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さくらキャンバス!〜君と見つけた春の光〜  作者: 夜空千咲
第1章 始まり〜文化祭編
18/30

18 いつもの日々、変化の兆し。

 保健室での一件から、1週間が経った。

 だからといって、何かが変わったわけでもない。

 ただ、いつも通りの日々をいつも通り過ごしていく。

それだけだ。


 そうして季節は、あっという間に晩夏へと移り変わる。


 学校は相変わらず文化祭準備の熱気で満ちていた。

 クラスの出し物の練習や準備に追われながらも、どこか楽しげな声が響いていた。


 晴大は他の担当者と共に美術室で演劇の背景を描いていた。

 時には、野木やあまね、さくらが遊びに来る。


「おーい、佐藤、いい感じに描けてるな!」

「野木、邪魔しないの。あ、ちょっと、絵踏んでる!!」

「うわぁ!?ごめん、汚れてないよな!?」

「ほんっと馬鹿じゃないの!?」


 そんな掛け合いを聞きながら、さくらと晴大は笑っていた。

 絵の具の匂いと、夏の午後の空気が混ざり合う。


 野木はその足で体育館へ向かい、バスケ部の練習に加わる。

 あまねは時々差し入れを持ってきて、「ちゃんと休憩もすんのよ」と言いながらタオルを投げる。

 賑やかで、少しだけ眩しい夏だった。


 気づけば八月も終わり。

 楽しかった時間は、まるで走り抜ける風のように過ぎていった。


 ──そして、夏休みが終わった。


「はぁ〜〜……終わっちゃったよぉ!!」

 登校初日の朝、野木が机に突っ伏して嘆いた。


「はいはい。ちゃんと宿題はしたの?」

 あまねが呆れ顔で腕を組む。


「あともうちょっとで終わる」

「“もうちょっと”って何? 今日が締切なんですが?」


「……うぐっ」

 野木が顔を上げると、周りの数人が笑っていた。


「夏休み、楽しかったね!」

 さくらが隣でにこっと笑う。


「うん、そうだね」

 晴大も穏やかに微笑み返した。


「ふふ、文化祭楽しみだね」

「うん、楽しみ」


 その声に、窓の外の蝉の鳴き声が重なった。

 もう夏は、終わりを告げようとしている。


***


 朝のホームルームが終わるころ、担任の小川先生が晴大の名前を呼んだ。


「佐藤、ちょっといいか?」


「はい?」


 晴大は不思議そうに立ち上がる。

 教卓に近づくと、担任が少しだけ声を落とした。


「なあ、今日の放課後、少し空いてるかな?」


「え……?」


 突然の問いに、晴大は一瞬戸惑う。

 けれど、すぐに静かにうなずいた。


「……はい、空いてます」


 担任は小さく笑って、「そっか、じゃあ放課後、職員室に来て」と告げた。

 理由は分からないまま、晴大は自分の席へ戻る。

 胸の奥に、かすかな不安が入り混じる。

その様子を隣の席から眺めるさくらは、不思議だというように首を傾げる。


 ──夏の終わりと共に、何かが動き出そうとしていた。


久しぶりに後書きを書きます。

そういえば、さくらが転校してきた初日に担任が登場していたはずですが、名前を出していませんでした。


担任の名前は小川亮おがわりょう、35歳、教科は英語。あだ名は、名字から連想される国民的愛されキャラ「チ◯◯ワ」です。


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