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1・4話・本名

俺の周りは沈黙していた。とは言っても、俺以外の3人は引っ越し祝いのミスター○ーナツを食べ、今はそのガサゴソと箱をたてて、食べている音が聞こえる。

「ふーん。人間界の食いモンって、結構うめーモンだなー…。」

と、ポンOリングをほうばる月代が言う。それにつれて、隣にいる月代の兄夜野一也よるのいちやさんも、(あの低く少し抑揚がある声の人)

「ああ、そうだな…今では俺たち狼人間や、魔界人たちにも口に合う食べ物が増えてきたからな…。」

へえ・・・…。魔界人で人間界の食べ物に口が合う、合わないってのがあるんだ。当たり前かもしれないけど…ってそんなこと考えてていいのかなあ・・・・・・…(汗)

すると、さっきまでお茶を飲んでいた月代のじいちゃんが、

「コレェ…!お前たちのん気にそんなこといってる場合か!何故わしらの前に人間がいるのか分かってるのかぁ!」

「あ……!」

どうやら二人とも少し忘れていたみたいだ…。俺も少しあきれてしまった…。

「ウホン、えぇーと…真夜君、と申すのかな……?初めまして、わしの名は夜野十吾郎。いや、正体がもう知られているから偽名はよそう……本名はフルムナ・ムンラ・パームじゃ…。」

月代のじいちゃんは、長いひげをはやしたあごを触りながらそう答え、俺と握手をした。しかし、その顔にはあまり俺を歓迎しているような顔ではなかった。

「そうじゃのう…まずは何から話そうかのう…どうせじゃから、わしらモンスタースパイズがどのような組織か説明しとかなければ、ならんからのう……。」

するとだ、

「ちょっと待てよ、じいちゃん!いいのか!?人間に組織のことを話して!?」

バン、とテーブルをたたき、月代が叫んだ。しかし、月代のじいちゃん。いや、とりあえずフルムナさんは、落ち着いた口調で、

「まあまあ、ウルン黙っておけい…。」

といい、再び俺のほうへ話しかけた。

「人間たちはどうやらわし等みたいな、狼男などの者は信じない者が多いみたいだが…まあ、君も正直いって、なんだか狼人間を怖がっていたからのう…」

そうフルムナさんが言うと月代が何気ににやけていた。俺はあのときめちゃくちゃ冷や汗をかいていたときのことを思い出した。たぶん月代も思い出したんだろう。俺は、恥ずかしくなり、穴があったら入りたかった。すると、あることに疑問を持った。

「あのう…一つ気になったんですけど、って言うことはあとの二人も偽名って言うことですか?」

と俺は、言った。フルムナさんは、

「ああ、そうじゃ…紹介するとしようかのう…こちらはわしのかわいい孫たちじゃ。ほれ、二人とも」

そういわれた二人は、さっそく自分たちの本名をいうことになった。

「どうも…。ガルーラです。」

まず最初は、お兄さんの方からだった。妹の月代と違い、冷静で落ち着きがあり、髪の色も白くて長くひとつに結んである。目はやはり似ていて、大きくふたえがあり、まつげも長い。けれど、その目のせいか、顔が少し女性のような面影がある。まあ、体つきは男らしいから女にはまちがえられないだろう。

「ほれ、次はお前じゃぞ。」

フルムナさんは月代に向かって話しかけた。

「な、何でオレも言わなきゃいけないんだよ…」

どうやらあんまり俺を心よく思っていないらしい…。まあ、フルムナさんもなぜ俺に組織のことを話すのか不思議に思うが、それは話さないことにしようと思った。月代は口をキュッと噛んだりしてなかなかしゃべらなかったが、フルムナさんが何とかして説得し、ようやく名前を答えた。

「ウルン…ウルン・ムンラ・パーム…」

月代。改めウルンは、俺との視線を左にそらしながらそう答えた。

俺達はまだ知らなかった…。闇の魔の手が身近な所にじわじわと近ずいていることを……

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