ここは推論するんだ、サイレント。

 アリアはなぜ今泣き出しそうなのかを。


 ……そうか、分かったぞ!!

 アリアは不安なんだ!!


 ボクがいるとはいえ、誰もいないところで自給自足の生活をしなければならないって聞かされたんだもん。


 だから、アリアは涙目なんだ。


「大丈夫、アリア。ボクがいれば、みんなが憧れるサバイバルマスターになるのも夢じゃないから!!」

 ボクはアリアの不安を取り除くために、満面の笑みでアリアの肩にぽんと手を置いた。


「違うデス!! サバイバルマスターになれるかを心配しているんじゃないデス!!」

「違うの? それなら、どうして?」


「そ、それは……師匠とアリアが同棲……じゃなくて、アリアは魔王を倒したいんデス」

 涙目で口をとがらせるアリア。


 あ、そっちか。

 誰もいないところで自給自足していたら、アリアの目標である魔王討伐ができないから、涙目だったのか。


「魔王を倒したいなら、まずはサバイバルマスターになるのが近道なんだよ」

「本当デスか、師匠!!」


「もちろん」

 ウソだよ。


 ごめんね、アリア。

 ボクは魔王を倒すなんて危険なことをアリアにしてほしくないんだ。


 そう、これはアリアと過ごしていくうちに湧いて出てきた親心みたいなものだ。

 決して、自分が危険な目に遭いたくないからでてきた保身のためなんかでは断じてない。

 絶対に保身のためじゃないんだから、勘違いしないでよね。


「アリア、まずはサバイバルマスターになるデス!!」

 意気揚々と拳を天に突き付けるアリア。


「よし、それなら、サバイバルできそうなところを探そう。ここから離れたところで、誰も人が通りそうにない場所はない?」


「そうデスね……それなら、魔王軍の本拠地でなら、人も来ないデスし、サバイバルマスターを目指しながら、魔王討伐に必要なレベル上げもできるできるはずデス」

 アリアは地図に描かれている“どくろマーク”を指さす。


「そっか、魔王軍の本拠地なら、人はほぼ来ないし、本格的なサバイバルもできるね…………って、そんなところ行けるかっ!!」


 そんなところに行ったら、ボクたちがどくろになっちゃうよ。


忙しい人のためのまとめ話

サイレント、魔王討伐を諦めさせ、アリアにサバイバルマスターを目指すよう言いくるめる。

アリア、魔王討伐とサバイバルマスターを両立させようとする。

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