うかがう
私が文章を読む上で気になって仕方がないのが、誤字脱字や用法の違う語句です。
どんなに面白そうな筋書きも、面白さが半減してしまうぐらいの興醒めが私を襲います。
それで最近の頻出が「うかがう」です。
二つしかありませんので、私が愛用する国語辞典から意味と用法を抜粋します。
・窺う(うかがふ)
①こっそりと様子を覗き見する。察する。
②機会などを密かに待ち受ける。機を見て得ようと狙う。
・伺う(うかがふ)
①「聞く」の謙譲語
②「訪れる」の謙譲語
③神仏に祈願してお告げを請う意の謙譲語
・伺い(うかがひ)
①「聞く」「訪れる」の謙称。頭に「お」を付けることが多い。
②神仏にお告げを請うこと。
③目上の人に指図を仰ぐこと。
誤字報告で作者さんの顔色を窺いつつ、報告後にメッセージでお伺いさせて頂いておりますが、微妙なニュアンスの時もあったりします。
先日の悩ましい状況は、登場人物が目上の人たちに意見を述べた後、「そう言って彼は伺った」ですね。
この後に指示が来るので「伺う」も妥当ですし、「窺う」も使えます。ここは報告対象から外しました。
誤字報告は私自身の表現力も磨く修業の場です。文意を理解していないと、その文字が誤字なのか作者さんの意図的な表現なのか判断できませんから。
「うかがう」の使い分けとしては「見る」ことであれば「窺う」、「聞く」ことであれば「伺う」が妥当です。
「彼は様子見にうかがった」という文章は一見して見ているようですが、訪問している場合は「伺った」となります。
「黙して微動だにしない師匠の様子をうかがう」では、ただ見ているだけなら「窺う」、誰かに質問をするなら「伺う」が妥当でしょう。
日本語は奥が深いですね。
それと「傍仕え」なる謎単語。
私が知らないだけで「はたづかえ」と読むのかと思いきや、「そばづかえ」と読むのだそうです。
「側仕え」が正しい日本語です。いや「傍仕え」が造語なら仕方ないですけどね。