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第55話 副村長、村長狩りのイベントを言い渡す!?

前回のあらすじ


 アリア、人狼がスケアード・スライムに化けていたと言い当てる。

 副村長、村人全員を墓場に集める。





 

「みなさん、落ち着いてくださいな。あのノリだけはいい村長が魔物なんかにやられると思いますかな?」


「あの村長が魔物になんかやられるわけないべ」「そうだ、そうだ」「あの村長だもんな」

 副村長の一言で納得する村人たち。

 どんな村長なんだろう……一度会ってみたくなった。


「それなら、村長は一体どこにいるんだ?」

 村人の誰かが副村長に大きな声で尋ねる。


「この村の中に村長はいるはずですが、何処にいるかが分かりませんな。そこで、これから、緊急イベントを開催いたしますな」


 イベント?

 どうせしょうもないイベントなんだろうな……きっと、村人たちも嫌がるに違いない。


 ボクは村人の方を見やる。


「久々のイベント、来た、これ」「今回はどんなイベントだべ?」「どんなイベントでも俺が一番になってやるぜ」


 ボクの予想は外れ、やる気満々の村人たち。

 なんでこんなに気合が入っているんだ?


「題して、『村長狩り』ですな。村長を見かけたら、ボコボコにするだけですな。一番最初にボコボコにした人は、金貨100枚差し上げますな」


「「「うぉー!!」」」

 ボクを含め歓声をあげる村人たち。


 金貨がもらえるなら、ボクだって一生懸命やるよ。

 100枚がどれ位かはわからないけど、1枚より多いのは確かだ。

 金貨100枚、いぇーい!!


「ちょっと待つデス」

 アリアは台座の上にのぼり、副村長を止める。


「どうしましたかな?」

「本物の村長さんを村人全員でボコるなんて、集団リンチデス。そんなの認められないデス」


「大丈夫ですな。ここにいる村人は、どれ位の力で村長をボコれば、致命傷にならないか熟知していますからな」


「「「そうそう」」」

 村人たちははげしく同意する。


「いいんデスか? 村長にそんなことして」

「ホバッカ村を混乱させたのだから、当然の粛清ですな」


 そうだよ、当然の粛清だよ。

 金貨100枚、いぇーい!!


「それに、個人的にボコボコになった村長を見ないと気が済みませんな。いくぞ!! 皆の者」

 まさか、今までの個人的な恨みか。

 まあ、いっか。

 金貨100枚、いぇーい!!



「「「うぉー!!」」」

 その場にいた全員が歓声をあげる。

 誰も止めようとしないところをみると、副村長だけじゃなく、集団的な恨みかもしれない。


「ちょっと待ってくださいデス」

 瞬動で墓場の出入り口まで移動したアリアは、仁王立ちで村人たちを止める。


 アリアに気づいた人々が脚を止めた。


 危ないな、アリア。

 そんなことして。

 下手をしたら、金貨100枚に釣られた人々に跳ね飛ばされるところだったよ。


「どうしたのですかな?」

「村長を見つけたとして、もしも、それが人狼だったら、返り討ちにあうかもしれないデスよ」


 いやいや、それは考えすぎじゃないか、アリア。

 人狼って、Fランクのスライムより弱いSランクの魔物でしょ?

 村人だけでもボコボコにできそうだけど……


 ボクはあたりを見回す。

 その中には、老人や子供の姿もあった。

 ……まあ、老人・子どももいるから、その人たちだと魔物をボコボコにできない可能性もあるよね。


「確かに、そうですな……私としたことが、村長をボコボコにできるということに心を囚われて、どうかしていましたな」


「副村長、それじゃ、ボコボコにしても金貨100枚は……」

 村人が聞いてくる。

「ありませんな」


「「「ぶーぶー」」」

 村人全員からブーイングが起こる。


「これは、みなさんの安全を考慮してデス」

 アリアは大きな声で村人をなだめる。

「安全の考慮? どういうことだ?」


「人狼はSランクの魔物なんデス」

「「「「なんだって!?」」」」

 村人全員がびっくりした。


「おいおい、そんな魔物倒せるわけないだろ」「そうだよ、Sランクなんて倒せないよ」「そうだ、金貨100枚積まれても無理だ」


 お年寄りと子どもの声に交じって、若い声も交じっている。

 この村はFランクの魔物さえ退治をしない村なのかもしれないな。


「大丈夫デス。なぜならここには、Sランクのダークドラゴンを一人で倒した師匠がいるデスし、微力ながらアリアも戦うデスから」


「マジか?」「なんという幸運」「それなら大丈夫だな」

 村人たちはすぐに安心感に包まれる。


「デスが、人狼が何処にいるのかが分からないので、戦いようがないのが今の状況デス」


「……ということで、イベント内容を変更しますな。もしも村長を見かけたら、粛清を与えずに、すぐに私に教えるのですな。一番最初に見つけた人には金貨100枚差し上げますな。絶対に手出しをしてはいけませんな」


「「「うぉー、見つけるだけでいいなら簡単だぜ!!」」」


 またも歓声を上げる村人たち。

 金貨100枚、いぇーい!!


「このイベントなら、いいですかな?」

「はい、もちろんデス」

 いいのかな……

 魔物と対峙するわけだから、危険なイベントにはかわりないような気もするけど……


「もう一度、言いますな。一番最初に村長を見つけた人には金貨100枚ですな」

 そうだよ、金貨100枚がかかっているイベントなんだ。

 危険でいいんだよ。

 金貨100枚、いぇーい!!


「それでは、村長探しイベント、ただいま、開催!!」

「「「うぉー」」」

 金貨に釣られた……もとい、村の平穏を取り戻すことに賛同した村人たちは我先にと村の中を駆け回る。


「村長の家の方は探したか?」「探してみる」「見つけたら賞金は山分けだからな」「了解」

 村人は既にグループを作っており、統率がとれた連携プレーで、村長を草の根分けて探しはじめた。


 ……ってか、すごすぎ。

 軍人でもないのに、なんでこんなに統率がとれてるの?


「それにしても、こういう探索系のイベントは久しぶりだな」「ああ、この前はツチノコだっけか?」「いやいや、黄金のクマがあっただろ」「どっちも見つからなかったイベントだったけが、今回は村長だ。見つかるかもしれないぜ」


 統率がとれているのは、村長のノリのせいか……


「これなら、村長が見つかるのは時間の問題デスね」

「そうだね、時間の問題だね。だから、誰よりも早くボク達で村長を見つけださないとね。村長、いるなら返事をして! 大丈夫、怖くないから」


 ボクは全力で大声を出す。


「師匠、声が怖いデス」

 そりゃあ、金貨……じゃなかった、村の安全がかかっているからね。


忙しい人のためのまとめ話


 村長狩りの賞金金貨100枚に村人たちは心揺さぶられる。

 村長狩りのイベントが村長探しイベントに変更される。



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