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☆4 ありがとう

「俺は……ルーク。家名は知らねぇ、ストリート出身の浮浪児だからな」


 私が名乗ると、彼は素直に自分の名前を教えてくれた。

 根が良い人だからか、それともたらこパスタ効果か。どちらかは分からないが。


 うーん、やっぱり悪い奴には見えないし、ちょっと内側を見て見よう。


 聖女の力を使って彼を見ることにした。


 剣の才 F→S

 拳の才 C→A

 弓の才 F→C

 魔法の才 F→F


 人柄 S


 げふん。

 思わず咽た。

 なに、このずば抜けた努力の才!

 左の数値は現在の才で右が努力をした結果の才である。

 剣の才なんてFからSまで伸びる。信じられない努力の才だ。

 そして注目するべきなのは人柄。

 最高値はSSSだが、その二個下のS。これだけでもかなりの良い人である。浮浪者生活で少し荒んだのか、ちょっとやるせない。


 でも、彼なら……。

 私はここに来るまでに考えていたことを彼に話すことにした。


「ルーク、よかったらここで働かない?」

「は? ここって……確か、ギルドだったか?」

「そうよ、立ち上げたばかりの新米ギルド『暁の獅子』」


 ただ彼にお金をあげるのは違う。

 なら、私が働き口を提供したらいいと思った。ちょうど人手を探していたし、彼の様な人柄なら私も安心して雇える。

 にこにこしながら言うと、ルークはなにかを思い出したのか渋い顔をする。


「それはありがたいが、ギルドってのは入会になにか条件があるもんなだろ? 大抵、金か高いステータスだと聞いてるが」

「そうね、あるわ入会条件」

「分かってると思うが金は持ってねぇーぞ? 高いステータスもないし……」


 そんなものははなからいらない。

 渋い顔のルークの手をぎゅっと握った。


「うちの入会条件はただ一つ。家族同然となるギルドメンバーを大切にすると誓うこと」

「……は?」

「は、じゃない。誓うの? 誓わないの?」


 ルークの戸惑いの瞳と私の真剣な瞳がぶつかって交差する。

 やがて、ルークは私の言葉を呑み込めたのか真顔で頷いた。


「ち、誓う」

「よし。じゃ、今日からルークはうちのメンバーの一員ね。よろしく」


 そう言って、二人分の空になったお皿をさげて洗っていると。


「俺で……いいのか?」


 いつの間にかこちらに来ていたルークがそう言った。

 なんだかそわそわしている。落ち着かないのかもしれない。


「ルークだからいいのよ。ルークだから選んだ、それ以上でも以下でもない」

「シア……」


 少し驚いたような顔をした後、ルークは照れたように笑った。


「ありがとう」

「どーいたしまして。あ、そうだルーク、家がないなら今日からここに住みなよ」

「え!? いいのか!?」

「その為の部屋だしいいわよ。六人分あるから好きなとこ使って。それとやっぱ臭うからお風呂入ってね」

「お、おう――いや、いやいや!? 待て、ちょっと待て。見たところ今、二人だろ!? 女一人の所に男入れていいのかよ!」


 そういえばそうだな。なんだ気にしてくれるのか、紳士だね。いや、普通?


「大丈夫よ、鍵はかけられるし。なんなら鍵開け対策の錠前(ロック)の魔法も使えるし、罠魔法、眠り魔法、痴漢対策魔法も扱えるから」


 なんかけしからんことしようものなら死、あるのみです。

 にっこり笑うと、ルークは真っ青な顔で。


「なにもしねーから、世話にならせていただきます……」


 と言った。


「うんうん、あ、お風呂はそこを奥ねー」


 お風呂の場所を教えると、気になったのか自分の臭いを嗅ぎつつ、奥の部屋に入っていった。

 その背中がどこか浮かれているようで、18の私より少し年上の気がするけど子供みたいで少し可愛い。


 それからお風呂の湯の張り方が分からないルークを助けたり、ベッドが柔らかすぎて逆に寝れないという彼に寝つきが良くなるようホットミルクを作ってあげて、感動して泣かれたりと忙しなくギルド立ち上げの初日の夜は過ぎていった。

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん…何だか二人とも性格がサッパリし過ぎて物語に重みが感じられない…嫌いじゃないけど、薄味だなぁ~…今後に期待♪
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