私の恋愛文化祭
もうすぐ待ちに待った学園祭…安藤先輩に頑張って告白して付き合いたいな~。
と、佐代子が窓から外を眺めながら考えていると後ろからコツコツと足音が聞こえてきた。
聞き覚えのある足音…振り返って見ると目の前には真鍋の憧れの先輩,安藤が佐代子の前を歩いて行く…。
「あっ安藤先輩…。」
声を小さく出してしまい安藤の耳には届かず佐代子の前を通り過ぎて行ってしまった
「…はぁ。」
小さく溜め息をつき佐代子は、歩きだし教室へと戻った次の授業は学園祭の催し物を決めるというものであった。
佐代子は、催し物には目もくれず頭の中は安藤の事で一杯になっていた。
「佐代子?
ちょっと佐代子聞いてるの?」
教壇に立っているクラス1のデブ女浅田美空が佐代子を睨みつけている。
「何?」
「何じゃないわよ、瀨催し物か鯛焼き屋でいいか聞いてるの!
あんただけよ手挙げてないの…。」
「ごめん…鯛焼きでいいよ。」
「じゃあ、決定ね。」
佐代子は美空を見つめながら安藤先輩を考えていた。
どうして安藤先輩は美空を選んだのだろうと…安藤先輩は頭が良くてスポーツ万能のイケメンだからきっと美人な人を選ぶと思っていたのに…。
佐代子は悲しくなってきた。
放課後、佐代子が帰ろうとすると教室にあの安藤先輩が入ってきた…。
女子達が騒いでる中を掻き分け浅田に近づき一言二言交わした後二人は一緒に仲良く手を繋いで帰って行った。
佐代子は、それを見て更にがっかりしていた。
「くっそ~!」
振り返って見ると同じクラスの山本がなにやら悔しがっていた。
「どうしたの?」
「山本は何で美空が安藤先輩と付き合ってるんだよ!
絶対おかしい!」
山本は佐代子に愚痴をこぼしながら帰って行った。
先輩の好きな香水をしてもかわいい髪型にしても私に振り向いてくれない…困ったなぁ。
佐代子はただ一人寂しく家路に着いた。
ある日のこと佐代子が、教室の掃除をしながら窓から外を覗くと珍しく浅田は安藤と一緒にならず一人で帰っていた。
不思議に思い掃除をほっぽりだして佐代子は、美空のもとへと走った。」
「美空~!」
「…あっ佐代子。」
「ハァハァハァ、やっと追いついた。」
「何してんの、あんた掃除は?」
「ほっぽりだした。」
「何してんの!
戻りなさいよ。」
「美空に用があって…。」
「用って何よ?」
「えっと…その…ごめん息が苦しくて……フゥ…。
いや今日は安藤先輩と一緒じゃないんだなぁと思ってね。」
「あぁ…うん。」
「何で一緒じゃないの?
いつも仲良く手繋いで帰ってるじゃない。」
「実は、私安藤先輩の事好きじゃないんだ。」
佐代子は、驚いた。
「えっ!
いつも仲良くご飯を食べて一緒に帰ってるのに?」
「うん…。」
「何で?」
「私、安藤先輩じゃなくて山本が好きなの。」
「えっ、やっ山本?」
「うん。」
「じゃあ何で安藤先輩と?」
「山本が嫌いだって言ってきたのその時安藤先輩に告白されて喜んで受けたの…。
安藤先輩と付き合えば山本の気持ちが変わって私の事好きになってくれると思ったから。」
「そうなんだ…。」
それを聞いて真鍋は半分安心し半分悲しかった。
「じゃあ、山本が好きになってくれたら安藤先輩と別れるの?」
「そうよ。」
「分かった。」
「何?」
「もしかして佐代子、安藤先輩の事…。」
「違うわよ、瀨美空がテンション下がってたからどうしたのかなって思っただけよ!」
そう言い放って佐代子は教室へと走った。
「ハァ、もう少しで美空にバレるとこだった…。」
佐代子は、焦った。
佐代子は、美空が安藤先輩の事はあまり考えてない事を知り少し安心した。
…いけるかな?
佐代子は、思った。
そして、学園祭に向けての準備が進み皆大忙しだった最中山本が消えた。
山本は、看板制作の重要な役割をしていたので看板組はパニクっていた。
どこに行ってしまったのか?
山本は、安藤に呼び出されていた。
「用って何ですか?」
「答える必要も無いだろう…。」
長い沈黙の後山本は口を開いた。
「…美空の事ですか?」
「そうだ。」
「僕には関係ないです。」
「何言っている。」
「だって先輩は美空の事好きなんですよね?」
「…いや。」
「えっ、じゃあ何で?」
「ある男に分からしてやろうと思ったんだ。」
「何をですか?」
「女は外見だけじゃ無いことをな。」
「外見だけじゃない…?」
「そうだ、女は外見だけじゃ無く中もよく見ろという事をな。」
「ハァ?
それで…何で俺が?」
「分かるだろう。」
「…あっ!」
山本は、一度美空を振っていた,原因は太っているからである。
「分かったか?」
「好きでもないのに付き合って僕に分からせるために?」
「ああ。」
「…わからねぇな。」
「何がだ?」
「振ったら振ったでもういいじゃないですか。」
「お前…全然女の子の気持ちが分かってねぇな、そんなんじゃ一生かけても彼女は出来ない。」
それを聞いた山本はキレた。
「なっ何で貴様に女の何が分かるってんだ?」
「先輩に向かって貴様とは何だ!」
「うるせぇ!」
山本は安藤に殴りかかったがすんなりかわされ顎にアッパーをくらってしまった。
「くっそ~!」
何度も安藤を殴ろうとしたが全てかわされ逆に殴られてしまった
「何で…何で全部かわされるんだ?」
「動きが単調だからさ。
人間は怒ると動きが単調になり多くの隙ができる。」
「クソッ…ウッもう体が痛くて体が動けん…。」
「フッ、じゃあな。」
「待てっ!」
安藤は山本のもとから立ち去った。
「あっ安藤先輩!」
目の前から美空が走ってきた。
「どうした?」
「山本の姿が見当たらなくて…。」
「山本ならさっき校舎の裏に居たぞ?」
「えっ何で校舎の裏なんかに…?」
「さぁな。」
「私行ってきます。
おぅ行ってこい。」
美空は、走った。
そして校舎裏に座り込んでいる山本を見つけた。
山本何でここに…あっ口から血が瀨待って今手当てしたあげる。
「別にいいって!」
山本は美空の手をはたいた。
だが美空は今度は山本の手を持とうとした。
「いいって言ってるだろう!
怪我人がそんな事言わないの!」
美空は、山本の手を握って保健室へと走っていった。
一方教室では山本がいないので困っていたのだが担任の指示のお陰で無事終わらせる事ができた
保健室では…。
「何でそこまでするんだよ?」
山本がふてくされた態度で美空に聞いた。
怪我してるんだもん…ほっとけないよ。
口に薬を塗りながら美空は答える。
「だからって…イテテテテテッ!」
「我慢しなさい!
男でしょ。」
「…はい。」
二人が教室に戻った頃には学園祭の準備は全て終了していた。
「あっ、美空!」
佐代子が美空に近づいた。
「山本見つかった?」
「うん、校舎裏にいたわ。」
「校舎裏?
何で?」
さぁねさぼろうとしたんじゃないの
「ふぅん…。」
こうして長い学園祭の前日が終わった。
学園祭当日
佐代子は、覚悟した。
今日安藤に告白すると…。
鯛焼き屋は何故かは分からんが大繁盛だった。
店番は、佐代子が担当していた。
お昼が過ぎようとした頃だった。
「鯛焼き一つ下さい。」
「はい…あっ。」
目の前には安藤が立っていた。
顔が、真っ赤になり佐代子は慌てた。
「どうしたの?」
安藤が佐代子の顔を覗き込んだ。
「あっいえ何でもありません!」
「どうぞ。」
佐代子は安藤に鯛焼きを渡した。
「ありがとう。」
安藤が立ち去ろいとした時だった。
「安藤先輩!」
佐代子は叫んだ。
「何?」
「後で…後で教室で待ってます!」
「分かった~!」
人混みに紛れながら安藤は叫んだ。
とうとう言ってしまった。
佐代子は自分でもびっくりした。
こんな事を自分の口から出るとは思わなかったからだ…。
学園祭が終わった後佐代子は教室へと向かった入ると安藤が待っていた。
「どうして僕を呼びだしたのかな?」
「…美空のことで。」
「美空の事?」
「はい、先輩は美空の事をどう思ってるんですか・
別にどうも思ってないよ。」
「えっ!」
「俺は、偶然美空が山本に振られるのを見てしまってね。
原因を聞いて山本を戒めようと思って山本の目の前で告白してたのさだから美空は恋人でも何でもないよ。」
「そうなんですか…。」
佐代子はホッとした。
「自分にはまだチャンスがあるということに…。」
「美空には色々と話をしてね…山本とも昨日話をしたんだが…。」
「どうしたんですか?」
あいつはダメだ…。
女の気持ちなんかさらさら分かってなかった。
で、俺を殴りかかってきたからやり返してやったよ。」
「だから山本怪我してたんですね…あっ手当てしたんですか?」
「いやしてないけど…何で?」
「山本の口に絆創膏が貼ってあったからです。」
「それは美空だね…あの後美空が山本の所に行ったから。」
「そうですか…。」
「ああ…あの二人はきっと上手くいくな。」
佐代子は首をかしげた。
「どうしてですか?」
「勘だよ…。」
「はぁ?」
「で、他に話があるんじゃないの?」
「えっ…あっえとその~…それだけです。」
「本当に?」
「はい。」
「ふぅん…。」
「何ですか?」
「別に…。」
「何か言いたそうですが?」
「俺?」
「はい。」
「何で?」
「女の勘です。」
「ハハハハハハハハハ!」
「何ですか、いきなり笑って?
いや…鋭いね。」
「えっ?」
適当に言ったつもりが当たってしまい佐代子は心の中で驚いた。
「実は、僕も佐代子に話がある。」
「何ですか?」
「俺の事好き?」
えっ!?
佐代子は動揺した。
なっ何…が…
好きか?
好きとも言えず…
「まぁはい…。」
「俺と付き合ってくれないか?」
佐代子の顔が真っ赤になった。
逆告白…私が?
有り得ないよ…
佐代子は心の中で思った。
何で私と?
すると安藤は頬を赤らめながら言った。
「おっ、お前の事が好きだから…。」
「えっ…ちょっ、ちょっと待って下さい。
考える時間を下さい!」
「何で?」
「何でってまだ心の準備ができてません。」
「出来てない?」
「当たり前じゃないですか!
理由は何ですか?」
「…俺の為に好きな髪型にしたり香水をかけたりしていた事を俺は知ってるぞ。」
「えっ!
そんな…見てくれてたんですか?」
「ああ…佐代子みたいにそんな事をしてくれる女はいない凄く嬉しかった。」
「あ~何言ってんだろ…。」
「せっ先輩!」
「俊哉でいいよ。」
「俊…哉?」
「何?」
「好きならここでキスして!」
佐代子は小さな声で言った。
「えっ…何て?」
「だから今ここでキスしてって言ってるんです!」
「…じゃあ…目をつむってよ。」
「…いや。」
「えっ…嫌って何だよ?」
「俊哉が私にキスするのをこの目で見~た~い~の!」
「…分かったよ。」
「じゃあもう少し前に来いよ。」
「…うん。」
佐代子は俊哉に近づいた。
そして俊哉は佐代子の唇を奪った。
「んっ…。」
「どんな味?」
「いっイチゴ…。」
「イチゴ?」
「うん。」
「あっイチゴ飴を食べたからだ…。」
「ふふふ…。」
「何?」
「可愛いなぁと思って…」
俊哉の顔が真っ赤になった。
「あっ俊哉がイチゴになった!!」
「うるさい!」
二人は手を繋いで教室を駆けていった。
完