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~ 決断の時 ~

私達は その後 皆で知恵を絞り出し

どうしたら 此の海を渡れるのかを話し合った …


ただ渡るのでは無く 皆で渡る為に …


話の途中 …


年老いた者や 傷を追った者達の中には自ら決断し


「 此の地と共に 皆を見送る… 」


そう呟き 空を見上げる者もあった …


置いては行けない … 置いて行きたくはない …


家族の誰しもが そう思っていた …


近付く熱風が 再び ツ~ンとした臭いを運んで来た


私達が 此の地に留まれるのも 残り僅か …


幾つかの知恵の中から 私達は決断しなければならなかった …


熱風の熱さと 鼻を突く臭いが更に強まり


堪らず 幾人かの兄弟達が立ち上がり 倒れた大木を海に浮かべ飛び乗った…


海はボッカリと口を開けたように 息を吸い込み 兄弟達は渦巻く波の中に消えた…


それでも 数本の大木は渦巻く波を上手く避け進んで行った …


「去らば兄弟達 … 何時か必ず 又 会おう …」


私達も決断しなければならない…


私は発した …


「傷ついた者達や 女 子供を大木に乗せ 体力のあるものは蔦で躰を結び輪になり海を進もう!家族を置いては行けない!」


残った者達は早速 大地に落ちた蔦を掻き集めた 若い妹達が私に近づき


「こうして蔦を組み合わせると少しは強くなるのでは… 」と教えてくれた…


女達は蔦を三本絡ませ一本の蔦にした


男達は大木にも充たない倒れた木を集めた


そして 四本の木を強い蔦で平らに縛り

老いた者も女 子供も乗れるように造り上げた


体力のある男達は強い蔦で躰を縛り一本の輪になり繋がった…


ゴ ゴゴゴゴォー!


再び大地に響く強烈な音と振動


慌てて 今 造ったばかりの木蔦縛りを海に浮かべた


「去らば 聖なる故郷よ ! 私達は進む!カチーナよ! 私達を導きたまえー!」


私は先頭に立ち祈りを叫び蔦を一本 グルグル と頭に巻つけ鷹の羽を額に飾り海に足を踏み入れた


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