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35話 サイレント、火ネズミを冷静に分析する

これまでのあらすじ

 サイレント、2回目の攻撃も同じ過ちで失敗する。

 サイレント、また攻撃するが、武器を取り戻したいがためだけに、最大のチャンスを逃す。


 


 


 誰だよ、火ネズミの炎が消えた『超重要なこと』を『ささいなこと』なんて思ったのは。

 はい、ボクです……って、やってる場合か!!


 どうして、火ネズミの炎が急に消えたかについて冷静に考えろ、自分。


 まず考えられることは……火ネズミの炎に包まれる魔法の時間が切れた。

 うん、その可能性は高い。


 だって、火ネズミは自分の体を炎で包む魔法を使ったままだったんだ。

 だから、魔力が切れてもおかしくない。


 いや、待て待て。

 それなら、火ネズミが炎を消した後に、すぐにまた炎に包まれるのはおかしい。


 アイズも魔力切れを起こしたことがあるけれど、回復ポーションを使わずに、一瞬で回復するなんてことはありえない。

 一瞬で魔力が回復する魔物もいないはずだ。

 つまりは魔力切れではないということだ。


 あれ、待てよ。

 魔力があるなら、火ネズミの魔力が切れるまで逃げ続ければ勝てるんじゃないか……いや、ダメだ。

 いつ火ネズミの魔力が切れるか、見当もつかない。


 こっちにはおっちゃんの命がかかっているから時間がないんだ。


 魔力切れじゃないことを前提に、短期決着にもつれ込む攻略法を考えろ。


 どうして、火ネズミの炎が一瞬だけ消えたか……


 魔力は残っているけれど、炎にずっと包まれていたために、体温が上がりすぎたから炎を消したということか?


 いやいや、ボクが全速力で火ネズミに近づいている最中に炎は消えたんだぞ。

 その一瞬で魔法を解除したら、それこそ、ボクのダガーで倒されてしまうじゃないか。


 体温が上がりすぎて冷ますのが目的だとしたら、もっとボクとの間合いが遠いときにすればいいんだ。

 体温が上がりすぎたから炎を消した説は違うな。


 それなら、ボクが走った風で炎が消えてしまったということか?

 確かに、ボクは必死だったから、全速力で走って大量の風を送ったから一瞬だけ消えた可能性もある。


 でももし風が原因だとしたら、ラカンの真似をして回転斬りをした時の方が風の量は多かったはずだ。

 風のせいでもなさそうだ。


 それなら、ボクの行動にびっくりしたから……か?

 いやいや、それはない。


 びっくりしたからなんだというんだ。


 ……いや、待てよ。

 アイズが魔法を使っているとき、後ろから気配を消して近づいてびっくりさせたら、魔法が途中で出なくなった時があったっけ……


 その時は確か、アイズが平静を取り戻したら、また発動したんだ。


 あれ?

 今の時と一緒じゃないか?


 分かったぞ!!

 火ネズミはボクがダガーを投げたのに、そのダガーをとんでもない速さで追いかけたからびっくりしたんだ。


 その瞬間、一瞬だけ魔法が解けた。


 でも、すぐに平静を取り戻したから、間髪入れずに魔法が発動した。

 こういうことだったんだ。


 つまりは火ネズミをびっくりさせて平静を保つことができなくなれば、その隙をついて倒せるはずだ。


 そんなの簡単なんだからね。

 さっきと同じことをすればいいんだから。


「もう一度、この攻撃を食らえ!!」

 ボクはまた火ネズミに向かってダガーを投げた。


 もちろん、火ネズミはそれをよける。

 ボクはまた、ダガーを投げた。


 先ほどと同じように、火ネズミは1歩だけ横にずれて、ダガーをよける。

 計画通りだ!!


 ボクは避けたダガーを先ほどと同じように全速力で追いかけた。


 ふふふ……これで火ネズミの炎は一瞬だけ消えるはず。

 これで終わりだ!

 ボクは火ネズミに切りかかった。


「熱い!! 手が、手がぁ!!」

 火ネズミの炎は一瞬だけ弱くはなってたものの、消えていなかった。


 なんで?

 なんで全部の火が消えないのさ、火ネズミ。


 話が違うじゃないか。

 いや、それよりも、大切なのは、ボクが次に取るべき行動だ。

 どうする?


 5千ゴールド……もとい、命よりも大切なダガーと倒せない火ネズミとを天秤にかけたボクは、すぐさまダガー救出に向かった。


 今度もダガーの救出には成功したので、すぐさま火ネズミを目視するために振り返る。

 いや、振り返るまでもない。


 ボクの背後にいる。

 気配察知をするまでもなく、背後に異様な熱さを感じたボクは、あわてて火ネズミと距離を取るボク。


 くっ、自分から仕掛けてきたか。

 なんとか距離をとることはできたので、すぐさま振り返る。


 そこには、目が完全に吊り上がっていて炎に包まれている巨大ネズミの姿があった。


『チュー』

 ちっ、俺の攻撃をよけやがって。いい加減に観念しろよ……とでも言いたそうだ。


 ボクはそんな火ネズミに対して、まだ、全然戦えるからという意味も込めて、ダガーを構えなおす。

 ダガーを構えなおしたものの、分からないことがある。

 どうして、火ネズミの炎は消えなかったのか……だ。


 考えろ、考えろ……

 ……はっ、もしかして、同じ驚かせ方をしたからか?


 たとえば、びっくり箱。

 初見は驚くけど、次に見たら驚くものの、最初ほど驚かない。

 それと同じだ。


 ボクが同じ驚かせ方をしたから、火ネズミは驚いたものの、自分の火が消えるまでくらいまでは驚かなかったんだ。

 だから、少しだけ炎が残った。

 そうだ、そうに違いない。


 それなら、次は新しい驚かせ方で、絶対に火ネズミを仕留めてやる!!

 あるアイディアが浮かんだボクは、気が付くと右の口角だけに力が入っていた。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、火ネズミがびっくりしたから、炎が一瞬消えたと推測する。

 サイレント、同じ攻撃をするが、二度目なので火ネズミはそれほど驚かず、攻撃失敗。


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