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20/276

☆20 どうか、このおっさんを拾ってくれ!!

 おっさんが捨てられている。

 私がそう思ったのはなぜかというと、彼は四角い箱の中に仔猫を抱えて座り込んでいて、その箱の正面に手書きで『ひろってください』と書いてあったからだ。

 でもよく考えろ私。

 こんなところにおっさんが捨てられているのはおかしい。

 というか、大人が捨てられているのがおかしい。赤ん坊とか子供などが孤児院や教会関係の建物の前に捨てられているのはあることだが、いい歳したおっさんが箱に詰められて拾い主を探しているなんて聞いたことがない。

 お金がなくて行き場をなくしたのなら、ルークみたいな浮浪者になって教会の助けを得るのが普通だ。


 頭の中で目まぐるしく現在の状況を把握しようと考えを回転させていると。


「なあー」

「なうー」


 おっさんに抱えられている黒い仔猫が鳴き。そして驚いたことに、おっさんの懐からもう一匹の白い仔猫がもぞりと出てきた。愛らしい仔猫が、おっさんの腕にもふもふとすり寄っている。


「……ラムとリリです……」


 仔猫達を見てリーナが目をキラキラさせながら言った。

 そういえば、読み聞かせで白と黒の仔猫のお話をしたんだったっけ。捨てられた仔猫の兄妹が自分達を本当に愛してくれる家族を探して冒険の旅に出る話。

 リーナの声に反応したのか、こちらに真っ先に気が付いた黒猫がおっさんの腕を抜け出して、リーナの足元に駆け寄った。


「なあー」


 リーナの足を黒猫はすりすりと甘えるように摺り寄せた。


「あら可愛い」


 ジュリアスが呟いた言葉に私も同意だ。

 リーナと仔猫。最強の組み合わせである。

 リーナは嬉しそうに仔猫を抱き上げると、ちらりとこちらに視線だけを向けるおっさんを見て、トコトコと近づいた。


「あ、リーナまだ――」


 このおっさんが害のない人間なのかどうか分からない。そう言おうとしたが、リーナは私を見て首を振った。自信のある足取りでさらにおっさんに近づいた。リーナは人のオーラが見える。きっとおっさんのオーラは悪いものではなかったのだろう。


「おじさんの、ねこちゃんですか?」


 黒猫を差し出して、リーナが問うとおっさんは首を振った。


「いいや、違うよお嬢ちゃん。この子達はこの近くの路地でこの箱に入れられていたんだ。おっさんはなぁ、ここのギルドに用事があって来たんだが、留守だったんでしばらく相手してもらってたら情が移っちまってな。一緒に待つかと誘って箱ごとここまで持って来たんだ」


 おっさんはどこか疲れた様子で、リーナから視線を私達に移した。


「ギルドの人か?」

「ええ、そうです。なにかご用事ですか? 長くお待たせしてすみません」

「いいや、連絡もなしに急に来たしな。小さいギルドだ、留守番もいないだろ……」


 疲れてはいるようだが怒っている様子はなく、おっさんは息を吐く。

 リーナが『見た』通り、悪い人ではなさそうで安心した。でもなんだか、おっさんの様子が随分とくたびれているように感じて気になる。

 身なりは……普通だ。

 冒険者なのか、戦士風の丈夫な厚手の皮装備で、高い物ではないだろうけど高ランクのギルドメンバーでもない限り、質の良い装備はなかなか手に入らないものだ。長年使いこんだものを未だ使い続けている冒険者もいるし、おっさんの恰好は別段変わったものではない。

 彼の体型はとてもがっしりとしていて、背丈は座っているので分からないが箱がみっちみちになるまで詰まっているので筋肉も相当ついていそうだ。

 典型的な、戦士型の体躯だろう。箱の外には大きな戦斧が立てかけられており、かなり使い込まれた跡が残っている。

 容姿は焦げ茶の短髪に銀の瞳の、戦斧を振り回すような戦士には見えないような優しげな面立ちをしているのだが、それが陰るくらい今は疲れ切った表情をしていた。


「俺はギルドに頼みごとがあって来た……だが今、俺は自分自身に絶望してる。なんで俺はこんななんだって堂々巡りだってわかっちゃいるが、どうしても考えちまうんだ」


 おっさんは白い仔猫を抱きしめ、顔を伏せた。

 低い声の端々に震えるような哀愁が漂う。


 ……おっさんに一体なにがあったのか。私達になんの用事だったのか。こちらから話しかけるのも憚られる空気だったが、おっさんが消沈していて浮上してこないので、私もリーナの隣まで行っておっさんの前に来ると出来るだけ優しく話しかけた。


「おじさん、まずはギルドの中に入りましょう。お話はちゃんと聞きますから」

「お嬢さん……」


 感動に打ち震えた様子で顔を上げてくれたが、私と視線を合わせるとすっとどうしてか苦しそうに反らしてしまった。


「おじさん?」

「すまない、本当にすまないんだが――」


 おっさんは、しどろもどろでとても言い難そうに口ごもる。

 私には言えないことなのか。おっさんの身になにが起こっているのか。まさか重大な事件に巻き込まれて、助けを求めたいけれどギルドの人間が若い子ばかりだったから言えなくなったとか――。

 色々な状況を想定していると、おっさんは意を決して声を振り絞るようにこう言った。


「箱からケツがぬけねぇ! トイレ行きたいっ、助けてぇーー!」


 …………。



 おっさああぁぁぁんっ!!!!


 おっさんは、そこそこ緊急事態だった。







 かなり頑丈に作られていた箱を私とジュリアスで解体すると、ギルドを急いで開けてトイレを貸してあげた。おっさんは文字通り転がるようにしてトイレに駆け込み。


「はあ、すっきりした……。35にもなって粗相なんて恥ずかしくて外に出られなくなるところだったぜ」


 トイレから戻って清々しい顔になったおっさんを改めてテーブルに呼んで、お茶とお菓子を用意した。

 ちょっと驚いたのだが、おっさんはすごく背が高かった。ルークよりでかい。立ち上がった姿を見たら、巨大な熊に襲われているような感覚がしてびっくりしたくらいだ。

 ジュリアスはルークをソファに寝かせてから、おっさんがトイレから戻る前に名残惜しそうに帰宅した。これは私達ギルドに持ち込まれる話みたいだし、遠慮したんだろう。

 リーナはおっさんの連れてきた仔猫二匹と遊んでいる。


「あれ? あの長髪の男がいないな?」

「彼はうちのギルドメンバーじゃないので。用事に付き合ってくれただけなんです、気にしないで下さい」


 そう言いながらお茶をおっさんに差し出す。

 彼は礼を言いながら一口お茶を飲んで喉を潤わせると、バンッと勢いよく両手をテーブルについて額がつくほど頭を下げた。


「どうか、このおっさんを拾ってくれ!!」


 私はお手製のクッキーをもぐっと食べた。

 うん、我ながら美味しくできた。


「おじさん、うちのギルドはおっさん保護施設ではないんですが」


 そんな施設がどこにあるのかは知らないです。


「あ、間違えた! 違う、そうじゃない。ギルドの入会を申し込みたいんだ。天馬のところの募集を見て……」


 ああ、そういえばジオさんのところでメンバーの募集をかけていたんだった。あれからまったく音沙汰ないので忘れていた。出来たばかりの小さなギルドだから選んできてくれる人は珍しい。貴重な人材ではあるし、リーナの目も確かだ。私もおっさんの印象はそれほど悪くない。

 だが、ギルドとして最低限の面接は必要だろう。

 ルークの時は、行くあてなく切羽詰まっていたので連れてきたし、リーナの場合は特殊だ。


「ではまず面接しましょうか。自己紹介からしますね、私は『暁の獅子』ギルドマスターのシア・リフィーノです。ギルドランクはF、メンバーはソファで寝てる青年、ルークと猫ちゃんと遊んでいる女の子、リーナの三人です」

「え? あの小さい子もそうなのか?」

「事情がありまして。でも小さくても立派なギルドメンバーですよ」


 そうか……と、おっさんはどこか眩しそうにリーナを見てから、ごほんと喉を整えた。


「俺はレオルド・バーンズ。見た通り、力自慢の戦士だ。少し前まで別のギルドに所属していたんだが……えー、わけあって追い出されて……」

「追い出された?」


 レオルドの目が泳ぐ。

 言いにくいことなのか、促してもなかなか口を開いてくれない。でも、こちらとしても前のギルドを解雇になった理由を聞かないと契約に支障があるかもしれないし。

 どうしようかと、間が開いていると。


 ドンドンドン!!

 と、扉を強く叩く音が響いて、びくりと体が跳ねた。こんな乱暴な叩き方をする人は、今までいなかった。ベルナールならもっと丁寧だし、ジュリアスが戻って来たなら彼もまた優しく叩く。


『レオルドーー!! てんめぇ、ちょこまか逃げやがってクソ野郎が!!』

『ここにいんのは分かってんだ! 観念して出てきやがれ借金野郎!!』


 ドスの効いた、ヤバい人達の怒声が聞こえてくる。

 嫌な予感がして、ちらりとレオルドを見れば彼は頭を抱えてテーブルに突っ伏していた。


 借金野郎……ねぇ。


 私は面倒事を予感しつつもお茶を飲むと、立ち上がって扉の前に立った。リーナに視線を合わせると、勘のいいリーナは頷いて、仔猫二匹を抱え奥へ避難する。


「あ、おいマスター! 危ないぞ!」


 レオルドが驚いたように立ち上がって静止の声を上げたが、止めることなく扉を開いた。予想通り、柄の悪い男二人が扉の前に立っている。


「うちのギルドになにか用事でしょうか?」

「あ? なんだ小娘」

「私はギルドマスターです。もう一度聞きます、うちになにか?」


 仁王立ちしながら聞けば、男二人はジロジロと私を見て言った。


「お前みたいな小娘がギルドマスターは珍しい。悪いこたぁ言わねえ、レオルドっつうやけにガタイのいいおっさんを匿ってるだろ? 痛い目みたくなけりゃ、とっととだしな」

「匿っている? 人聞きが悪いですね。今現在ギルドにはメンバーとメンバー希望者しかおりませんが」


 怯えることもなくさらっと言えば、男達は私の態度に腹を立てたのか、ドンッと強く壁を叩いた。


「しらきるんじゃねぇーよ! 借金抱えて逃げ回ってるおっさんがいるだろうーが!」

「それ、詳しく聞きたいですね。教えてくれます?」

「いいぜぇ、教えてやるよお嬢ちゃん! レオルドはなぁ、お貴族様の屋敷を警護中にうっかり転んでべらぼうに高価な壺を割っちまったのさ!」


 ドジッ子かい、おっさん。

 そういう事情なら、前のギルドを追い出されてしまったのは頷ける。ギルドは自営業、メンバーの多額の借金を背負えるほどの大手ならまだしもそうでないなら破産してしまう。


「ちなみにおいくら?」

「聞いておどろけぇ! 五千万Gだ!」


 ご、ごせんま!?

 あまり聞いたことのない額に、愕然とした。

 五千万もあったら、高級菓子店『ミューズ』の絶品イチゴ大福が何個買えるんだろう?

 ああいや、たとえ間違えた。五千万もあったらかなりの豪邸が作れる。王都の一般庶民の年収が十二万Gくらいだから……。

 四百歳以上働けば返せるかな!!


 無理ですね……。


「馬鹿言え! 俺が割った壺の価値はだいたい一千万だ! 後からなんか利子とか違約金とか色々難癖つけて五千万まで膨れ上がらせたんだろうがっ!!」


 いつの間にか後ろまで来ていたレオルドが怒鳴った。

 一千万でも無理な気がするけど。

 ん? 利子?


「おじさ……レオルドさん、もしかしなくともこの人達からお金、借りちゃったんですか?」

「うっ……だって、ぜんぜん足りなくてな……百万払わないと貴族の屋敷からも出してもらえなくて」


 ……グルだな。

 一瞬で、考えがまとまった。彼が高価な壺を割ったのは事実なんだろう。でもその壺、恐らく一千万もしない。騙されやすいのをいいことに丸め込んで色々責め立てたんだろう。慌ててレオルドは貴族が一枚噛んでいる悪い人達にお金を借りてしまいとんでもない額になったんだ。


「ごちゃごちゃ言い訳すんじゃねぇーよ! こっちだってなぁ、なにもすぐに五千万G払えって言ってるわけじゃねぇ。とりあえず百万Gさえもらえりゃ、残りはゆっくり待ってやるって言ってるだろ!」

「まだ逃げるならてめぇの嫁とガキにもちょいと怖い目にあってもらわねぇとなぁ!」


 酷い脅しに、レオルドの目がカッと開いた。


「妻と子供には手を出すんじゃねぇ!! それに俺は二人とは離縁したんだっ、もう他人だ関わるな!!」


 響き渡る怒声と迫力に思わず男二人がのけぞった。

 おお、これはすごいな……。

 イヴァース副隊長や司教様で怒声と迫力には慣れたはずだったが、私ですらビリビリ来た。


「悪かったなマスター。あの話はなかったことにしてくれ……小さなギルドに迷惑はかけられねぇーよな。ここが最後だったが……」


 大きな背中を揺らして、レオルドは扉を潜る。


「金は返せねぇ。だから騎士団に付き出すなり、奴隷にして売るなり好きにしろ」

「――お、おう? やけに素直になったじゃねぇーか……」

「金が払えねぇーんなら体で払ってもらわねぇーとな! こきつかってやるから楽しみにしてろ!」


 乱暴にレオルドを連れて行こうとする男達。

 私が行動するより前に――。


「なあーー!!」

「なうーー!!」


 白と黒の疾風が足元を駆け抜け、二人の男を襲った。


「いってぇ!?」

「な、なんだぁ!?」


 シャアアア!!

 と、仔猫に似合わない威嚇をする二匹がどうやら男二人を猫パンチと猫キック、必殺爪とぎで攻撃したらしい。リーナが後から慌てて飛び出して来た。


「す、すみませんです! ねこちゃん、きゅうにはしりだして」

「いいわ、リーナ。助かったから」


 仔猫達にいいところをとられてしまったが、私は前へと一歩踏み出した。

 事情を聞いた上に、家族思いらしいレオルド。

 彼をここで見捨てたら、女が廃るってもんでしょう。


「あなた達、レオルドさんはうちに面接に来た身。まだうちの仮り預かりよ、勝手に連れて行ってもらっちゃ困るわ」

「はあ!? こんな奴に採用の余地ねぇーだろ!?」

「採用するしないは、私とギルドのメンバーが決めます。相談もなしで余地なしなんて決められないわ」


 強い眼差しできっぱりと言えば、これ以上は押し問答と悟ったのか男達はナイフを抜いた。ぎらりとした刃が光りに反射する。レオルドは慌てて私と男達の間に入った。


「下がれ、マスター!」

「大丈夫です、レオルドさん。任せて」


 レオルドを避けて、さらに二人の前に出ると私はにっこりと深い笑顔を作った。


「恐ろしい目に遭いたくなければ、潔くお引き取り願えませんか? そして二度とうちに顔を出さないでください」

「な、なに言ってやがるんだこいつ……」

「頭湧いてんのか! んなこと出来るわけねぇーだろ!」


 やはり男達は私の言う事なんか聞いてくれないようだ。

 ほうほう、そうか。そんなに恐ろしい目に遭いたいか。ならば、お望みどおりにしてさしあげましょう。


 私は懐から一枚の紙を取り出した。

 紙には代々の聖女を表す文様が書き込まれている。


「願わくば、彼らに一滴でも女神の思いが届きますよう――」

「あ? 呪文か!?」

「魔導士か、さっさとやるぞ!」


 私が紡いだ言葉に、焦った二人は襲いかかって来たが――。

 次の瞬間には、跡形もなく姿が消え失せていた。彼らがいた場所には一枚の紙がひらりと舞い落ちる。私はそれを拾い上げると紙を確かめた。

 紙にはラメラスの女神を現わす文様が書き込まれている。

 上手くいったようだ。


「どうなったんだ? あいつらはどうした?」

「お引き取り願いました。大丈夫、もうレオルドさんの前に現れることもないでしょう」

「い、生きてる……んだよな?」


 とても苦しめられた様子だったが、それでもレオルドは彼らの安否を気にした。


「生きてますよ。ええ、生きていることを後悔するくらいにしっかり生きています」

「え……」


 青い顔をして固まったレオルドを私は「面接の続きしましょうか」と、足元で甘えてくる仔猫二匹と一緒にギルドに戻って行った。



 *****************************


 男二人は、気が付いたら荘厳な大聖堂の祭壇前に倒れていた。

 あたりはしんとしていて、大聖堂の開放時間が過ぎているのか自分達以外誰もいない。


「な、なんで俺達はこんなとこに……?」

「あの小娘、なんの魔法使いやがったんだ」


 とりあえずここが大聖堂だということは分かったので、出ようと立ち上がると。


「よぉ……悪党ども。どこへ行く?」


 ずしりと心臓にくる重低音が響いた。

 ――誰もいなかったはず……。だが、背後からはやけに大きな存在感を感じた。

 びくりと自然に二人の体が震えて強張る。男達は知っている。裏に通じる自分達は、常に闇の深い部分に触れているものだ。どれがマシで、どれがヤバいものかを嗅覚で嗅ぎ分けられる。それが出来なきゃ、こういう業界ではやっていけない。

 男達は思った。自分達の今、後ろにいる声をかけてきた男は――――相当ヤバいものだと。

 振り返ったら終わる。

 そう思うが、振り返らなくても終わる。とも思った。

 ガクガクと膝を震えさせ、情けない面で思い切って振り返った。


『ひぃっ――!!』


 称えられし大陸の美神、ラメラスの女神の像の前。祭壇に一人の男が不作法にも腰掛けこちらを見下ろしていた。漆黒の髪に、瞳孔の細い黄金の瞳……右目は眼帯の強面の男で、大聖堂に似つかわしくない闇色の衣を全身に纏っている。

 男は、左手に一枚の紙を持っていた。

 そこには聖女を現わす文様が書かれており、さきほどシアが使ったものなのだがそんなことは男達には分からない。


「ったく、シアめ。面倒なことを押し付けてくれる――だがまぁ、あいつが聖女になった時にした約束だからなぁ。守ってやるよ」


 にやりと悪い笑顔を浮かべると、紙をぱっと手放して左手をふわりと掲げた。


「俺は、サン・マリアベージュの司教、レヴィオス・ガードナー」


 男達はその名を聞いただけで腰を抜かし、床にへたり込んだ。

 司教様は、獲物を捉えた蛇のように鋭い眼光で男達を見下ろすと、今までにない綺麗な笑顔を浮かべて言った。


「悪党ども――――懺悔の時間だ」




 その後、大聖堂から頭を丸めた男二人が、もうしません、許してくださいと泣きながら走り去っていくのを目撃されたとか、されないとか。

12/12 借金取り立て額を変更。きっちり五千万G→とりあえず百万Gに変更。

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― 新着の感想 ―
[一言] やべぇwwwこのおっさん、かなりイイ味出してるwww 薄味塩スープにちょっと出汁を加えてきた感じだな!今後に期待♪
[一言] 本当一言感想を言わせてください!!! レヴィオス様かっこいい!!!!
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