第二十五話 桜ヶ丘遊覧パークと死のデート1
前回更新から長期の休載、本当に申し訳ございません!!
みなさん、こんにちは。
喜助です。
前話で決着がついた母親決定戦――優勝は花梨の友人のカナコちゃんです。
とは言ってもですよ?僕はカナコちゃんとほとんど話したこともありません。
さて、どうしましょう……
……まぁ、とりあえず行きましょうか
「よいしょ、っと。ふぅ……」
ここは桜ヶ丘遊覧パーク入場口前。今日のデート(?)の待ち合わせ場所でもある。
時刻は午前9時半……待ち合わせ時間は10時だから、まだ30分近く余裕がある。
「ダ!」
「ははは! キミご機嫌だね」
天気は快晴。 例のこの子も楽しそうだ。 絶好のデート日和ってやつかな……デートなんか今まで一度もしたこと無いけど。
「あ……」
「ん?」
僕が空を見上げていると、小さな声が聞こえた。
声のする方を見てみると……
「……す、すみません……お待たせしたようで……」
カナコちゃんがやってきた。 白いワンピースに麦わら帽子をかぶった可愛らしい私服だ。 まだ夏じゃないけど、今日みたいに暑い日はピッタリの服装だ。
「いや、僕も今来たばかりだよ」
「……そ、そうですか……」
「…………」
「…………」
か、会話が続かない……
「と、とりあえず入ろうか…」
「……は、はい……」
この空気、予想通りだよ……
『……こちら追跡班。 ターゲットが入場しました、どうぞ』
(ジジジ…)
「こちら本部、ターゲットの入場を確認した。 引き続き尾行を続けよ、どうぞ」
(ジジジ…)
『了解。 変化がありしだい、また報告します』
(プツッ…)
「ヒッ……」
な、何だろうこの寒気は……
「……ど、どうかしたんですか……?」
「い、いや、なんでもないよ!」
「……?」
「…アウ?」
「そ、それよりもせっかく来たんだし、なんか乗りたいものとかない!?」
「……じ、じゃあ……アレを……」
「メリーゴーランド?」
「……だ、ダメですか……?」
「ううん。 絶叫マシーンとかじゃこの子も怖がるしね。 じゃ、行こう!」
「いらっしゃいませ! メリーゴーランドにようこそ!」
「………」
「………」
「大人二人、幼児一人でよろしいですか?」
「………」
「……あ、あの……」
「料金の方は……あ、フリーパスの方ですね。 失礼しました」
「……何やってんの、花梨?」
「……か、花梨ちゃん……」
メリーゴーランドの受付には花梨がいた。 バイト……かな? いや、でもまだ中学生だしバイトはできないんじゃ……
「花梨? 人違いですよぉ、お客様。 さて、このメリーゴーランドの次からは我々の指示の下にアトラクションを楽しんでいただきます!」
「え!? 何で!?」
「このフリーパスを持っている方はそうしなければいけないんですよぉ。 ツアーみたいなものです、ハイ!」
「なんか花梨……キャラ変わってない?」
やけにニコニコしてるけど……
「ですから人違いですよぉ。 ホントに……ヒトチガイデスヨ……」
「か、カナコちゃん! とりあえず早く乗ろうか!」
「……え? は、ハイ……」
「フフフフフ……アハハハハハ……」
ヤバい……あの状態の花梨は……ヤバい!!
『ハイ、では始まりますよぉ~』
花梨のアナウンスと同時にメリーゴーランドが回りはじめた。 ちなみにあの子はカナコちゃんに抱かれて乗っている。 珍しく、カナコちゃんがそうしたいといってきたのだ。
「ダゥダゥ!」
「……フフフ……」
二人とも幸せそうだなぁ……
(ピシュ!)
「…………」
(カカカッ!)
「…………」
あの……この平和な空間になぜか……銃弾と包丁が飛んできたんですが……
「………」
ま、まぁ、こんなこともあるよね!誰だって誤って発砲したり手が滑って包丁が飛んだりとかは……
(ピシュ!ピシュ!)
(カカカッ!カカカッ!)
「…………」
ま、間違いない……僕が……狙われてる……
メリーゴーランド近くの草むらにて――――
「喜助くぅん……ダメじゃない……私といるとき以外にそんな幸せそうな顔したら……」
数本の包丁を手に持つ少女と……
「おお、思ったより胸のムカムカが解消されるぞ!これは良いことを聞いたな!」
ライフルを構えた少女が一人……
「……篠原、美雪、ほどほどにしとけ。 見つかったら完全に捕まるぞ……だから見つからないようにな」
「了解だぁ!」
「ダメだよぅ……フフフ……」
「ダゥ!ダゥ!」
「……楽しかったね、赤ちゃん……」
「なんとか……生き延びた……」
飛んでくる銃弾と包丁を避け、なんとか無傷で戻ることが出来た。
まぁあの子とカナコちゃんは十分に楽しめたみたいだし、結果オーライかな
「さて、次のアトラクションからはガイドが案内しますね」
「ガイド?」
花梨がそういうと、その隣にいた女性が帽子を取って話しはじめた。
「どうも、ガイドです。 次のアトラクションは……」
「……何やってんの、ミツキ」
ガイドはミツキさんでした。
「お客様、どこかの誰かと人違いをしてないかい? ボクはミツキじゃない……ミツキジャナイ……」
何だろう。 この先の僕の未来が血で赤く染まっている気がする……
「や、やっぱり僕たちは自分でアトラクションに……」
(ガッ)
(ガッ)
「さて、次のアトラクションに案内するよ……ククククク……」
「この先は私も付いて行きますからね~……アハハハハ……」
ヤバい!死神に捕まった!
「か、カナコちゃん!助け……」
「……一緒に行こうね……」
「ダゥ!」
まずい!この危機に気付いてない!
「カナコちゃ……ムグッ!」
「お客様、楽しそうな会話を邪魔するのはいけないよ……ククククク……」
は、ハンカチで口を塞がれた!
「ムー!ムー!」
「さてお客様、早く行かないと混んでしまいますからね。 ……早く逝きましょう」
い、今『逝く』って言った!遊園地に相応しくない『逝く』を使った!!
「ククククク……」
「アハハハハ……」
……僕は……生きて帰れるのかなぁ……