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詩集:ブラックバスさ

からの井戸

作者: 歌川 詩季

 蛙も詩的。

 長いこと()みついていた(かわず)

 大海(たいかい)を見てこいと送り出して

 ()むものの居なくなった からの井戸

 深くに(たた)えた水面(すいめん)を揺らす平泳ぎが

 まあるく輪を(えが)いた石壁に 響き渡る鳴き声が

 懐かしくも恋しい


 もう 戻って来るんじゃないぞと

 きつぅく言い含めて 送り出したのに

 心のどこかであの(かわず)

 大海(たいかい)の荒波にやぶれて

 がっかりと肩を落としつつも

 苦笑いを浮かべながら

 いつの日か帰ってくるんじゃないかって

 待ち焦がれてる


 そのくせ 荒波に翻弄されながらも ちゃんと

 ひとかどの海坊主にでもなって

 クジラや大ダコと覇権を争ってほしいと願う想いも

 嘘っぱちじゃない


 きょうは やっぱり帰ってきて

 また井戸に()みつく(かわず)

 あしたは けっして帰ってこずに

 むこうでよろしくやってる(かわず)

 かわるがわる想像しながら

 ひとりぼっちの夜を(いく)つも明かす からの井戸


 どっちにころぶにしろ

 からの井戸のそんな親心を

 (かわず)のやつも わかってることだろうさ

 アマガエルみたいなのがいいな。

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― 新着の感想 ―
蛙に対する思い入れがよく込められた詩だと思います。生き物はいつか、外の世界に出ていかなければなりませんが、出て行った蛙に対して、果敢に生きて欲しいと望む思いがよく感じられます。子供というのも、両親から…
2024/12/01 13:11 退会済み
管理
古人曰く、「井の中の蛙大海を知らず」。 その蛙が大海原を見に旅立って、残された井戸の視点なのですか。 井戸としては蛙の事を我が子のように感じているのですね。
井戸の親心を感じて、なんだかホロリとしました。 旅立ったあとのさみしさや心配、元気でいてほしい思いなど。カエルさん、頑張っているのでしょうね。
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