誰が一番てんさいか
───ショーン視点───
わたしは、どうやら監視されている。先程から、向かいに座るテスという男に質問攻めにあっている。その様子を隣に座るドノという男が監察している。
「ショーンはどっから来たんだ?」
「公都より参った」
「ショーンは公都で何をしているんだ?」
「ゲイドマン公爵家に武官として仕えている。」
「武官って、騎士か?戦争には参加してたのか?」
「ああ、参加はしたが戦闘はなかった。」
「後ろにいたのか?ショーンは偉いさんか?」
「いや、役職などない」
「どうして一人なんだ?」
「......東のエリアでアンダーラインが動いたと聞き視察を命じられた、一人で行けと」
質問攻めはまだ続くのか?何か怪しまれるような無礼を働いただろうか?それとも、彼らの方に何か疚しいことが有るのだろうか?
「視察はどうだった?」
「ここに来るまで魔物に会わなかった。魔蟲すら居ない、春だというのに」
本当に全く会わなかった。こんなバールアカイトは、初めてだった。
「そうだよな、凄い事だよ」
テスという男の表情は、薄暗い部屋の中で黄昏ている。それが妙に不安を煽る。もしや彼等は盗賊団ではないのか?近頃、アンダーラインを押し上げる程に魔物が淘汰された。これには相当数の人々が参加したはずだ。ラインより北に隠れ棲んでいた所に人が来るようになり更に北に逃げたのではないか?この辺りも魔物は居なかった。ここも、移動を余儀無くされているところではなかろうか?そこにわたしが来てしまった。下手をするとわたしは、口封じに殺されてしまうかもしれない。発言には気をつけなければ!
ショーンは警戒している。
───ドノ視点───
トッドにショーンを自由に歩かせないようにと言付かった。テスが、質問を繰り返しているが全てに素直に答えているように見える。普通に礼儀正しい人に見えるけどなぁ。
「......東のエリアでアンダーラインが動いたと聞き視察を命じられた、一人で行けと」
今、間が有ったな。嘘ついたって事かもな?どうして一人なのか。罪人が逃げて来たとか?いや、もしそうなら雨位で人に関わったりしない。俺なら絶対人を頼らない。
「そうだよな、凄い事だよ」
テスの言葉で警戒した。凄いのはお嬢だ。もしかしてお嬢の事知ってんのか?お嬢を公爵に差し出して自分の手柄にでもするつもりか?役職は無いつったなぁ。案外、上昇志向が強いのか?お嬢を守らねぇと!
ドノは警戒している。
───ルー視点───
トッドはあのショーンとかゆう男を警戒しているがあまり賢そうにはなかった。訓練は受けているようではあったがたいした奴には感じなかった。何をそんなに注視しているんだ?オレは何か見落としたか?
う~ん、訓練を受けていそうな兵士の男。兵という事は、後に国若しくは貴族がいるよな。一人じゃあないって事か!もしかして囲まれいるのか?
雨のせいで全く気配がわからないが、ルカトルに見つかったのか?なぜ、どこから?チクショー、クリスだけは必ず守るからな、マリー様。
ルーは警戒している。
───クリス視点───
(う~んなんか皆、ピリピリしてない?)
張り詰めている気配にクリスは居心地が悪かった。どうせ雨だしテントから出ることも無いと何もする事も無い。テントの中は土なので、色んな野菜や花なんかの種を植えて種が採れるまで成長させたりと遊びながら作業している。
「クリス、お昼を用意するからマルの鍋を借りて来るよ」
リードはテントを出て行った。マルの持っている魔法機器の鍋は火が要らない。鍋自体が熱くなる仕組みになっている。
(うっかり触ったら熱いだろうな)
お~これは蕪の種だったのか~スープに入れて貰おうかなぁ~。煮るととろとろになって美味しいよね~蕪!よしいっぱい種を採って沢山植えていっぱい入れて貰おう!
「ね~リード、スープにこの蕪入れて」
「おっいいですね、入れましょう」
リードは蕪を受け取った。
(お昼楽しみだなぁ~)
クリスに警戒心はない。
「「「「頂きます。」」」」
今日は、ダイニングに行かず、テントで食べる。テーブルはないが、書き物をする机があるのでそれを使って立食する。リードが作ってくれた蕪のスープを食べる。
「「「「うっ!!」」」」
なんだごれ~くそ不味いぞ!リード!
トッドがルーがリードが僕の前で粗相をするわけにはいかないと、テントを飛び出した。僕はテントは土なのでそこに吐いた。
(何だよ変な味と臭い、甘臭い!)
訳がわからないが涙が出た。
「君は?そうか!逃げるんだ!」
そこに現れた知らないおじさんが、僕の体をヒョイと持ち上げテントを飛び出し、走り出した。
うわっ雨降ってるのに!
「大丈夫だからな!絶対助ける!」
意味のわからないこと僕に言いながら走っている。
(このおじさん、足おっせ~。)
冬の間走り続けていた僕等にとって、鈍足でしかなかった。さて、どうしてくれよう。
僕、拐われてます。




