~ 海を進む ~
男達が蔦で繋がり輪を描く その 輪の中に木蔦縛りを浮かべ 老人や女 子供 傷ついた者達を乗せ
男達は木蔦縛りを手や躰を使い押し引いて
地の果て迄 共に逃げ延びた家族を誰一人残さずに海を進んだ
カチーナの愛 … 温もり伝わる この海を …
木蔦縛りに乗る家族達も 温かな海より昇る空気に包まれ 心地良さからか …
微笑み若い妹達は歌を唄い始めた
♪~ 私の好きな人は~
太陽を友とし 月と泣く人
♪~私の好きな人は~
風の囁きに耳を傾ける人
♪~私の好きな人は~
苦を避けぬ勇ましい人
♪~私の好きな人は~
微笑みを絶やさぬ優しい人
それが 私の好きな人 ~ それが 私の好きな人~ ♪
♪~ カボチャの花が咲いたら告げてみよう!
♪ 告げれるかしら? 嫌われたら どうしよう …
♪~ カボチャの花が 髪飾りになってくれるから大丈夫!
♪~ カボチャの花が 勇気をくれるから大丈夫!!
輪を描く男達は皆 妹達の唄に笑顔を見せた …
あぁ … 私は幸せだ …
幾人もの家族を災いで亡くしてしまったが …
此処に 愛がある …
カチーナの恵みに抱かれた愛が …
新な大地が近付き 私達は希望を胸に 初めの一歩を踏み出した …