表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虚構  作者:
1/3

序章

お初にお目にかかります。煉と申す者です。

ミステリ・推理モノのジャンルを書き綴らせて頂きます。


私自身の人生経験は決して豊富ではありませんので、

至らない点や表現が甘い・足りない部分が出てしまうこともあるかと思います。

ですが、そうしたコトを踏まえた上でこの作品を読んで頂けたら

これ以上嬉しいことはありません。


この作品のテーマは『疑惑』です。

人は疑に囚われるとあまりに脆い。

そんな心理描写をメインに書けたらと思っています。それでは。

『来週は豪雨になる事が予想されます。

 気象庁から大雨洪水警報が出される恐れもありますので、

 お出かけの方は十分にご注意下さい。』

「・・・ここもちょっと危ないかな?」

テレビから流れる天気予報に目を向けながら、一人の女性がそう呟く。

彼女はこの旅館に勤める支配人代理。

お昼休みの今は、彼女専用の部屋で寛ぎながらテレビと軽い昼食。これが日課だ。


今週はお客の予約も少なく、来週は全然。

普段から真面目・誠実と言われている彼女も、そうした時はちょっとだらけてしまう。

しかしその空気を周りに見せることはまずない。

こうして自分しかいない空間だからこそ、彼女は本心を見せるのだ。


・・・そう、彼女は人を全く信用していなかった。

幼い頃両親が亡くなってから親戚中をたらい回しにされ、あげく施設行き。

十八歳になる頃に、施設を出てこの旅館で住み込みとして働いていた。

更に追い討ちをかけるように、そんな彼女の過去に仲居達が無遠慮なくらいに興味津々。

そして体目的で彼女と親しくなろうとする支配人。

気が付けば彼女は、人をまず疑い、全ての疑惑が晴れても尚疑う程人間不信となっていた。

齢二十八ともなると、もう早々戻らない。彼女はそんな自分自身を完全に受け入れている。


「アイツ、いい加減下心無しで話せないのかよ。」

ついぼやく。彼女の言うアイツとは、上司にあたる支配人のことである。


「あの手、いつかチョン切ってやる。」

彼女がブツブツと独りで愚痴を呟き始めた丁度その時だった。


-コンコン-

「代理、ちょっと良いですかねー?」

軽くドアをノックされた後、聞き覚えのある声。

彼女は意外な人物の訪問に少々焦りながらも応じる。


「料理長ですか?構いません、どうぞ。」

そうして開けたドアの先には、今の今まで調理をしていたような臭いを連れてきた料理長。


「すみませんねぇお休み中に。」

「気にしないで下さい。それより用件は?」

中へ招き入れながら、彼女は出来るだけ手短に済ませたいという気持ちを込めつつ聞く。

「いや、実は支配人に通して欲しいお願いがあるのですが・・・。」

「支配人に?何でしょう?」

”支配人”という言葉を聞いて若干苛立つ。しかし己の中にそれを圧し留め、次を促す。


「実は来週、ここを貸切にして頂きたいんです。

 無論、貸切に相応しい金額は用意出来ます。」

「は、はぁ・・。貸切ですか?」

現状、来週の予約は入っていない為、貸切そのものは問題無いだろう。

しかしこの旅館、実は今まで貸切にした事が無いのである。

「初の試みである為、どうにも直接支配人に伺うのはやり辛いんですよ。

 代理から何とか話を通してもらえませんか?」

頼みます!と同時に頭を下げられる。彼女としては、疑う部分がまだ少なく、普段から自分に

優しくしてくれる料理長のお願いということもあり、無闇に断れなかった。




結果としてそのお願いを引き受け、詳細を聞いた後、支配人の下へ赴く彼女。

来週の自分も、いつも通りであると思い込んだまま―――――――――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ