ステータスと土下座
おじいさんはグレイトさんにお辞儀をした後、ボクの方へと歩み寄ってきた。
「手を貸していただけますかな?」
おじいさんはボクに向かってしわだらけの手を差し出すと、にっこりと笑ってボクにそういった。ボクは特に警戒心を持つことなく、手を彼にあずけた。
おじいさんはしわだらけの顔をさらにしわくちゃにしながら笑顔になって、そのあとで何かをつぶやき始めた。
「〈詠唱破棄〉鑑定」
おじいさんがそうつぶやくと、ボクらの前に謎の文字たちが並び始めた―
―――
名前 神薙 玲宮
種族 人間族
レベル 1
HP 23/23
MP 8/8
ATK 13
DEF 10
MAT 7
MDE 9
SPD 9
スキル
【攻撃力増加(小)】【攻撃力増加(中)】【攻撃力増加(大)】【防御力増加(小)】【防御力増加(中)】【防御力増加(大)】【魔法攻撃力増加(小)】【魔法攻撃力増加(中)】【魔法攻撃力増加(大)】【魔法防御力増加(小)】【魔法防御力増加(中)】【魔法防御力増加(大)】【俊敏性増加(小)】【俊敏性増加(中)】【俊敏性増加(大)】【HP自動回復LV1】【MP自動回復LV1】【鑑定LV1】【直感LV1】【冷静LV1】【勇敢LV1】【状態異常耐性LV1】【探求性LV1】【言語理解】 【詠唱破棄】【聖魔法LV1】
―――
いろいろなことが書いてある。一つ一つを理解するのはかなり時間がいるなあ…
ん?鑑定士のおじいさんがこちらを尊敬する目で見ている…よくみるとおじいさんだけでなくみんなからも注目を浴びているようだ。
「…勇者とはいえど、まさかこんな能力とは…」
静寂の中、グレイトさんが重々しく口を開く。
「これは、玲宮様への態度をもう少し改めないといけませんわね…」
リリーさんもそれに合わせるように話す。…あれ?もしかしてボク、期待外れだったかな?
…なんて考えていると、不意にグレイトさんとリリーさんが視界から消えた。
「勇者玲宮様。数々の非礼をお許しください。」
…下からリリーさんの声がする。人々のざわめきが聞こえる。
視線を下に向けると…丸くなったリリーさんたちが見えた。
オウ…ジャパニーズドゲザ…
「か、顔を上げてください。ボクはそんな人ではありません!」
「いいえ、勇者レイ殿。そなたの力は素晴らしいとしか言い様がない。何度もしつこいようが、この世界を救うだけの力を持っておる…」
土下座をするグレイトさんとオロオロするボク。なんだかとても変な幕の閉じ方で、証明式は終わった。