~ 海を進む ~
ピリピリと冷たい痛みが足先から脳天迄を突き抜けた …
其でも 私は歯を喰い縛り海へと進んだ
一歩 又 一歩 …
冷たい痛みは皮を逆撫で皮膚の色を朝焼けの色へと変えいった…
唇に死が宿り 喰い縛る歯がガチガチと不規則に音を立てた
引き返す訳には行かない! カチーナよ 額の鷹の羽は届かないのか… 親愛なるカチーナよ…
私は心の中で幾度となく 繰り返した
私は皆の様子を見ながら 慎重に足を進めた
ゴゴゴゴゴォー!
凄まじく大きな音が響き渡り 高い山から巨大な岩が真っ赤に焼け爛れ 火の尾を引きながら 私達の頭を通り越し 海へと沈んだ …
私達は足を止めた …
ブ ク ッ ブク ブ ク ブク ブク !
巨大な岩が沈んだ辺りから無数の泡が溢れ出した
泡は熱を放ち 辺りの水を沸かせ 程好く温ませ伝えていった …
「カチーナ … 貴方の愛に感謝致します…」
私は嬉しくて 涙が溢れ出した … 同時に やはり 進めと言われているのだと 確信した
私達は程好い温もりの海の中を大地を目指し進んだ …
その温もりは …
躰を …
そして 心を解すかのように心地良く …
其はまるで …
母親の愛に包まれているような感覚だった …