~傷を負った者~
陽が高々と頭上を照す頃 …
私は そろそろ傷口の手当てをしなければと テイピーを そっと 覗いた …
彼は テイピーの隅で 縮こまり 膝を抱えて泣いていた …
朝の 煮汁は とっくに冷めていた …
私は 再び桃の木の横へと戻った …
どうしたら 良いものか … 私は 考え込んでいた …
すると畑の方から QALETAQA が 私の元へ歩いて来た …
取れたての野菜と トウモロコシ粉を焼いた 私達の主となる食べ物を抱えて …
QALETAQA は 私に言った …
「ALO 何してるんだ テイピーの前で?」
QALETAQA は 私に一声掛けると バサリッと テイピーの入り口を全開に開いた …
彼は 顔を強張らせ 震え出した …
「QALETAQA ! 彼は 傷ついた者だぞ!礼儀が無いのではないか!」
私は 思わず声を荒げた …
「ALO !礼儀 知らずは この男だぞ … 主を外に追い払うなど … 」
と 言うと QALETAQA は ドッカリ と テイピーの入り口に座り ムシャムシャ と 食べ物を頬張り始めた …
QALETAQA の 表情と言ったら … 嬉しそうに ニコニコ 笑っていた …
私は QALETAQA の 突飛な行動に 唖然とし言葉を詰まらせた …
ムシャムシャ ! パリッパリッ ! ゴックン !
見ている 此方の 腹が空いてくるような食べッぷりだった …
彼も 驚いたのか 大きな目をパチクリさせQALETAQA を 見つめていた …
キューキュルルル ! ゴックン !
彼は 腹を鳴らし 生唾を飲み込んだ …
QALETAQA は ニッコリと笑い … 食べかけのトウモロコシの主食を半分に手で分け彼に差し出した …
彼は 恐る恐る QALETAQA の手から主食を取ると 確めるように 眺めた …
QALETAQA は 気にもせず ムシャムシャと再び食べ始めた …
彼は QALETAQAを見つめながら 手にした主食を口へと運んだ …
モグモグ … ゴックン !
QALETAQA は 野菜も差し出した 彼は少し微笑み 野菜を直ぐに口へと運んだ …
QALETAQA は 私を見上げ …
「ALO 何してる?ALO の分が無くなるぞ … 」
と言い 私にも主食を差し出した …
私も QALETAQA の横に座り 共に食事をした …
QALETAQA は 言った …
「 飯など 一人で食べるものではないわい! ハッハッハ !」
彼に 言葉が通じているのかは 解らないが… 彼も QALETAQA に 吊られるように笑ったので … 私も安心して 笑顔になれた …