冒険を再開したいと思いますか?
盗賊狩りを始めた。
「冒険を再開したいと思いますか?」
とエロフは言った。
そりゃそうだ。
俺たちに目的はない……というのを言い訳に、初めの平原を散歩して、ちょっとスライムを狩って、宿屋で寝る。
生産性があるのかないのか、よくわからないけれど、刺激はない生活だった。
安定した生活。
いや、そんなのクソでしょ。
なんのための異世界?
風の噂で聞いた。
おれたちが拠点にしている街に、盗賊が現れている。
皆が困っている……。
と、いうわけで、俺たちはまず盗賊狩りをすることにした。
盗賊を殺して殺して殺しまくるのだ。
溜まっていたフラストレーションを全開放するのだ。
「ええ……」
エロフは引いた。
「人殺しはよくない」
「姿が人間なだけで、邪悪な心を持った魔物だよ。狡猾で人間社会にも溶け込んでさ」
「いや、ダメだ。同族殺しはよくない」
「盗賊は人間じゃない。悪い奴は死んだっていいさ……」
エロフはくらい表情をした。
おれは言った。
「あいつらのせいで実際に困っている人たちがいるんだぜ」
その一言で、エロフは決断した。
「じゃあ、殺しはしないが、捕らえる。そして正当な手段を持って裁きを下す。王国に罪人を引き渡す」
「ふん。それって、思考を放棄しているにすぎないじゃないか……」
エロフはそれ以上何も言わなかった。
俺たちは盗賊狩りを始めた。
俺にはチート魔法があった。
念じれば殺す―念殺―。俺は念殺と名付ける。
念殺、念殺、念殺。
虫を殺すよりも、異世界人を殺すのは簡単だった。
たくさんの盗賊を殺した。
エロフは悲しんだ。
俺は気分が良くなった。
「異世界転生小説はこうでなくちゃな……」
イツワリノヒトゴロシ