TAKETORI合戦 初期案版
今回は趣向を変えまして、
歴史や昔話にまつわるけれども、現代物です。
かぐや姫にまつわるお話、その、冒頭。
竹取物語をご存知だろうか。
かぐや姫のお伽話と言った方が耳馴染みはあるかもしれないし、そもそも、学校で一度は触れる古典だ。今更何を、と思うかもしれない。
そう。竹から生まれたお姫様のお話。
不思議な力で、育てたお爺さんやお婆さん、貴公子達、帝までもを翻弄したかぐや姫が、やがて、月へと帰ってしまう、あの、お話。
月の都からの迎えが来たかぐや姫は。
手紙と共に、あるものを帝に贈り、空へと去っていきます。
それは、壺の薬。
月の者達が口にする、不老不死の、妙薬と言われます。
さて、この薬、その後どうなったかと言いますと。
帝の手元に届くも。
帝は、かぐや姫のいない世に、この薬は不要だと、世を儚み。
日本一高い山の上で、その薬を焼かせました。
薬を山に運ぶ、沢山の武士達の様子から、武士の山。
または、不死の薬を焼いた煙が、まだ(書かれた当時は)立ち昇っていた事から、不死の山。
これらが由来となり、その山を、ふじの山、と呼ぶようになりましたとさ。
と、このようにして物語が締め括られているのですが。
もし、もしですよ?
壺の薬を、武士達が運ぶ道中。薬が、盗まれていたとしたら。
治らぬ病の妹を持ち。武士達の道中を見た兄が。
「かぐや姫の居ない世に、不老不死の薬は不要だと?……ふざけるな。
例え、やんごとなき都の奴等が不要だろうと。
今、妹には、それが必要なのに……!!」
そうして、その兄により盗み出され、すり替えられていたとしたら…?
その薬は、今も尚、この、富士山麓に眠っているのだとしたら………?
……あなたは、どうしますか?
コレハ、ソンナオハナシデス…………。
*
「あ〜〜〜〜〜。自由研究〜〜〜〜!」
叫びながら突っ伏しているのは、現代の中学生男子、彬。
まだ背も伸びきらない思春期前の、小柄で食べ盛りの少年、と言ったところか。
「まあだ、夏休みも始まったばかりですよ?……で、何を悩んでいるのですか?」
机に突っ伏す彬を、通りがかった祖父が声をかける。歳の割に背が高くしゃきりと伸び、眼鏡をかけた理知的で紳士的な祖父は、家族の中でも少し風変わりだ。
「やあさあ、地域の伝承を調べろってやつ。めんどくせ〜〜〜〜」
「まあ、住んでいる街の事を知るには、とてもいい課題かと思いますが」
「理屈はいいんだけど、この暑い中、外から出るのだり〜〜〜」
はああ。祖父はため息を吐くと、彬を机から引っぺがしにかかる。
「なら、博物館にでも行けば良いじゃないですか、あそこなら涼しいですよぉ?図書館も悪くないでしょう」
「そこまで行くのが!暑い!」
「そうは言ったって夏休みですよ?仕方がないじゃないですか!資料集めくらいなら、わたしも興味ありますから手伝いますよ、ほら、立った、立った」
「いーやーだーーー」
そんな彬の机の上には。
かぐや姫における、地域伝承の本が置かれていた。
こんな、どこにでも居そうで、それでいて少し、風変わりな二人組が。
ある、一枚の古文書を見つけたことから。
やがて、富士山麓に眠る、壺の薬を巡る争いに巻き込まれていく事を。
まだこの時は、知らない。
*
場所は変わって、大きな屋敷。洋館、と呼ぶべきか。
一人の富豪が、書斎の椅子に座り、窓から見える月を眺めている。
目の前の広い机には、古びた本や、虫食いの紙の束。
月明かりが差すだけの書斎に、扉を開けて入ってきたのは、髪の長い、美女。
「…遂に、動くのですね」
「ああ。…きみらにも、大いに働いて貰う」
「ふふ。楽しみですわ」
「何しろ、お伽話のものが、目の前に見つかりそうなんですもの」
「ああ。何としても手に入れねばならない。例え、どんな邪魔が入ろうと」
富豪は笑い、美女も、ふふと笑みを溢す。
入り込む月明かりだけが、その様子を見ていた。
*
月の見える、小高い丘。
一匹の小さき獣が座っている。
黄色い毛並み、ピンと立った耳。ふさふさの尻尾は、毛先が白く尖る。小狐、であろう。
見上げる獣は、月を見上げ、何を眺めているのだろうか。
それは。やがて始まる、謎の秘薬を巡る戦いの行方………。
続くんだろうけど、終わり。←
はい、今回は趣向を変えまして。
自分の誕生月なんで。
ちゅーぼーの頃にあっためてた話を、思い出して、改めて書き直してみました!
手元に当時の原稿ないけど、おおよそ覚えてるもんだ。
この先の展開としては。
古文書を見つけた彬と祖父が、探し始め。
富豪に従い、彬の行く先々に現れ邪魔をする、大学生くらいの謎の美女、は実は双子で、同じ姿で片方ずつ姿を見せてたので、道理でやたら現れる訳だとなる。人数を明示しないトリック。
そして、小狐の名前は、コン坊。
などがあります。
が!
多分、次これこの後ブラッシュアップして書き直す際には、コン坊も双子美女も富豪も主人公の彬すら、多分消えます!爆
設定が固まってるのは、祖父、というか紳士なイケおじと、若者の、お宝探しバディもの!
下手すると男女どっちかすら未確定という有様です!
今の夢というか目標として、この話を大幅に構成し直し、史料調べ直し書き直して、小説か、出来れば戯曲化まで自分で持ってきたい。
で、憧れの劇作家と演出家にダメ出しや赤ペンで、けちょんけちょんにされて、大泣きしたい。←
で、直されて上演されたい。←
という大それた夢があります、言うだけならタダ!
で、歴史詳しい紳士なイケおじは、粟根まことさんだ!と言うところだけ確定してます!(おい)
まあ、どうせ書く勉強始めたてだ、書けるようになるまで、時間はたっぷりかかる覚悟。それだけは腹を括ってるので、頑張るぞ。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!