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転生したい女の子が異世界転生したら  作者: かえちゃむぅ
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暇つぶし2

 

 配られたカードを他の人に見られないように慎重に開いているのを見ながら説明する。


「今みんなに配ったカードに数字か絵が書かれているでしょう?手持ちのカードの中で同じ数字または絵が2枚揃っていたらこのように取り出してテーブルの上に置いて。3枚揃っていても2枚までしか出せないから注意してね。」


 私がカードを抜いてぽいっと机の上に放ったのを見て、みんなもおずおずと揃ったカードをテーブルの上に置いていく。


 全員出し終わったようだから始めよう。


「遊び方を説明すると、1枚ずつ隣の人からカードを抜き取って同じ数字か絵が手持ちと揃えば捨てるの。手持ちのカードが無くなった人から順位が決まる。最後に1枚だけ12の番号が残るから、それを持っていた人の負け。とりあえずやってみましょう。」


 自分のカードを見えないように隣のお兄様に向けて差し出す。お兄様は真剣な顔でカードを選び取る。

 取ったカードと手持ちのカードを確認して


「やった!5が揃ってる!」

「わぁ!!」


 みんなに見せるようにしてカードをテーブルに置くとメイドが盛り上がる。

 愛くるしいお兄様の反応に顔を覆いたくなったがあいにく両手はカードで塞がれている。



 揃った揃わなかったと一喜一憂しながらもゲームは終盤。残ったのはお兄様とアリアだった。

 現在アリアは2枚、お兄様は1枚。お兄様がクイーンでは無いカードを引けばお兄様の勝ちだ。

 思ったより白熱する戦いに、思わず私も固唾を飲んで見守る。


 じっとカードを見つめてお兄様が選んだのは、


「...勝った!!」


 がたっと席を立ち上がりテーブルに1のカードを捨てる。お兄様は満面に笑みを浮かべている。


「おめでとうございます、シリル兄様!」


 ぱちぱちと拍手する。

 アリアはテーブルに突っ伏している。重い哀愁を漂わせるその姿に思わず笑ってしまう。

 頬を膨らませたアリアがじとーっと私を見てくる。


「もう1回する?」

「したいです!!」


 目に炎を宿してアリアが1番に言う。みんなもそれに続いた。



 結局ババ抜きはメイド長がアンとリタを呼びに来るまで続いた。最後にはみんな慣れてきて、手持ちのカードを飛び出させて相手を混乱させるという技を使うようになっていた。

 この技を使われて負けたときはテーブルをひっくり返しそうになった。普通に負けるときの30倍イラつく。

 それでも、みんなが本気で遊んでくれるので最後まで飽きなかった。前世ではなかった感覚だ。


 お兄様とアリアと私の3人で他のゲームしようと思ったが夕食に呼ばれたので、続きは明日にしようと言ってダイニングに向かう。




 公爵家には夕食は家族で食べるという決まりがある。引きこもっていたレリエルもこの決まりを破ったことはない。

 この時間にはいつも、お兄様と私はお父様とお母様にその日あったことを報告する。


「シリル、レリエル。今日はなにがあったの?」

「学校の計算の授業で指名されてちゃんと答えることができました。あと、レリエルととらんぷというカードでババ抜きという遊びをしました。すごく楽しいのですよ!」


 お母様に聞かれ、お兄様が楽しそうに話す。


 まずい。お兄様がここでトランプのことを話すかもしれないということを完全に忘れていた。

 どこで知ったことにしようか。レリエルには本は読めないし...。


 「とらんぷ...。聞いたことのないものですわ。あなた、ご存知?」

 「いや、知らないな。シリル、どんなものなんだ?」

 「数字と絵が書かれた紙を使った遊戯です。使うものは簡単ですがいつまでも遊べるのですよ。レリエルに教えてもらったのです。」

 「あら、レリエルに?」


 2人が驚いたように私を見る。


「えぇ、トランプは私が考えましたの。1人で部屋にいるのが暇だったので、なにかみんなで遊べるものはないかって。」


 嘘である。

 前世の記憶がなんて言ったら、倒れた拍子に頭を打ったのではと思われて部屋での軟禁を延ばされるに違いない。


 「すごいじゃない!私にも教えてほしいわ!」

 「そんなものを考えるなんて、レリエルも賢い子だね。」

 「はい!後で教えますわ!」


 5歳児にそんなことができるだろうかという疑問はないらしい。親バカな両親には杞憂だったようだ。







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