軍歌
軍歌は国民性を表します。
外国の軍歌や国歌は「敵をやっつけろ」みたいな感じで、残虐行為を推奨するような文言が多いのですが、我が国の軍歌は厭戦気分を歌う歌詞ほど人気作だったりします。
例えば『雪の進軍』という歌は、最後の歌詞が書き換えられて「どうせ生きては還らぬ積もり」となっておりますが、当初は「どうせ生かして還さぬ積もり」と軍部を批判するような内容だったそうです。
他にも唱歌『戦友』は「厭戦的な歌」として歌唱が禁止されましたが、それでも歌い継がれて来ました。
他にも『戦友の遺骨を抱いて』や『父よあなたは強かった』なども、よくよく歌詞を吟味すると、厭戦気分が隠されている場合がありました。
そうした人気作に『露営の歌』があります。
こちらの作曲はNHKの朝ドラ『エール』のモデルとなった古関裕而さんです。
この古関さんの作曲エピソードは『英国東洋艦隊撃滅』などと共に語り継ぎたい話です。
満州旅行からの帰路、『露営の歌』の歌詞に感銘を受けた古関さんは、帰りの汽車の中で作曲。旅行から帰った彼に所属レコード会社が作曲依頼をすると「それなら既にできてます」と言って楽譜を提出したそうです。
その歌を同郷の伊藤久男さんが歌い上げて大ヒット曲となり、御尊父さんの臨終にも『露営の歌』を流していたと言われています。
また古関さん作曲、同郷の野村俊夫さん作詞、伊藤久男さん歌唱で発売されたのが『暁に祈る』でした。
我が国で明確に敵を打倒するよう歌うのは『抜刀隊』ですが、その歌でさえも「敵の大將たる者は古今無雙の英雄」とされています。『敵は幾萬』では「烏合の勢」と歌っていますけど。
そのような軍歌や戦時歌謡曲を集めた進駐軍も、あまりの内容に「日本人は戦争する気があったのか」悩んだそうです。