第五話 懐かしの少女
お待たせしました!第五話です
本来ドラゴンぐらいの生命体を召喚するにはかなりの経験や魔力が必要…らしい。
まあ魔力は十分なんじゃないかな。
多分ね。
ーーー…
あの事件があってすぐの事。
「あ〜、眠い。まだお昼なんだが。てかここって森じゃね?うわ〜、なんてこった。眠気がやばすぎて無意識に来てしまった」
ガサガサ
後ろの草むらが揺れる。
振り向くとそこには懐かしの少女が。
「あ!マトラッセさん!」
白髪の少女は優しく微笑む。
「お久しぶりです。リタさん」
「どうしてここに?」
「あなたに会いに来ました」
「ごめんなさい。会いに行くと行ってたのになかなか行けなくて」
マトラッセは首を振る。
「いいんです。リタさんが、街が今大変なのはわかっていますから」
「ではどうして?」
「リタさんに会いに来たことは本当です。それと、暁の姫からの伝言を預かって来ました」
「え⁈姫からの⁉︎」
そこで一つ気になる事が出来た。
「どうしてマトラッセさんが姫のことを?」
「それは私が暁の姫ールーチェの親友だから」
「ええ⁈暁の姫の親友⁉︎」
「はい。といってももともとは私ではなく祖先の未娘と、ですが。その影響で私も仲良くなりました」
どうやら暁の姫はかなり昔から存在するらしい。
ということは、すごく歳とってるんじゃ…。
いや、この話はやめておこう。
「さて、リタさん。本題に戻りますが、暁の姫からの伝言とはアースドラゴンについてです」
「アースドラゴン?」
アースドラゴンとは先日あったばかりだ。
そのドラゴンがどうかしたのかとリタは首を傾げる。
「はい。アースドラゴンは本来孤高の存在。誰にもなかなか心を開くことがないのですが、先の事件であなたに懐いてしまったようです」
確かに最近森に行くとよってくるのか。
おかげであんまり動物が寄ってこないんだよなあ。
君の影響か、アースドラゴン。
「そこで例外として、あなたにアースドラゴンの召喚魔法を授けるといっていました」
「私がアースドラゴンを召喚⁈」
「詳しいことは私にもわかりません。ただアースドラゴンと会話をしてみて。とだけしか伝言を預かっていません」
「アースドラゴンと会話ってどうやって」
「私が普段話をしている魔狼たちは喋りますからね」
「あー、あの子達か」
さて、どうしたものか。
「一つ手があります。昔聞いた話なので本当かはわかりませんが」
「聞かせてください」
「昔、召喚魔法を極めた人々は凶暴なキメラの召喚に成功したと聞いています。その方法が心の対話だと」
「心の対話…」
「この街を救ったリタさんならアースドラゴンもきっと応えてくれると思いますよ」
空を見上げ、あっ、とマトラッセは零した。
リタも見上げているともうすっかり空が赤く染まる時間になっていた。
「もうこんな時間ですね。すみませんが私はもう帰りますね。リタさん、アースドラゴンをよろしくお願いします」
「はい。頑張ってみます。ではまた、マトラッセさん」
「ええ、また」
そうしてこの日は終わった。
ありがとうございました!