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200文字小説集

秘密の隠れ家(200文字小説)

作者: 日下部良介

 彼女のお気に入りのこの店。

 二人の秘密の隠れ家。

 ある日、その店に知り合いが来た。

 そこはもう秘密の隠れ家ではなくなった。


「うっかり喋っちゃったんだよ」

「最低!」


 つい喋っちゃったんだ。自慢したくて。

 お店をじゃなくて、彼女をね。

 それ以来、彼女は口もきいてくれない。

 メールをしても返事がない。


 新しい隠れ家を探そう…。

 彼女のためではなくて、行き場のない僕が隠れてしまうために。

 彼女は僕を見つけてくれるだろうか…。




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