第十一話 優等生と人は見た目では判断できない
皆さん、こんにちは。
喜助です。
どこの学校にも『優等生』って一人くらいクラスにいますよね?僕のクラスにもいます。
今日はその優等生についての話です。
春…それは出会いの季節。
入学やクラス替えなどで、新しい交友ができていくのが自然である。
そんな中…
「喜助ぇ、そういやプレゼントは?」
「喜助くん、約束したよね…?」
僕にも一応新しい友人が出来た。
………ちょっと変なヤツらだけどな。
ちなみに今僕は学校の自分の席に座っていて、そこに二人がやって来た。
「ちゃんと買ってあるよ。ホラ。」
買ってあったプレゼントをカバンから取り出して、二人に渡した。
中身は二人ともペンダントだ。サヤには赤いの、アヤコには薄い緑のモノだ。色は僕の独断と偏見で選ばせてもらった。
ちなみにミツキに相談した結果、僕が予定していた金額を遥かにオーバー♪
僕の財布はダイエットに成功♪
……家で少し泣いたのは内緒だ
「お、ちゃんと持ってきてたな!ありがと♪」
「大切にするね。ありがと、喜助くん」
そういって二人とも嬉しそうに笑った。
「あ、あぁ…うん。どういたしまして」
二人ともルックスが良いからその笑顔に一瞬ドキッとしてしまった…。
「ほ、ホントに僕が選んだので良いの?僕のイメージで選んだから欲しいものじゃないかもしれないよ?」
ミツキに手伝っては貰ったが、こういうことは慣れてないので自信がなかったりする。
「何言ってんだ?こういうのは気持ちが嬉しいんだよ。」
「うん。自分のことを考えて選んでくれたってことが一番の幸せなの。」
「そうか…。そういってもらえると僕もホッとするよ。」
(キーンコーンカーンコーン…)
「あ、チャイム鳴ったから私は自分の席に戻るぞ」
「私も自分のクラスに……いや、アレをこうすれば……フフフフフフ(笑)」
去り際にブツブツ言ってたアヤコが若干不気味だったが…二人は自分の席やクラスに戻って行った。
その後、ミツキが五組に編入で一緒のクラスになったり、『良い機会だから席替えしよう』という担任の一言が原因でサヤとミツキの間に火花が散ったり……まぁ大変だった。
結局僕の席は後ろから二番目、右にミツキ、左にサヤが座ることになった。
「よろしく頼むよ。」
「あぁ、よろしくな。」
「…クラスが一緒なのは私だけの特権だったのに」
「ん?なんか言った、サヤ?」
「い、いや!何でもない!!気にするな!!」
「……?」
若干悲しそうなサヤが気になったが、一時間目の授業のチャイムがなって先生が教室に入ってきたのでとりあえず席につくことにした。
『…であるからして、ココが……つまり簡単にまとめると……』
只今授業中…
「(スー…スー…)」
「ムニャムニャ…」
両サイドは爆睡中…
まぁサヤはいつものこととして…
…ミツキ、『普通の学校生活を送りたい』っていうのは居眠りなのか?
「ムニャムニャ…」
さっきからサヤの寝言いってるんだよな…
おーい、先生に寝てるのバレるぞー
「ムニャムニャ…お父さん…」
寝言でお父さんって…コイツ意外と親にベッタリだったりすんのかな?
「ムニャムニャ…お父さん…その女の人、誰…?」
………ん?
なにかおかしいぞ?
「ムニャムニャ…また…新しい…お母さん…?」
…“また”?
またって何だ?
え…ちょっと…サヤの家ってそんな複雑な事情が…?
「…お母さん…」
…なんか聞いたらいけないコト聞いちゃった?
居眠りに気付いた先生も、リアルな話に起こしづらくて困ってるし…
「…お母さん…アナタはどうして…顔が変わるの?」
顔が…変わる?
「…お父さん…小遣いが減るって…泣いてたよ…?」
…話を整理しよう。
サヤ寝言→家庭に問題あり(?)→原因はお母さん→顔が変わる→お金を使う
察するに…整形?
「…お母さん…今日も…キレイだね…」
『授業戻るぞー』
放置ですか、先生…やりますね。
それには僕も賛成です。
『え~、アンモニアは気体であり…』
現在、化学の授業…
眠い…
時間的にも昼前でハラ減ったし…
授業全く分かんないし…
『…アンモニアは分子量17なので…』
この教師、今日アンモニアの話しかしてねーし
どんだけアンモニア好きなんだよ…
「(カリカリ…カリカリカリカリ…)」
ふと前を見ると、いかにも『僕は優等生です』って感じの男子生徒がノートを録っているのが見えた。
「(カリカリ…カリカリカリ…カリカリカリカリカリカリ…)」
…マジメだなぁ
(キーンコーンカーンコーン…)
『では今日はここまでにする。次の授業もアンモニアについてやるからちゃんと復習しておくように』
まだアンモニアやるのか…
「んあ?授業終わったのか?」
「今終わった…サヤ、ヨダレ拭けよ」
さっきまで寝ていたサヤの口からヨダレが垂れていた
「ん」
「…女子とは思えない態度だね」
まったくだよ…
「てことは…メシか!メシ~メシ~♪」
テンションの上げ下げの激しいヤツだな…
「喜助ぇ~食おうぜぇ~」
「ボクも一緒に食べさせてもらうよ」
サヤとミツキがやって来たが…
「…弁当忘れた」
「マジ?どうすんの?」
「ボクのを少し分けようか?」
「いや、購買でパンでも買ってくるから先食べててよ」
「そうか、わかった。」
「ついでに飲み物を買ってきてくれないかい?」
「あ、私も頼む」
「了解~」
(ガヤガヤガヤ…)
購買部は僕が着いたとき、既に人でいっぱいだった
「購買ってこんなに買う人いたんだな…」
商品が残っているのか不安になってきた…
人を掻き分けて何とか奥へと進むと…
「(あった!ちょうど最後の一個だ!)」
僕は一つだけあったパンに手を伸ばして…
((ガシッ))
「「ん?」」
誰かと同時にパンを掴んだ
「君は…同じクラスの才原くん…だったかな?」
さっきの優等生だった
「そうだよ。えっと…」
「鷹野だ。ところで…手を放してくれないか?コレはオレのパンだ。」
「ああ、よろしくね。…僕が先に取ったから僕のモノだ」
「オレが先だ」
「いや、僕の方が早かった」
「なら勝負しよう」
「ジャンケンか?」
「いや…カバディだ」
「なんで!?」
一瞬耳を疑った
「イヤか?なら…大富豪で勝負だ」
そういって鷹野は胸からトランプを取り出した
「だから何で!?ジャンケンじゃダメなの!?」
「ジャンケンじゃつまらないし、何より夢がない」
「は?」
「人は夢を見るものだ。夢を見て成長し、困難に立ち向かっていく。ジャンケンでは一瞬で勝負が決まる。そこには努力も汗も涙もない。よって夢がない!!」
なるほど。わかりましたよ。ダテにここ最近サヤたちと仲良くしてませんよ。
つまり…コイツも変人なんですね…
「夢は人を動かす原動力だ。確かに夢を持てば苦しいこともあるだろう。しかし、それこそが人のいきる糧となって…」
「本日の購買部は完売でーす。ありがとうございましたー」
「「…え?」」
パンが…パンがない!!
「よかった~、最後の一個余ってて♪アイムベリーラッキー!!アハハハハハー!!!」
一人の少女がパンを持って購買部を出るのが見えた…
「…なぁ」
「…すまなかった」
この時、僕と鷹野の昼ご飯抜きが決定された…
「お、やっと帰ってきたか。じゃ食おうぜぇ~…ってどうした?」
「パンが…売り切れた…」
「それは残念だったね…」
「で、そいつ誰?」
サヤが鷹野を指差して聞いてきた。
「コイツは同じクラスの鷹野…下の名前何だっけ?」
「権之助だ」
「…ゴメン、もう一回言って?」
「権之助。鷹野権之助だ。」
まさかの…ゴンノスケ…
「………言いにくいから“ゴン”な」
「確かに呼びやすいね」
「いや、それじゃ犬の名前みたいじゃ「“ゴン”な?」……………ゴンでいいです」
鷹野、もといゴンが反論しようとしたがサヤの威圧によって打ち消された。
…サヤ強いな
「しょうがないからボクのを少し分けてあげるよ。二人とも座りなよ。」
「私も分けてやるよ。感謝しろよ~♪」
「あ、ありがとう!」
もう腹ペコだった僕は二人に感謝して誘いを受けようとしたが…
「いや、オレは遠慮させてもらおう」
…コイツは違った。
「確かに君達から分けてもらえば確実に空腹は満たされる。しかしそこには夢がない。食うか食われるか、その極限状態で採った食料は最高にウマイはずだ!そしてそこには夢がある!というワケでオレは食料を自分で採ってくる。サラバッ!!」
そう言ってゴンは教室を飛び出して行った。
「「「…………………………………………」」」
「…た、食べるか」
「そ、そうするとしよう」
「…二人ともありがとう」
僕ら三人しばらく言葉がでなかった。
とりあえず僕は二人から分けてもらった弁当を美味しく頂いたのだった。
(キーンコーンカーンコーン…)
『授業始めるぞ~』
『先生、鷹野くんが帰ってきてません。』
『ああ、なんかアイツ『食料ッ!』とか言って生け簀の錦鯉採ろうとして…生徒指導室で先生たちから事情聴取を受けているから気にするな。じゃあ教科書出せ~』
「「「………………………………………」」」
一方その頃…
「待っててね、喜助くん…もうすぐで………フフフフフッ…」
アヤコはアヤコで何かやっていた…。
受験がだんだん近付いてきてなかなか執筆出来ません…
見てくださってる方々に申し訳ないです…
受験が終わったら今の数倍の早さで更新します!!………たぶん(苦笑)