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美人な幽霊は幽霊が苦手なようです1

作者: 卯月/Sion

この作品は原作者兼イラスト提供者の北彩あい先生によるTwitter上の企画から生まれた作品です。

なお、原作者に2次創作の許可は一応とってはいますが、作品の内容に関しては一切話していないので、

本来の内容とはそぐわない可能性がありますが、どうか温かい目で読んでいただければ嬉しいです、お願いします。

原作の北彩あい先生の絵はとても素晴らしいので知らない方は是非Twitterなどで検索をかけてみてください

オススメです。本当は一緒に添付したかったのですが手順が面倒くさいとか、そもそもやり方よくわからないとかで使う事ができませんでした。すいません......

プロローグ 美しい幽霊

「はわわ......!こ、こないでください〜〜」

ふわり、と透き通った白玉は白装束の女性の後をぴったりと付いて周る。

女は白玉をなんとかして振り払うために六畳半の部屋の中をウロウロと動きまわっていた、しかし、そんな事で白玉の女に付いて行くという執念は曲がる事はなかった。

♪〜〜

しばらく女と白玉は部屋中を暴れまわってから、途端に白玉が天井を突き抜け、いや、すり抜けてふわり、と天高くへと舞い上がっていった。


「やっと行ってくれた......」

女は深いため息を吐く。

女の衣装は酷く乱れていてあられもない姿になってしまっているうえに、大きく開いた胸元から豊満な胸が大胆に露わになっている。

女はとても美しく、繊細で綺麗な髪を持っているというのにこれでは台無しだ。


「彩榎さん! どうして助けてくれなかったんですか!?」

「面白そうだったから」

「ぬうう〜〜〜〜!」

「次は助けてくださいよ?」

「はいはい......」

女は頬を膨らませて、拳を小刻みに上下に動かし、肩たたきの要領でぽこぽこと殴っているが正直痛くもかゆくもない、もっと言えば当たってすらいなかった。

ーー女も白玉も死んでいる。

世間的にそれらは幽霊と呼ばれ、ミステリーやホラー作品の中で取り上げられる定番ネタともいうべき登場キャラクターの一つだが幽霊がいると現実で言っても誰も信じはしないだろう、何故ならそれらは存在し得ない幻だから。

見えないものは存在しない、だから、今この部屋に幽霊がいると言っても誰も信じない。

だがーー居る、ここにいる、この女がここにいることは彩榎だけが良く理解している。


「あのー、ちゃんと聞いてますか?」

「あぁ、聞いてるよ、今日の夕飯は味噌汁と煮魚がいいんだよな」

「ちーがーいーまーす! もうこの周りにヤツらは居ませんかという話です!」

「あ、あと、煮魚じゃなく、今日は焼き魚がいいです(小声)」

「本当にユウは怖がりだな、幽霊のくせに......」

「はぅぅぅ......幽霊でも他の幽霊さん達の事は怖いんですよぉ......」

「そうゆうもんなのか?」

「生者の皆さんに色々な方がいるように私たち幽霊にも色々です!」

「そういうもんか、なら少しずつ苦手を克服していこうな、人間みたいに」

「うぅぅ......お、お手柔らかにお願いします」

「どうするかなぁ」「ひぇぇ......」



「彩榎さん、日も暮れてきましたしお夕食にしませんか?」

「お買い物はお任せします、私は美味しいご飯炊きますね!」

ユウは明るい笑みを向けて言う。

普段はすり抜けてしまう身体も、意識を一点に集中させる事で短い間だけ持ち上げる事ができるらしい......

その力でユウは早速炊飯器から釜を取り出し、白米の洗米を始める。


「ユウ......」

「はい?」

洗米する手を止めてユウは振り向くと長い髪が少し靡いた。

「今日は一緒にスーパーまで出かけないか?」

「え、いいんですか!?」

一瞬戸惑ってからユウは嬉しそうにゆらゆらと浮遊し、まるで無邪気な子供のように頬を少し赤らめて瞳を輝かせ、満面の笑みで喜んだ。

その姿があまりに可愛かったから誘ってよかったと俺は心の底から思ってしまった。

「さ、いいから早く行くぞ」

「はい!」

「ところで、彩榎さんの右耳につけてるそれはなんですか?」

「ああ、これはBluetoothマイクイヤホンだよ」

「なんでそんなものを......?」

「ユウの事は俺にしか見えないからな、話してる時変な人だと思われないように、電話してるように見せる為だ」

「それをつけて喋ってる方が変な人のような......(小声)」

「なんか言ったか?」

「い、いえ何も......」


スーパーの帰り道......休憩ついでに公園へ立ち寄った、家とスーパーの間にある近所で一番大きな自然公園の中にある、噴水横の木製のベンチに座る。

夕蝉と子供の音が夏らしさと、少々の元気をくれる気がした。

「元気だな......」

「そうですね......」

「「......」」


「彩榎さん、初めてこの公園で私と会った事覚えてますか?」

「まあ、薄っすら......」

夕暮れ空は橙色から燻んだ紺色へと変わり陽は落ちてしまうと、子供達は早々に解散しそれぞれの家へと帰っていく中で俺たちは未だその場に留まり二人の出会いを思い出していた。


ーー1年前、その年も暑い夏が続いていた......

最高気温35度を超える猛暑日50年振りの大記録だとニュースで流れていた。

そんな暑い中家にいては猛暑に蒸し殺されると思い、風もあり幾分か涼しい近くの公園へと出向いた。

周囲を自然で囲んだ公園、噴水で遊ぶ子供達の黄色い声が響く中、噴水から離れた木陰の下で物静かに立ち尽くす女性、その瞳は何処か悲しげで冷たかった......

不自然で、不可解で、怪しい不審者であるのは明白にも関わらず誰も触れない、まるで存在しないようだった。

放っておけばいい......身体が迷いながら訴える、関わるな......理性が否定する。

なのに心は、助けたいと胸の奥を掻き乱す。

暑さで脳がやられたかと笑っているうちに、気づいた頃にはもう既に......俺は女性の目の前に立っていたーーそして、そのとても美しく、それでいて氷のように冷たい空気を放つ女性に俺は思わず声をかけていた。

はじめの言葉はそうーー

「今日は一段と暑いですね」だっただろうか、よく覚えていない、何せ暑くて意識がはっきりしていなかったのだからな。

何はともあれ、それから俺とユウは同じ屋根の下で同棲を始める事となった。

これはその序章となる物語、数多ある世界線の一つ......


「え、ちょっと待ってください、何綺麗にまとめようとしてるんですか! そんな彩榎さんイケメンな事言ってましたっけ? 私の記憶だと、私が幽霊さん達に追われてて、この公園で身をひそめてるところに現れたのが彩榎さんで、今日まで匿ってくれたんじゃないですか?」


「すまん、間違えた、あの日の出会いがこんなだったらお前への事見方変わったかなって」

「酷いッ!? 今の私じゃ駄目なんですか!?」


「今思えば、変な奴を公園で拾って来ちまったな......」

「ペット扱い!?」

「霊を引き付けてくるから家の周りは霊魂だらけだし......」

「結局幽霊さん達にはあのアジトは見つかっちゃいましたしね」

「そう考えると、一年間何も進歩してないよなユウ」

「ギクッ......」

「やっぱり今年こそは......」

言いかけると、ユウは慌てて勢い良く飛び上がるようにベンチから立ち上がり、叫んだ。

「あーーー!お腹空きませんか、彩榎さん!? 私準備手伝いますよ!さ、早く帰りましょう! あ、そうだ先に帰ってお風呂とか準備しときますね、ではまた後で!」と言い残して空高く飛び去ち、夕闇へとあっという間に消えていった後、街灯の灯りの下、彩榎はビニール袋を手に思う。

「けど、まあこの日常も悪くはないかな......」

幽霊が苦手なあの美しいく騒がしい幽霊の待つ家へ帰る道すがら、彩榎は微かに笑みを浮かべて思う。

この作品は、北彩あい先生の考えたイラスト「美人な幽霊は幽霊が苦手」を元に、やりずらいが故に勝手に私(今作品の作者:梓穏)が名前をつけて、絵から想像する、おどおどドジっ子キャラを書いてるうちにだんだんと、作者自身分からなくなるほどキャラが迷走している事や拙い文章であった事は、原作者の北彩あい先生には申し訳ないと思い、この場で謝罪します。


このあとがきを読んでくれているという事は、内容もきっと読んでくれたのでしょう。

短い文章にお付き合いありがとうございました、また続きを書く事があればまた宜しくお願いします

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