当たり前の日常
あの日から俺の人生は変わったのかもしれない。
「よいしょっと」
積まれた教材を隣の教室まで運ぶのも重労働だな、と感じたのだ。 俺は歩けば3人はいるであろうものすごく普通な高校三年生 鹿内栞太だ。普通の家庭に生まれて、普通に育ち、普通に小学校、中学校と過ごしていき、当たり前のように高校受験をして合格して入学した。今年は大学の入試だがなんとかなるだろう と甘い気持ちで生活している。
「よし。とっとと家に帰って寝るか」
そう思って帰ろうとしたとき
「かんたくんー!」
身の危険を感じスッと横にずれる。
僅か2秒後
「あぁぁぁー!」
壁に激突した女子生徒がいた
「おいおい、大丈夫か?」
まるで小さい子でも相手をしている様な感じで喋りかける。
「痛ったー。なんで避けるのさ!せっかくの私のハグをさ!」
わーわーと喚く女子。
「それはそうだろう。生命の危機を感じたからな!」
ドヤ顔でそう返すと
「はっ?調子乗ってんじゃねえぞ。あぁん?文句あんのか?おい。」
さっきまでの可愛いイメージとは違い今にも腕が1本、いや本当に生命の危機に直面したのかもしれない。こういうときは長年の経験から
「ごめんなさい」
これを言うのがベストだなとわかる。
そう言うと
「ふん!わかってくれればいいのよ!」
と納得した感じで良かった。謝らなかったと考えると..いや考えるのはやめておこう。今俺が謝ったとても怖い..いやとても可愛らしい女の子は俺の小学校からの同級生 明星夕夏といってとても凶暴..いやとても優しい女の子だ。
「ねー!一緒に帰ろ!」と夕夏は俺に頼んでくる。
「まってくれ。俺は今日《はってめぇに断る権利はあるのか?》ないです。」
仕方なく一緒に帰ることにした。
「あのねー。今日ねー学校でね…」
夕夏が何かを言っている。あれ?なんかおかしくないか?夕夏の口は動いているけど声が聞こえない。どうしてこうなった?俺の耳がおかしくなったのか?いやさっきまで音は発することができたし、聞き取ることも出来た。なぜこうなった?考えていると
「プゥーーーーーー!」
と車のクラクションが聞こえた。音が聞こえるようになった!と喜んでいたのも束の間夕夏が危ない!とっさに俺の体は動いた。夕夏をどかし自分が夕夏の身代わりなっていた。はーっ俺の人生はこんなもので終わりなのかハハッ、と車にはねられるまでの僅か数秒間のうちに考えた。案の定俺の人生は幕を閉じた。