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46話 サイレント、おっちゃんの元へ走る

これまでのあらすじ

 サイレント、火鳥を倒す。

 アリア、サンザールにサイレントは強いと話す。


 


 ――ボルケノ火山頂上付近――


 ボクが火鳥の首を切ったあと、すぐに嵐はやみ、雲間から出た一筋の光がボクを照らす。

 そしてさわやかな風。


 勝った!

 ボクの勝利だ!!


 両手をあげて喜びそうになったが、首を切っても生きている魔物もいることを思い出したボクは、振り返りダガーを構えなおす。


 まさか、まだ生きているなんてことはないよね?


 ダガーを構えなおした瞬間、青白い光の玉が火鳥の体から出てきた。


 ボクは警戒して、光の玉との距離をとる。

 光の玉はボクに構うこともなく、マグマの中へと消えていった。


 あれは火鳥の魂かな?

 成仏するんだよ、火鳥。


 魂を見送ったボクの目の前には、火鳥の死体。


 これも冒険者ギルドに持っていけば、お金になるかもしれない。

 足で火鳥を蹴って死んでいることを確認してから、ボクはマジック・バックに入れた。


 もちろん、クッション代わりに使った火ネズミも忘れることなく。


 よし、これで、フラットさんのクエストの報酬に加えて、火鳥の報酬もたんまりともらえるはずだ……って、いけない、いけない。

 ここに来た目的は報酬じゃなった。


 おっちゃんの薬草を探さなければいけないじゃないか。

 気配察知!


 ボクは周りの生き物の気配を確認する。


 魔物はいなさそうだ。


 これなら、安心して薬草を採取できるぞ………………って、火口に自生していた草、全部燃えちゃってる!!


 いつの間に!!


 もしかして、火鳥が羽かごを使った時かな?

 その時に、みんな燃えちゃったのかな?


 これじゃあ、薬草を採取しようがないじゃないか。

 もうおっちゃんは救えないかもしれない……


 いや、火鳥と戦った時の頂上付近と火ネズミと戦ったあたりの草が燃えただけだ。

 下の方に行けば、きっと薬草らしきものが生えているはず!!


 ボクが山を駆け下りると、そこは火の海でした。


 ……って、なんで?


 火事になる原因なんて、火鳥と火ネズミくらいのものでしょ?


 他に原因なんて……

 まさか、雷?


 雷がここら辺に落ちて、火災が発生して、風のせいで、火の海になっちゃったってこと?

 なんてこった。


 もう、ほとんど燃えカスしかない……

 おっちゃんになんて説明しよう……


 鉛のように重くなった足取りで、ボクはニック村へと駆け出した。


 …………

 ……


 宿屋の部屋の前でボクは立ち止まる。


 おっちゃんに、なんて言えばいいんだろう?


 薬草を探しに行ったけど、ごめん、見つからなかった……か?

 いやいや、薬草はあったかもしれないんだ。


 魔物との戦闘で一片の草もなくなってしまった……か?

 ああ、こういう時、自分のバカさが憎らしい。


「師匠、お帰りなさいデス」

 ボクがドアの前で突っ立っているのを、気配察知をしたのだろうアリアがボクを出迎える。


「ただいま」

「ケガはないデスか?」


「うん、ケガはないよ」

「よかったデス。それで、薬草はあったデスか?」


 アリアの問いかけにボクは目を背けた。


「そうデスか」


「おっちゃんは?」

「今は、気絶していて、病気の進行は遅れているデスが、いつ天国からのお迎えが来てもおかしくないデス」


「ボクは、なんて無力なんだ……」

「師匠のせいじゃないデス。アリアのせいデス。アリアに超熱病を治す知識や力があれば、こんなことにならなかったデス」


「いや、アリアのせいじゃないよ」


「師匠、おっちゃんの最期をみとるデス。人ジゴクの幻覚とジツゲンゴロウの実現コンボをアリアはこの眼でしっかり見ていたので、サンザールさんに良い幻覚をみせながらみとることはできるデス」


 人ジゴクとジツゲンゴロウのコンボだって?

 それだ、それだよ、アリア。


「アリア、人ジゴクの幻覚で闘気草をみせて、ジツゲンゴロウの魔法で闘気草を実物にすることはできないの?」


「師匠、一度に二つの魔法を使うデュアル・マジックは膨大な魔力と精密な魔力コントロール、それに、精神を二つ以上持っている奇才でもないとできないデス」


「アリアは奇才じゃないの?」

「アリアはコピーすることに関しては天才デスが、膨大な魔力も精密な魔力コントロールもないデスし、精神も二つ以上ないデス」


「そうなんだ……」

 数字のことはよくわからないけど、アリアにデュアル・マジックはできないってことだけは分かった。


「それなら、ディレイ・スペルとコンボすれば、闘気草は実現化できるんじゃない?」

「ディレイ・スペルは先に呪文を唱えたものを、後から発動させる技術デス。ディレイさせた呪文を発動させている間は、他の呪文は唱えられないデス」


「どういうこと?」

「もし、ファイヤーをディレイ・スペルで後から発動させたとするデス。ディレイで発動を遅らせたファイヤーを使っている間は、他の魔法は唱えられないデス」

 この方法もダメか……


「何かできることはないの? そうだ、今の成長したアリアにならデュアル・マジックができるかもしれないよ?」


「もし仮に、アリアの魔法が成功して、闘気草を実現化できたとしても、結局のところ、魔法を使わなければいけないデスので、魔法を使った瞬間、超熱病のウィルスの養分になってしまう恐れがあるデス」


「くそっ、なんてこった」


 お手上げだ。


「ごめんなさいデス」


「いや、ボクのほうこそごめん。アリアが悪いわけじゃないのに……」

 ボクたちにはもうどうすることもできないのか……


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、火鳥の素材を回収するが、薬草は燃えていて採集できず。

 サイレントとアリア、おっちゃんを助けられずに落ち込む。

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