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~ 森の中へ ~
森には…
此の森に住む兄弟達の細く 私よりも小さな足跡が道となり 森の奥へと向かっていた …
私は 森の兄弟達の足跡の上に足を重ね 兄弟達を驚かせさないよう 静に足を運ばせた …
背の高い緑達を なるべく折らぬよう ゆっくり と …
緑の香り … 小鳥達の囀り … 大きく伸びた樹木 …
時々 樹木の上から ヒョコッと 顔を覗かせては サッと隠れる リスの親子 …
私は 皆と 一つであり 自然の中に生きる生き者であるという実感を噛みしめていた …
何故なら …
心は落ちつき 癒されていく …
それが 何より真実なのだから …
暫く歩くと森の奥から 水の流れる音が聴こえてきた…
私は 水の音のする方へと向かった …