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さくらキャンバス!〜君と見つけた春の光〜  作者: 夜空千咲
第1章 始まり〜文化祭編
3/30

3 普通の日常

週1ペースで投稿していたら、いつ完結するのか不安になったので、最初の1週間だけ毎日投稿します。

昼下がりの教室には、初夏の風が入り込んでいた。

カーテンがふわりと揺れ、チョークの粉が光の中で舞う。


教室内は心地よい騒がしさに包まれていた。

「だぁかぁら!!行かないって言ってるでしょ!?」

「何でだよ〜!俺のバスケしてるとこ見に来てくれても良いじゃん〜!」


2年2組の学級委員長である新宮あまねと、同じく2年2組でバスケ部エースの野木駿介がいつも通りの小競り合いをおこなっていた。


「だってあんた、私のこといちいち他の部員に紹介するじゃない!恥ずかしすぎるわ!」

「えぇ、紹介したいんだよぉ〜」

「彼女でもなんでもないのに紹介しないでください!絶対行かないからね!」

「委員長のケチ〜〜!」


わいわいと賑やかな空気の中、教室の一角で佐藤晴大が小さく笑った。

隣の席の菊田さくらも、くすっと声を漏らす。


「仲良いね、あの二人」

「うん。……まあ、あれでバランス取れてるんだと思う」


晴大がそう言うと、野木がすぐさまこちらを振り向いた。


「おーい、晴大! お前ばっかいい席に座りやがって!」

「え?」

「さくらちゃんの隣とか、人生勝ち組かよ〜! 代われ!」


「……無理」

「冷たっ! 俺泣くぞ!?」


周囲が笑い声で包まれ、委員長――あまねが呆れたようにため息をつく。


「野木、そういうこと言うからモテないのよ」

「え、俺モテないの? 嘘だろ!?」

「現実見なさい」


その一連のやり取りを見て、さくらは机に肘をついて笑っていた。

まるで、普通の高校生のように。


――普通って、いいな。


ほんの少し胸が温かくなる。

そのとき、委員長がふと真面目な声で話しかけてきた。


「ねえ、菊田さん」

「うん?」

「芸能界って……大変?」


不意に聞かれ、さくらは少しだけ目を瞬かせる。

けれど、委員長の表情は真剣だった。


「私、テレビで見たときすごいなって思ったの。みんなが注目してて、それでも笑ってるの、かっこいいなって。……正直、尊敬してる」


その言葉に、さくらは柔らかく微笑んだ。


「ありがとう。……でも、そんなに立派なものじゃないよ」


言葉にすると同時に、胸の奥が少しだけ痛んだ。

――本当の私は、そんなにかっこよくないのに。

笑顔の裏で泣いた夜のことも、悔しさで眠れなかった日も、誰にも見せたくなかった。


―――

教室の喧騒が少しずつ遠のいていく。

放課後のチャイムが鳴ると、みんなが帰り支度を始めた。


「委員長、バスケの試合は来るよな!?」

「しつこい、野木!」


笑い声が交錯する中、さくらはカバンを抱えながら外へ出た。


正門の外には、一台の車が停まっている。

黒いワゴンのドアが開き、女性が軽く手を振った。


「おつかれ、さくら。今日も撮影、よろしくね」

「木村さん……はい!」


マネージャーの木村舞香が手早く資料を確認しながら、さくらを車に乗せる。

夕方の光の中で、校門がゆっくりと遠ざかっていく。


――教室の笑い声。風に揺れるカーテン。

それらが、少しだけ恋しく思えた。


車窓に映る自分の顔は、いつもの“菊田さくら”の笑顔。

けれど、その奥では、どこか別の誰かを探している気がした。


〜人物紹介〜

新宮あまね→誕生日:8月27日、身長:157cm、外見:ポニーテール。真面目そう。

野木駿介→誕生日:11月11日、身長:178cm、外見:短髪。爽やかな感じ。

木村舞香→誕生日:6月1日、年齢:27、身長:165cm、外見:前髪無しボブ。はっきりした目元。

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