表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【読み切り短編】異世界転移物を『読み』『書き』する人に捧げる お話



 現実世界から異世界に転移した男がいた。


 彼は別に どんな容姿や人種の人間でも構わないし、

攻撃的な性格とか受け身な性格だと思ってもらっても構わない。


 彼の政治や宗教といった信仰や思想については、読者に配慮して、

右よりでも左よりでもない、特別な信仰を持たない人間だったとしよう。


 どの年代の人間か、何歳だったのか、

子供でも良いし、大人だったら、家族がいたのか いなかったのか、

この話では、どのように思ってもらっても結構である。


 そもそも、男とか彼といったものを、

女とか彼女と置き換えてもらっても良いです。





 日常生活を送っていた彼は、

ある日 突然、異世界に転移してしまったのだ。


 男は混乱した。そりゃそうだ。住んでいた世界とは違うのだから。


 ここで 男は運良く、親切にしてくれる異世界人の世話になった。


 親切にしてくれる異世界人の世話になりながら、

男は その異世界について、余裕を持って観察し、調べる事ができた。



 ~~ここまで読んでくださる読者の皆さんへ~~


 彼の または彼女の転移先である異世界は、

これまた そちらの想像している異世界だと思っても構いません。

中世ヨーロッパとか ゲームの世界とか、機械的な未来とか 古代とか、

天国みたいなところとか どこかとよく似た世界でもね。


 それから、作者は最初から転移としていますが、

いっそのこと、転生でも良いです。ただ転生だと、

赤ちゃんの時から記憶があるのか? とか、考えることが増えるので、

作者個人としては、転生よりも 転移の(ほう)が好みであります。

 書く上で、どのようにして転移や転生を~~ とか も

考えなければいけませんが、この世界での彼 または彼女は


 『転移してしまった』のです。


 そういう事です。よろしいですね?





 親切にしてくれる異世界人の世話になりながら、

彼もしくは 彼女は、異世界で生活をしていきました。


 どのような生活か? その異世界に(そく)した生活で、

親切にしてくれる異世界人に協力し、または協力できずに です。


 そうして生活していく内に、(彼女)にも交友(こうゆう)関係が生まれます。

こういう関係から恋愛に発展していって、夫婦になるでしょう。

子供だってできるかもしれません。そうして異世界での生活が続くと、

現実世界の、元の世界の事を考えるようにもなるでしょう。


 元の世界では、自分はどのように思われているのか?とか、

家族がいたなら、その家族はどうしているのだろう?とか。

働いていた仕事関係、住んでいた地域の今後をも考えるかもしれません。


 現実世界と、異世界との技術的文明的な差が大きいほど、

異世界における彼女()は技術的文明的に異質な存在となります。

 異世界人が 家の外で体を動かして遊ぶのに、

現実世界の人間は 箱を触って遊んでいる と いうのも、

文明的な差なのかもしれません。


 現実世界との文明的な差が、そうであるならば。


 逆に、異世界の(ほう)が進んでいる場合もあるでしょう。

作者の頭では うまく想像(イメージ)できませんが。


 ともかく、長く生活し、転移前の世界の事などを考える様になると、

異世界の人間に話してしまう事も あるでしょう。

 もしも 主人公が、転移前の世界のあらゆる物事を

墓場まで持っていくような(くち)の固い人物で ないのならば。


 異世界にとって異質な(彼女)は、現実世界での事を『話してしまいました』


 なぜ そうしたのか には、異世界の人に聞かれたのかもしれませんね。

 世間話の(ひと)つだったのか、強引に 話す様に言われたのか、

それは わからないし、現実世界での事は、

自身の生まれや育ちの事もあって、話したかったのかもしれません。


 (彼女)の話を聞いて、異世界の人々がどのような反応を(しめ)すのか、

それは、文明的に差が大きいなら驚きも大きいかもしれませんし、

驚き方が大きい異世界人なら、そのように驚くことでしょう。


 話の中には、例えば電子端末とか、車とか、学校とか、

国際的な事とか、現実世界に実在したものが、

(彼女)が日常的に触れていた物事が出てくるでしょう。


 その話の結果、異世界で それらが再現、

作られていくようにもなるかもしれません。


 そうなると――


 異世界の食堂などで出される料理は、

その世界の人が考え 作られていった料理かもしれないし、

 異世界で使われる 薄型の電子端末機器は、

現実世界から持ち込まれる必要が無いかもしれません。


 むしろ、現実世界の人間が、

技術的文明的な差があって笑われるかもしれませんね。

 元から 高度な技術や文明を持った異世界だったなら、

最初から笑われているでしょう。

 いやいや、その程度の技術しかない世界から来たのか と、

異世界の人達に(なぐさ)められるのかもしれません。


 それは それで、物語の主人公が(あわ)れに思われると

不快に感じる読者の(かた)も いるかもしれないので、

今回の話では、現実世界の文明の(ほう)

『異世界よりも発展していた』と いう 事にしましょう。


 個人的には どちらでも良いのですが。

だって、転移した先の異世界は どのような世界でも~~みたいな事を上記(じょうき)しているので。





 異世界に転移した(彼女)の人生は、生きているかぎり続きます。


 物語を どこで どう終わらせるか? って だけ ですけどね。


 作者の力量(りきりょう)とか意欲とか、情勢とか?

物語の終わりまで作者が書けるか、作者の問題で書けずに終わるか。


 これもまた、言ってしまえば人生と同じですね。



 トゥルーエンド



 ――で、ここで終わってしまっては、

それでは ただの、異世界転移に関係した事ついて、

ごちゃごちゃ書いてるだけの話になってしまいます。



 現実世界では、大変な事が着実に起きていたのです。



 最初は、小学生が使うような教科書の中でした。


 消えているのです。歴史や古語が。古典文学の一部が。


 削除された教科書を売ったのかと販売会社が問い詰められました。


 そんな事はありませんでしたが、消えていたのです。


 (あらた)めて記載(きさい)した教科書を作ろうとしたら、作れなくなってました。


 資料が消えているし、誰も覚えていないのです。


 教育に関係する事なので、皆が大慌てになりました。


 地方の民謡や口伝(くでん)なども思い出せなくなっていったのです。



 歴史が消えていく。

それが世界中に広がっていきました。



 博物館の展示物も消えていきました。


 盗まれたのでも壊されたのでもなく 消えていき、

何が展示されていたのか さえ、誰も思い出せない。



 今は もう生産されていない物が 現実世界から消えていきました。

時代劇の映画や小説が消え、時代劇作家は専門を変えました。


 ベレー帽を被った まんがの神様を覚えている人がいても、

同年代に活躍したはずの人達を思い出せなくなっていきました。

古い漫画が どんどん消えていきました。個人サイトも消えました。


 一部地域では行方不明者が続出し、

何年も前に建てられた旧民家など 建物が消失していました。



 世界中が恐怖に(おのの)きました。


 野性の草花や魚、鳥、動物の姿も確認できないのです。

食用の物とか、家畜などが かろうじて残っていました。


 食料の危機です。世界規模での。

人間が食べる食料だけではなく、家畜などが食べる物が無いのですから。


 もう、過去の歴史が消えたなどと騒いでいる場合ではなく、

生きていくための戦いが始まります。


 自国の者達での食料の奪い合いが予想され、

食料を輸出してくれる国が無ければ、奪いに行くしかありません。


 土地や領土よりも、食料を奪うための戦争です。


 過去よりも現在の方が、世界的に人口(じんこう)が多いので、

(たがや)すための土地よりも、明日のための種籾(たねもみ)を今日食べたいのです。


 中には、積年(せきねん)(うら)みを晴らそうと、

この時ばかりに と 活気づくような国も出てくるかもしれませんが。



 その間にも、現実世界では あらゆるモノが消えていきました。



 それは、その世界の最後の一人(ひとり)が死ぬのと、どちらが早いでしょうか?


 異世界に転移した(彼女)が死ぬのと、どちらが早いでしょうか?



 異世界に転移した(彼女)は、異世界の人達と一緒に幸せに暮らしています。



 なので、この物語はハッピーエンドです。



 ハッピーエンド

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ