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〇36 愛し子

「んじゃ、精霊界に行くぞ」

「はーい----えぇぇ!?」


 出番だ、仕事だ、お役目だーと喜んで返事をしたが、カピバラ様の予想外の言葉に素っ頓狂な声をあげてしまった。


「つーても一瞬な。普通、人間は精霊界には留まれないし、留まれたとしたらもうそれは人間じゃねぇ。五分もいれば立派な人外だ」

「あれ? そういや俺って数日行方不明だったはずだが……」

「え? どれくらい行方不明だったの?」

「七日間くらい」


 サラさんの話では、おそらく精霊界にいたということになる。カピバラ様の話が本当なら、レオルドはとっくに人外ということに……。


「いや、おっさんは人間のままだ。……まぁ、若干変なオプションはついたみたいだがおおむね人間だ」

「それはとても微妙なラインなのでは……?」


 少し心配になったが、そこはラムとリリが関わっているらしい。


「俺様も当事者じゃねぇーから詳しいことはわからねぇ。だから行くんだ精霊界に。ある程度予想はしてるがな……ラムとリリがおっさんについている以上、それはそれで人間にとっては厄介なことになりかねない。おっさんの場合はプラマイゼロで、ラムとリリのおかげで生きている感じだがな」


 結局は、精霊という存在は人間にそう都合いいものではないらしい。カピバラ様は、珍しく女神と約束を交わした獣なために、精霊界産の精霊とはまた違った概念で生きる生物なのだ。

 精霊界の精霊は、人間とかかわりを持つのに必ず契約を通す。そして契約は精霊を認めさせる実力とそれぞれに代償を求められるのが普通だという。

 ギルド大会で、深淵の蝶に所属するメフィラさんは、精霊術を使う精霊に愛されし才能を持つ女性だった。精霊に好かれる才能を持つ者を精霊の愛し子と呼んだりするがかなりレアケースである。そんな愛し子でも多少は代償を払うようで、あのメフィラさんもなにがしか契約上で精霊に支払った代価があるはずなのだ。

 精霊と契約するにあたってもう一つのレアケースがある。それは蒼天の刃のマスター、エルフレドさんが対メフィラさんで使った『加護』である。これは契約というよりは、援助であり力を借りるにあたりその都度、多くの魔力を支払う必要があるものだ。エルフレドさんは、魔導士になれるほどの魔力はなく、魔石に少しずつ毎日少量の魔力を蓄え、必要になったときにすべてを加護に使えるようにしているそうだ。『加護』を与えられる人間は本当に少なく、対象の精霊の厳しい試練をクリアしなければならない。

 実はこれ、一回私は挑戦したことがあった。元々自分が聖女であることを常々疑問に思っていたし、いつお払い箱になってもいいように、食い扶持に困らない程度のものが欲しかった。それで聖魔法と相性のいい精霊の試練を受けたのだが……とてもじゃないが、耐えられなかった。死の淵ギリギリをさ迷い、修行僧以上の精神力、そして澄んだ心が必要だった。


 無理無理、私利私欲にまみれた私には無理。いたずらを一週間やってはならないという試練、越えられるわけないじゃないの。一日で落ちたわ。

 そんな簡単な試練、と思われるか? だが、精霊というものはかなり意地悪な生き物で、その人にとって一番超えるのが難しい試練を課してくるのだ。だからエルフレドさんはまったく別の試練だっただろう。己の一番難しい試練を越えた彼は、本当にすごい人なのだ。あの地味な見た目ではまったくわからないけど、さすがアギ君がマスターと仰ぐ人である。あ、あとあの人すごい料理上手で節約上手な主夫の鑑みたいな人なので、リーナのお勉強のついでに私はエルフレドさんの即席お料理教室に通わせてもらったりしている。嫁に欲しい。


「どうみてもラムとリリは、半人前の精霊だ。おっさんを大元から助けた精霊とは思えないんだよな。そこが重大な罠に思えてならねぇーわけだよ俺は」

「……そうだな。アギもそのあたりのことに違和感というか不安を覚えているようだった。俺も考えてみりゃ、なかなかやばいことになってそうで怖くはあったんだが」


 重要な記憶がすっぽり抜けているせいで、どこをどうすればいいのか見当をつけようもなかった。しかし、ここにきてサラさんの問題とそのあたりのことが重なった。そしてカピバラ様のおかげで、その糸口がみえてきたってところだ。


「そこの詐欺聖女、今の霊体状態なら精霊とリンクすることで道が開ける。人間のおっさんと嫁さんを連れて行くにはそれが一番安全でてっとりばやい」

「おっけー任せてよ。でもレオルドはわかるけど、サラさんも?」

「一応な。無関係じゃねぇーだろうし」


 詐欺聖女は突っ込む場所ではなくスルーする場所である。

 私はカピバラ様に誘導されながら、精霊とのリンクを試みた。リンクするのはカピバラ様ではなくラムとリリの方だ。この二匹はまだ精霊としては弱く、この子達の親玉が関わっているだろうということで二匹を通じてその精霊までの道を開こうというわけだ。もちろんカピバラ様もリンクに協力してくれる。

 リンクはふわふわとした変な感覚だったが、無事につながりカピバラ様はレオルドとサラさんを連れ、私が繋いだ道へとまるごと乗せて飛んだ。


 目まぐるしく景色が変わり、しばらく星が瞬くような空間のトンネルを抜けると灼熱の大地の上に降り立った。


「あっづ!!」


 熱いという単語もまともに言えないほど、口を開けば喉が焼けてしまいそうになる熱さ。大地は肌がむき出しになり、草木のひとつも生えていない。あちこちから火柱があがり、溶岩がどろりと流れ出している。人間の住む大陸ではお目にかかれないであろう光景に、ここが精霊界であると実感できた。

 ってか、霊体なのに熱さとか感じるとかどういうことなんだろう。


「こりゃ……なかなかの大物の御所にきちまったみてぇだな……。おーい、お前ら、俺様から離れんなよ。ちょっとでも結界の外にでたら蒸発すんぞ」


 これでもカピバラ様に守られていたようだ。確かに結界内でこの熱さだったら、外にでたら血液も一瞬で蒸発するだろう。生身であるレオルドとサラさんは私よりさらに熱そうだ。


「大丈夫か、サラ?」

「ええ……なんとか」


 でもレオルドはサラさんよりは平気そうだ。そういえばレオルドって四属性魔法に素養があった感じだったが、火の魔法が一番上手く扱えていたような気がする。

 カピバラ様に導かれ、灼熱の大地を進んで行くと。


「なー!」

「なうー!」


 ラムとリリが駆けだした。その先に。


「--懐かしい気配がするな」


 男性的な声音が聞こえた。黒い岩にいつの間にか誰かが腰かけ、そのひざ元でラムとリリが嬉しそうに甘えている。

 ゆっくりとその男はこちらを見た。真っ赤な髪は、炎のようで……普通の髪ではないのか、本当に燃える炎のように揺らめいている。炎の髪は長く腰ほどまで伸び、上半身は裸で筋肉質な色黒の肌が見える。他、黒と白の不思議な衣装をゆったりと纏っていた。一見すると神秘的にもみえるが、黄金の鋭い瞳はいささか好戦的な印象を与える。彼はじっくりとこちらを観察しているようだった。


「ああ、誰かと思えば……懐かしい匂いはお前か、レオ」


 レオルドはびくりと震えた。怒られたわけではないし、怒鳴られたわけでもない。ただ静かに、それもそれなりに友好的な親戚の子供にいうような優しそうな声だった。だが、彼の纏う力が強すぎるためか視線を向けられた瞬間に背筋が震えそうになる。


「……おう、火の王。久しぶりだな」


 カピバラ様がレオルドをかばうように前に出た。火の王と呼ばれた男は、今気がついたかのようにカピバラ様に視線を移した。


「お前は……ふん、女神の獣か。若干クサイと思えば」

「クサイとかいうな! ちゃんと風呂はいっとるわ!」


 聖獣にお風呂が必要かどうかは知らないが、カピバラ様はお風呂派らしい。今度、お風呂にいれてあげたら仲良くなれるだろうか? 蹴られるかな。


「まさかてめぇが、厄介の元とはな」

「厄介?」


 覚えがないのか、火の王は首を傾げた。


「てめぇ、このおっさんになんかしただろ?」


 おっさん、といわれて火の王は誰のことか一瞬分からなかったようだが、カピバラ様の視線の先で誰をさしているのか察したようだ。


「なぜ批難めいた様子なのかはわからんが、確かに少し前にレオとは会っているな」

「なにをした」

「なにを……ふん、そうだな……人の子にしては過ぎた力を持ち、それが原因で精霊界に放り込まれたと聞いてな。美味そうだったし、レオとは利害が一致したので、契約を交わして人間界に戻した」


 話の内容はだいたいサラさんから聞いたような感じだが……なに? 美味しそうだったって。精霊って人間は食べないよね?


「目的はおっさんの中に溜まっていた呪い……アルベナの力だな?」

「そうそう、そんな名前の女だったな。可哀そうに、滅びゆく世界ではあったがそれでも必死に生きていた種を望まぬ形で大地に還すとは。とんだとばっちりだったなレオ」


 さきほどから妙に親し気にレオルドに話しかけるので、レオルドがどう反応していいか困っている。それにようやく気がついたのか、火の王は寂しそうな顔をした。


「なんだ、わずかな時とはいえ親子のように過ごしたというのに忘れてしまったのか?」

「え……あの、すみません。精霊界にいた時の記憶とその前後がまったく覚えていなくて」


 申し訳なさそうにうなだれるレオルドに、火の王はラムとリリを抱っこしてもふもふしはじめた。


「そうか、やはり人間に精霊界の気は毒なのだな。死んでしまわぬように、俺の炎を体内に埋め込んだがそれでも記憶は飛んでしまうか」

「--おおぉい!? 今てめぇ、さらっとやばいこと言ったな!?」

「やばくなどない。可愛い愛し子に炎を与えただけだ」

「それがやばいんだよ! ああもう! これだから人の子のことをよく知らない王の気まぐれが一番厄介なんだ!」


 カピバラ様がバタバタ暴れている。

 うん、私もなんか嫌な予感がする。火の王からはまったく邪気は感じられず、レオルドがこのままでは死んでしまいそうだったから助けた。そういう彼なりの善意だったんだろう。

 でも精霊の、しかも王の炎って、それは人間の体で無事でいられるんだろうか?


「問題はない。月桂樹の雫も飲ませ、水の王の力も拝借して生体バランスを保った。だから今の今まで体が崩壊することはなかっただろう?」

「なかったな。ああ、確かになかった! だが、人間が精霊の力を借りる、もしくは宿す場合は代償が必要だ」

「ふむ、その通りだな」

「代価はおそらく、徐々に搾り取られて行く形式だったんだろうよ。このままだとおっさんは、生きるために宿したもののせいで、寿命を迎えられずに死ぬぞ」


 まさかの時限爆弾付きだったとは。

 整理すると、精霊界に捨てられたレオルドは、死にそうになっていたところを火の王になぜか気に入られて生かされた。利害の一致、の部分はまだよくわからないがそうして火の王の炎を宿してレオルドは大陸に帰還し、火の王の炎に守られて体も丈夫になった。呪いは火の王が炎を通して食べていたという。

 しかし、それは一種の契約となり、ゆっくりと、しかし確実にレオルドの命にかかわるものを奪い取っていた。

 ん、そうなるとラムとリリってなんなんだ?


「それは大丈夫だ。なにも考えなかったわけではない。そのためのこの子達だ」


 火の王に話題を向けられて、ラムとリリが鳴いた。


「レオが人の子のままなのがいけないのだ。見れば、レオの目的は果たされた様子。ならば、そのときが来てもかまうまい」

「それはどういう--」


 レオルドの疑問がすべて音になる前に、炎が逆巻いた。この熱量、そしてこの雰囲気は感じたことがある。レオルドがギルド大会でバルザンさんとの戦いのときにみせたものと似ている。レオルドの魔法はそもそもこの火の王の力が関係していたのだろう。


「レオ、忘れたのならば思い出させてあげよう。俺と君の約束を、契約を」




 *****



 体が飛ばされた、というよりは意識を飛ばされた、と言った方が正しいだろう。私達は気がつけば、違う場所にいた。

 そこは森の中で、さきほどまでいた灼熱の大地とは打って変わって静かな場所だった。そこには幼いレオルドが途方に暮れた様子で立っており、しばらくさ迷った後に、火の王に出会っていた。

 火の王は、レオルドの知識に興味を持った様子だった。元々人間にもそれなりに興味があったようで、レオルドの話は火の王にとって、とても楽しい暇つぶしだったらしい。そこからは火の王が言ったように、親子のように仲良く過ごす日が続いた。

 けれど七日目、火の王はなにげなくレオルドに問いかけた。


「故郷に帰れないのならば、俺の子になるか? レオ」

「そんなことができるんですか?」

「できないこともない。ただ、人間ではなくなるが……いや、このまま精霊界で生きるのならばいずれ人間ではなくなる。俺の結界で人間のまま過ごさせているが、たったの七日でお前の体はすでに変調をきたしているだろう」


 人間が精霊界に五分といられない理由。それはただ単に死を意味するのではなく、人間として終わるという意味でもあった。しかも精霊に変異するのではなく、いびつな形で精霊界に適応する形になるという。


「あの大きな樹が見えるか? あれは元々、精霊界に迷い込んだ人の子だった。帰ることができなかったその人の子は、ものの数分で人としての意識を失い、一日目には大地に根を下ろし、三日目には立派な大木となった。その子は生きている。精霊樹として、意識を持ち、言葉を交わせる。人の子としての記憶もなにもかも失ってはいるが、生きているのだ」


 人間にも適正というのがあるらしい。適性が高いと数日間、人間としての意識を保てるようだがやはり長くはもたない。


「王たる俺の力ならば、あのようないびつな形で精霊界に適応させない。その形を保ったまま、精霊に転生させられるのだ」


 レオルドは少し迷ってから。


「あの、もう一度、水鏡を見たいです」


 その言葉に火の王は少し苦い顔をした。


「ふむ、まあその気持ちは少しは理解できるつもりだ。だが、なあ……」

「お願いします」

「うっ……」


 レオルドのお願いは断れないのか、火の王は頭を抱えながらもレオルドを連れて湖へ行った。そこには美しい青い髪の女性がおり、水の王と名乗った。火と水はやはり相性が悪いのか、かなり険悪な感じだったが水の王もレオルドには優しかった。


「うるせぇババア、さっさと水鏡を出せ」

「誰がババアじゃ、悪ガキめ! ふんっ--おお、可愛い童、お前はよいよい、こっちへこい」


 見た目は若い女性だが、内面はおばあちゃんのようで孫を愛でるようにレオルドを呼ぶと水面に水鏡を作った。そこに映し出されたのは、アレハンドル村の様子だった。行方がわからなくなったレオルドを必死に探しているエティシャさん達やサラさん達がいた。それをじっとレオルドは見つめていた。


「……帰れぬのだろう?」

「……うん」


 それでもレオルドは水鏡から目を離せなかった。いつの間にか、レオルドの瞳には涙がたまり、ぽたりぽたりと落ちて、水鏡に波紋を作る。


「……帰りたい」

「……」

「帰りたい……です」

「……そうか」


 火の王は少し寂しそうに呟くと、レオルドを抱え上げた。


「よいのか?」

「よいかどうかは、しらん。人の子はよくわからないからな。だが、帰るべきではない場所に帰りたいと言う。賢い子が、そう言う。ならば叶えたい」


 水の王はうなだれた。


「手伝え、ババア」

「ババアというでない」


 そうして火の王が言っていたように、レオルドに火の王の炎を入れ、彼の体を守る為に水の王が力を貸した。


「レオ、よく聞け。最初に言った通り、お前の中にあるアルベナの力は美味い。俺の糧になり、代償にもなる。だがすでにお前の体は変質をはじめ、大陸にも精霊界にも完全に属すことができない中途半端な存在となった。王の炎はお前を守り、同時に殺すだろう。だが、それでもお前は帰ることを望むか?」

「……うん。俺がここにいた方が、ここで死んだ方が本当は良かった。大陸とはまったく別の世界で死ねば、巫女の力は完全に失われて、サラが幸せになる--はずだったから」

「ふん、アルベナの力が残り続ける限りはゆっくりとあの土地は蝕まれるがな」

「でも、少なくともサラは解放される……」

「全より個を選ぶか。それもよい。名も知らぬ者を思えるほど、人の器は大きくはない」


 レオルドと火の王の契約はなった。レオルドは帰って、それなりのときを生きるために。サラさんの幸せを見届けるために。そして火の王は、呪いを食らうために。いつかレオルドが死を迎えるときにはここに戻ってくるように。



 ****



「戻ってきてしまったのね」


 場面はいつの間にか変わっていた。そこは暗い森で、一人の女性が悲しそうな顔で立っていた。向かい合うのは、火の王と契約を交わし戻ってきたレオルドだった。


「大丈夫です、俺は呪いで死ぬことはなくなりました」

「……精霊の気配がするわ」

「はい、火の王だそうです」

「……そう」


 女性は懐からナイフを取り出して、レオルドに差し出した。


「恨んでいい、憎んでいい。私はサラがいればいいの。サラが幸せならそれでいいの」

「これで、おばさんを刺せって言うんですか?」

「……」

「あなたはどこまで酷い人なんだろう。俺に自分を憎んでいいと言いながら、自分の始末を俺につけさせようとする」

「賢すぎる子は嫌い」

「……俺は、おばさんのこと、それほど嫌いじゃないです」

「……優しすぎる子も、嫌い」


 相性が悪いなぁと幼いレオルドは年に似合わない苦笑を浮かべた。


「私は……死ぬわ」

「そう……でしょうね」


 火の王の力があるからか、レオルドには彼女の命の刻限が近いことがわかるようだった。


「だから、せめて憂いを晴らさせてあげようと思ったのに」

「憎んでません。俺を人殺しにしないでください」


 レオルドはナイフを女性に突っ返した。


「……死にたくない」

「……」

「死にたくない、死にたくない、死にたくない。サラの成長を見ていたい。大きくなったサラと一緒に買い物を楽しんだり、旅行したりしたい。いつか幸せな結婚をするサラのために、花嫁衣裳を作って、花を飾って……可愛い孫を甘やかして……」


 最後の方は、言葉にならなかった。

 レオルドは言葉なく、その場に立ったまま拳を固く握りしめていた。


「レオルド、お願い、だから--」


 彼女の悲痛な言葉に、レオルドは静かに。


「わかり、ました」


 そう言った。




 『絶対、サラと一緒にならないで。遠く離れて。永遠に会ってはいけない』



 レオルドはその約束通り、彼女が亡くなってすぐに王都へと----王立学校へと進学することになる。

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― 新着の感想 ―
[一言] レオルドは火の王のお気に入りかぁ… 何やらややこしく…(笑) ちょっと戻って来ますww
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