第十八話 突入と戦闘開始
出発から二時間後…
「着いたぞ。」
「ここが…」
林の中に大きくそびえ立つ建物。
この中にアヤコがいるらしい。
「……随分と手荒な出迎えだな。」
「これは…」
僕らの前に現れたもの。“それら”は、人の形をしているものの目の焦点が合ってなく、正気を保っているようには思えないものだった。数は5人(?)というところか……
「ここは俺達に任せてくだせぇ。」
構成員の一人がそう言った。
「わかった、お前らに任せる。……行くぞ、才原。」
「い、いいのか?」
「コイツらなら大丈夫だ。ウチの組の連中をナメてもらっては困る。」
「……お願いします!」
そう言って僕らは入口へと走り出した。
「「「「「がああああああああああああああ!!」」」」」
僕らが通ろうとすると、“そいつら”が襲ってきたが……
(バァン!)
「若たちの邪魔はさせねぇ!!」
構成員達が後ろからそいつらを撃って注意を自分達に向けた。
「さぁ、早く行ってくだせぇ!!」
「ありがとうございます!!」
僕らは入口を開け中へと侵入した。
「松葉杖じゃやっぱ歩きにくいね…」
「そういっても仕方がないだろう。データによれば研究室はこの建物の一番奥だ。」
「ゲームとかでよくある、定番だね。」
鷹野が小型パソコンの画面を見ながら、研究所内の地図を確認している。
「……余裕があるじゃないか。お前の言ってた“もう一本”というのはそんなに強力なのか?」
「……確かに威力はある。でもコレはかなり当てにくいんだ。チャンスは一回だけだろうね。」
「その一回を失敗すれば……」
「なぶり殺し、だろうね。だから正直恐いんだ…でも…助けなきゃね。」
(ドオオオオオン)
「「!?」」
僕らが進む中、後ろに何か巨大なものが降ってきた。
「……鉄腕!!」
振り向くとそこにいたのはあの“鉄腕”と呼ばれた男だった。
(ジリッ)
「くっ…」
鉄腕が戦闘態勢をとるので僕は松葉杖を捨て、戦えるように構える。
「ここは俺に任せろ。」
「……鷹野!?」
鷹野が僕の前に出る。
「無理だ!アイツはパワーもスピードも半端じゃない!ここは僕が……」
「篠原は“お前”に助けてもらいたいと思うはずだ。それにそのケガでは何回も戦えないだろう?体力は篠原を助けるときに使うべきだ。」
「でもお前…」
「コレがこの研究所内の地図だ。お前の夢は……お前の手で叶えろ。」
そう言って鷹野は僕にパソコンを手渡した。
「……今度何かおごるよ。」
「楽しみにしている。」
僕は松葉杖を拾って歩きはじめた……
「さて…鉄腕、だったか?」
鷹野は鉄腕を見上げる。
「デカイが…デカイだけじゃ俺には勝てないぞ。」
その言葉に鉄腕は少し反応する。
「勝負を決めるのは体の力ではなく、戦略だ。それを教えてやる。」
(ピッ…ピッ…)
「いいぞ…この調子でいけば完成はもうすぐだ…」
「………」
研究室内で田神とアヤコ、その他数人の研究員達ががカプセルに入った“何か”のデータをとっているが、アヤコだけは無表情で虚ろな目をしている。
「篠原を研究チームに入れて正解だったな。予定より数倍の速度で研究が進む。」
そう田神が邪悪な笑みを浮かべながら言う。
「………嫌だ…こんなのもう…嫌だ!!」
すると今まで口を閉ざしていたアヤコが突然暴れだした。
「ちっ、薬が切れたか!」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
「ちっ、取り抑えろ!!」
「うぅ!」
田神がそう言うと研究員達がアヤコを抑えつける。
「もう…傷つけたくない…実験で人が死ぬのは…見たくない!!」
「今まで何人も死なせてきたくせに何を言う!この薬だってそうだ!お前が何人も犠牲にして出来た薬だ!」
田神は注射器を取り出して言う。
「お前のようなヤツが世の中に出て生きていけるわけがないだろう!お前はここで一生研究すればいい!それがお前に許された生き方だ!」
田神がアヤコに注射器で薬を投与しようとする。
「誰か…助けて…喜助…くん…」
「やめろぉ!!」
研究室内に声が響く。
「えっ…?」
「なっ…!?」
アヤコが研究室の入口を見るとそこには喜助の姿があった。
「貴様…何をしにきた!?」
田神が顔をしかめて言い放った。
「そんなの決まっている…アヤコを助けに来た!」
「喜助…くん…」
アヤコはその喜助の言葉に涙を流しはじめた。
「アヤコ、待ってて……すぐに助ける。」
「助ける?その足でか?」
田神は喜助の姿を冷静に見て松葉杖をついているのを確認する。
「一瞬ヒヤッとしたが、その足の状態では得意の足技は使えないだろう。その足で…その折れた刀でどうやって戦うんだ?首斬り喜助さん?」
「……日本の侍は、常に二つの刀を持っていたのは知ってるか?」
「なんだと…?」
「もう一本は小太刀といわれてね…戦争で相手の大将の首を斬って自軍の勝利を示すために使われた短い刀だ。本来相手との斬り合いで使うものではないけど、使う者もいた。現代の剣道でも残っている…二刀流という形でね。」
「何を…言っている?」
「前置きが長くなったけど、僕も持ってるんだよ。」
僕は松葉杖を投げ捨て、両足で構える。右足は痛むが少しの間辛抱だ。
「見せてあげるよ…僕の“小太刀”を。」
新年初投稿です!
なのに…この中途半端な感じ…
申し訳ないです(汗)
もう少しシリアス(?)は続きますが、コレが終わったらまたいつもの感じに戻ります(笑)
あと感想・リクエストなどは常時受け付けております。
それでは今年もよろしくお願いします!!