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22話 サイレント、アリアとパーティーを組む!?

これまでのあらすじ

 サイレント、フラットさんと雑談をする。

 サイレント、地図を買おうとする。




「サイレントさんはラカンさんのパーティーには所属していないので、サイレントさんは何処にも所属していないフリーの個人冒険者ですからー」


「確かに、ボクは今どこにも所属していないフリーの個人冒険者だけど、それだとどうしてツケができないの?」


「フリーの個人冒険者は、パーティーを組んでいる冒険者と比べると死亡率も高いですから、ツケ払いはお断りしてるんですー」


「ボクは死にません!! だからツケ払いさせてください!!」


 ボクは頭を下げて頼み込む。


「サイレントさんに頭を下げて頼まれると断りにくいのですがー、でも規則ですのでー」


 やんわりと断られたよ。


「それなら、ボクはパーティーを組まない限り、ツケ払いはできないってことですか?」


 もしそうなら、死活問題になるぞ。


「個人の冒険者でも多くの魔物を狩った実績があれば、ツケ払いができることもありますよー」

「ボク、一人でも魔物を狩った実績があります。だからツケ払いをお願いします」


「実績と言いますが、サイレントさんは、一人になってから魔物の素材は回収してないんですよねー?」

 くっ、確かにその通りだ。


「残念ながら、今のサイレントさんの状況では、借金の踏み倒しする可能性が高く、ツケ払いはできないと判断しなければいけないんですー」


「そんな……」

 ボク一人じゃ、地図も買えないなんて……


「話は聞いたデス。それなら、いい方法があるデス、師匠!」


「いい方法って、何?」


「アリアが冒険者になって、師匠とパーティーを組むデス!!」

 アリアは自分の拳で胸をポンと叩いた。


「その手があったかー!!」

 ボクは大声で叫ぶ。


「あなたが……ですかー?」

 フラットさんはアリアを頭の先からつま先までじろじろと見てから意味ありげに質問する。


「そうデス。アリアがデス。何か問題あるデスか?」

「そうですねー、師匠であるサイレントさんも冒険者登録に賛成ですかー?」

 ボクに話をふるフラットさん。


 何で、ボクに話を振ってくるんだろう……あ、分かったぞ。


 きっと、フラットさんも院長先生からアリアの話を聞いているんだ。

 アリアの適性職業は冒険者か、冒険者ギルドの受付の仕事だ。

 だから、本当に冒険者で良いのか、確認をしているということだろう。


「えっと、アリアはまだ魔物を狩った経験は少ないですが、基礎能力は備わっているので、アリアが冒険者をしたいというのであれば、アリアの意志を尊重したほうが良いのかなと思います」


 院長先生には冒険者を諦めさせて欲しいと言われていたけど、アリアは魔物と出会っても臆さずに逃げなかった。

 すでに冒険者としての覚悟はあるのだ。


 それに加えて、冒険者としての大変さも身に染みて経験したはずだ。

 これ以上ボクが口出しをすることじゃない。


 だから、ボクは判断をアリアに委ねることにした。


「アリアさんが冒険者になりたいというのは、自分の意志ですねー?」


「もちろんデス」


「アリアさんはまだ駆け出しなので、サイレントさんと師弟制度を結んだ登録となりますが、よろしいですかー?」


「師匠と師弟関係を結べるなら願ってもない話デス」


「分かりましたー。最後にアリアさんの覚悟の確認しますー。冒険者はとても辛く、もしかしたら、どこかでのたれ死んで、魔物に食べられ、辱めを受けてしまうこともある職業ですー。あなたに冒険者になる覚悟はありますかー?」


 フラットさんはアリアに最終確認をする。


「もちろんデス。アリアはどんな困難にも負けないデス。冒険者になって強くなって、魔王をも倒してやるデス」


 アリアはしっかりとうなずいた。

 さすがはアリア。


 目に見えない揺るがぬ決意が伝わってきた。

 この決意はちょっとやそっとじゃ揺るがないだろう。


 きっとフラットさんにも熱意が伝わったはずだ。


「アリアさんの名前で冒険者登録するので、身分が確認できるものを出して欲しいですー」

「あ、やっぱり、冒険者にはならないデス」


 えー!?

 冒険者になるんじゃないの、アリア?


 さっきの勢いはどこにいったのさ?


「いいの? アリア?」

「冒険者になることが大切じゃないんデス。魔王を倒すことが大切なんデス」


「分かりましたー。冒険者登録はなかったということでー」

 心なしか、フラットさんの笑顔はいつも以上に晴れやかだった。


「アリア、地図はどうするのさ? ツケ払いができないと地図が買えないよ。もし地図が無ければ道に迷っちゃうよ」


 アリアと一緒に冒険しようにも、地図がなければまた迷子になってしまう。


 迷子になってアリアが命の危機にさらされれば、ボクが院長先生から怒られちゃうじゃないか。


「それなら問題ないデス」

「問題ないって、どいういうこと?」


「アリアが現金で地図を買うデスから」

「アリアさんー、世界地図を買うなら、安くても金貨50枚もするんデスよー」


 そうだよ、アリア。

 金貨50枚ってことは金貨1枚よりも多いってことなんだよ。


「大丈夫デス」

 言いながら、アリアは金貨を取り出した。


「確かに金貨50枚ですー」


 そうだった、アリアはお嬢様だったんだ。

 アリアにとって、金貨50枚なんてはした金なんだ。


「これで目的の地図ゲットデスね」

「うん、そうだね」


「師匠、地図を渡しておくデス」


 いやいや、いらないよ。

 ボク、地図は読めないもの。


「その地図はアリアが買ったものだから、アリアが持っているといいよ」

「でも、目的地は普通パーティーのリーダーが決めるものデスよね?」


「正式にはパーティー組んでないじゃないか」

 ついさっき、冒険者にならない宣言をしたよね、アリア。


「確かに正式なパーティーは組んでないデス。でも、アリアの認識では、師匠とアリアはパーティーを組んでいるんデス。そして、そのパーティーでは、師匠がリーダーなんデス」

「アリア」

 なんて嬉しいことを言ってくれるんだ、アリアは。


「ちなみにデスが、アリアの認識では、パーティー名は、『心の冒険団』デス」


 安直。

 ネーミングセンスが安直だよ、アリア。


「パーティー名前はともかく、ボクも同じく、アリアを大切な仲間だと思っているよ」


「師匠!!」

「アリア」

 ボクとアリアはがっちり握手をした。


「あのー、言いにくいんですけどー、今この冒険者ギルドの再建で忙しいので、個人的な師弟関係の確認は他でやっていただけないですかー?」

 はい、すみませんでした、フラットさん。


「行こう、アリア」

「そうデスね」

 ボクとアリアは逃げるようにして冒険者ギルドを後にした。


忙しい人のためのまとめ話

 サイレント、地図を買おうとするがツケ払いができないことを知る。

 アリア、地図を買う。

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