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転生したい女の子が異世界転生したら  作者: かえちゃむぅ
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待ちに待った

 

 ついに今日から私は自由の身になる。

 やっとダイエットに向けて動き出すことができる。しかもポテトチップスを作ることもできるのだ。

 この2つは一見反対の事のように思えるが、否。私がこの世界で幸せに生きていくためにとても重要なことなのだ。

 楽しみで朝も早めに目が覚めてしまった。

 ベッドから起きて飛び跳ねたい気持ちになる。が、下の階に響くと何かあったと思われて心配されるので我慢する。


 召使いに格好を整えてもらために鏡の前に座る。

 今日も元気なデブスが映り、苦しくなる。両親から受け継いだ目も鼻も口も脂肪で折角の素晴らしい形が台無しだ。目も当てられないほど残念である。

 自分への批評もほどほどに、ダイエットに向けて気合いを入れるために鏡に写る自分を目に焼き付ける。

 肌荒れもどうにかしないと。



 今日の朝食はコッコという魔物の肉が海藻サラダの上に乗せられたものと果物。サラダのドレッシングは前世で言うシーザーサラダドレッシングのようなものだ。

 ダイエット中のドレッシングには気を付けるべきらしいがこのくらいは許してほしい。無味はきつい。


 さらっと流したが、魔物がいるということは魔法もある。私はまだ火を灯す魔法しか見た事がないが、この世界にはもっと魔法の上手な人がいるらしい。

 私の肌荒れも治せたりしませんかね。


 朝食を食べ終えるとついにダイエットの時間だが、その前にポテトチップスを作る。最初この世界にポテトチップスがないと知ったときはさすがに、前世に戻りたいと思ったものだった。



 早速キッチンに向かう。

 ポテトチップスが私を待っている。足取りは軽い。


 「ポテトチップスを作るよ!!」


 突然入ってきたかと思うと何を言い出したのかと驚く料理人たちを見ながら料理長のキールに話しかける。


 「私も着れるエプロンはない?料理がしたいの。」

 「えっと...。料理に関心を持っていただけるのは嬉しいのですがお嬢様に料理はまだ早いかと。」


 キールは40代後半の男性でなかなかに整った顔をしている。黒い長髪を上のほうで結っていて素敵だ。バーテンダーをしてそうな落ち着いて大人な雰囲気がある。


 目線を合わせてなんとか私を宥めようとする姿はとても格好良いが、こちらとしても自分好みのポテトチップスを諦めるつもりはさらさらない。


 「それなら、包丁はキールたちに任せるから!それならいい?どうしても私が作りたいの。」

 「まぁ、それなら...。」


 渋々ながら了承してくれる。

 勝った。


 「芋を全種類見せてほしいの。」

 「芋ですか?こちらに置いてあります。」

 「わぁ、こんなに種類があるのね!」


 さすが公爵家である。珍しいものも欠かさないように揃えているようだ。


 「これはどんな料理で使われるの?」


 それぞれの特徴を聞いていき、ポテトチップスに向くものとそうでないものに分けていく。ダイエットに向けての気合い入れでもある。妥協はしない。

 最終的に残ったのは甘いものも含めて6種。とりあえず作っていこうと思う。

 キールに包丁で切ってもらって私が器具を使って油に入れる。止められたが、油跳ねしてもいいように完全防備で挑んだ。せめてこのくらいはさせて欲しい。



 完成だ。出来上がった色々な種類のポテトチップスをみてうっとりする。この2週間が長かったような短かったような感じがした。


 塩を振って出来たてのポテトチップスを口に運ぶ。

 パリッといい音がして砕ける。これだ、ポテトチップスだ。久しぶりの感覚を噛み締める。


 1種目の芋は少し甘みがあるがこれも良い。2種目は揚げているときに形が崩れていたので脱落。3種目は良い。これが1番合っていると思った。4種目はすごく美味しかったが珍しいもので他の10倍くらい高いらしい。脱落。

 甘い芋部門ではいい感じの芋が1種あった。


 改めて、選ばれた3種でポテトチップスを作ってもらう。

 家族に食べてもらうため多めに作ってもらおうと思ったが、キッチンにいる料理人たちも食べたそうにこちらを見ていたのでその分もみんなで切ってもらう。


 切って揚げて振りかける。

 楽しくなって作りすぎてしまったので余った分はいつもお世話になっている使用人たちにも配りたい。

 芋が無くなりかけるまで作って、キッチンのテーブルがポテトチップスで埋め尽くされる。


 いざ実食である。

 料理人たちが目を輝かせている。塩がきいていておいしい。

 私が食べた後にみんなが続く。


 「うまい!」

 「これは...。」

 「おいしいな!」


 さすがはポテチ。異世界人の胃も掴んだようだ。

 うんうんと頷きながら皿に手を伸ばす。1度食べ始めたら止まらない。

 私はほどほどにして使用人のための分を袋詰めしていく。屋敷全員の分を詰め終わると料理人たちもやっと落ち着いたようだ。私も満足した。


 今から袋詰めしたものを使用人たちに配っていこうと思う。暇だし、日頃の感謝を込めて私が直接渡しに行く。喜んでくれるといいな。





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